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燃料デブリを取り出したけど、これは核燃料とは限らない~東電はあえて言わないだけ

福島第一原子力発電所の事故が発生してから13年、遂に燃料デブリを取り出すことが出来た!
今日、マスコミが一斉に小石のような塊を摘まんで引き出す映像と共に報じられた。

燃料デブリって事故で電源喪失して、核燃料を冷やすことが出来なくなって溶け出ちゃってグチャグチャになったものが冷却水を放水して冷やした結果、原子炉の底を突き破ったかどうか分からないけど、とにかく、底に固まってこびり付いてしまっているものという認識だと思う。
その固まったものを削り取って取り出すのではなく、上部に転がっていた小石みたいなものを摘まみ出しただけなので、これがデブリなのという疑問が上がっている。
放射線量は表面から20㎝の距離で取り出す上限の24mSv/hを大きく下回り0.2mSv/hだったという。←この数値自体も実際の測定はデブリから1mのところで測定し、それを20㎝に換算していて、実際に20㎝で測定したわけではない。
放射線量の測定についてはまさのあつこさんが詳しく解説してくれているので、こちらを確認ください。

こんなに放射線量が低いのか……、本当なのかな?と思い、考えを巡らしていて気がついたのは

燃料デブリ=核燃料


ではないということだ。

どういうことかということを解説する。
事故前、核燃料はペレット状になっているものを燃料棒という細長い筒にいれて使用し、使用後も燃料棒に入ったままの状態で使用済み燃料プールで保管していることはご承知の通りだ。
それが、東日本大震災で津波被害に襲われ、電源が喪失したことで核燃料が臨界を起こしてしまい、燃料棒や周辺にあった構造物を溶かしてしまいそのまま原子炉の底に溜まってしまったものが冷却されて固まったものを燃料デブリと呼んでいる。
つまり、核燃料以外のものも含めて固まった塊が燃料デブリなのだ。
以下、東電によるデブリの説明のリンクを貼っておく。

こちらの図だと燃料だけが溶け出てぐちゃっとした塊になったようになっているが、実際には燃料が溶ける時に周りのものも溶けちゃっていて燃料の上に他の物質も相当な量乗った状態で固まっているのだろう。
また、13年もの間に上部にはその後に壊れて落ちてきたがれきやほこりなどが溜まっている可能性が非常に高いのではないだろうか。
そうなると核燃料が表面に出来てきている可能性は少なく、塊の内部から底にかけてに固まってあるのではないないだろうか。
そう考えると今回摘まみ出した物体は燃料デブリではあるが、炉内の構造物が溶融した後に固まったものを摘まんだのであって、核燃料を取り出したのではない。核燃料ではないものということは、それ自体が放射線を放出する放射性物質ではないので、放射線量が低かったのだろう。

「燃料デブリではあるが、溶け落ちた核燃料ではない」


恐らく、東京電力も分かっているけど、あえてそこは言わないでいるのだろう。

燃料デブリは1~3号機で880トンあると推定されている。
今回、摘まみ出したのが3g程度、この量で摘まみ出して全部取り出すとするとこの作業を2億9千万回行う必要があるのだ(;゚ロ゚)

上述したとおり、今回は核燃料ではないから放射線量が低かっただけで、核燃料部分になると放射線量は24mSv/h以上の高線量の可能性も高い。
そうなると人が安全に作業するのも難しいし、そもそも、どう保管すべきかも分からない。

こんなに時間をかけてやっと5㎜以下のしか取り出せてない。
それでも燃料デブリを取り出すことを続けるのだろうか……

今回の顛末を考えるともう

デブリの取り出しは断念すべき

ではないか。

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