高所得者が優遇されない税制へ
国民民主党が公約に掲げた103万円の壁を178万円に引き上げる案について政府が試算を出した。
この記事によると所得が高い程減税額が大きくなるという。
これを見て驚いた方もいたと思うが、こうなることは税制をちょっと分かっていれば直ぐに気がつく当たり前のことなのだ。
なぜなら、日本の控除は所得控除だからだ。
詳しく解説する。
所得税は所得が高くなるにつれて税率が上がる累進課税を取っていることはご存知だと思う。
現在は以下の表の通り7段階になっている。
基礎控除とは何かというと所得に税率を掛ける前に所得から控除額を引いて課税する所得を少なくするというもの。
単純化して解説すると、年収200万円の税率は10%だから、75万円所得が低くなると7.5万円減税になる(この他復興所得税の2.1%があり、所得が減る事で税率が5%になるので実際はもう少し減税額はふえる)
一方で年収が4,000万円以上だと税率は45%だから、75万円の45%=33.75万円減税になる。
所得の再配分という税の役割から考えると所得控除はここが大きくズレているのだ。
では、どうすれば良いのか。
答えは単純。
所得控除ではなく税額控除という本来かかる税額から一定額を引く制度に変えるのだ。
これだと全ての人が同じ金額の減税効果があり公平なのだ。
75万円も税金払ってない人は引けず、低所得者は不利じゃないかという批判があるだろう。
それは給付付き税額控除にすれば良いのだ。
なにそれ?と思う方も多いことだろう。
給付付き税額控除とは納税額が少なくて引き切れなかった分は給付するというものだ。
具体的に言うと、控除額を75万円とすると税金を100万円支払っている人は税額が25万円になる。10万円しか払ってない人には75万円引き切れないので引けなかった65万円を給付することになるということだ。
これ消費税の逆進性対策として民主党政権の時に検討していたもので、立憲も消費税の減税対策として打ち出しているが、私はそこに留まるのではなく、あらゆる控除を給付付き税額控除にすべきだと考える。
例えば、現在、家を購入した人に対して住宅ローン減税がある。これはこれで非常に有難いが、冷静に考えると家が買える人は住宅ローンが通る所得があるか、家を買える資産がある人だ。
所得の低い人はローンが組めず高い家賃を払い続けないとならない上に家を購入したのと違い支払った分が資産として残らない。
つまり、住宅ローン減税は金持ち優遇とまでは言わないが低所得者が恩恵のない制度なのだ。
これを全ての人の住宅費を支援するという観点で住宅費を給付付税額控除で行う制度にすると賃貸住宅で住んでいる人も恩恵が受けられる。
生活保護の住宅扶助基準に沿って、月6万円、年間で72万円を給付付き税額控除にすれば、生活保護になる人を減らす事も出来る。
この給付付き税額控除はベーシックインカムにも通じるもので生活保護制度や基礎年金とセットで大きな改革が出来る。
この辺りは後日詳しく述べていく。