東京の最西端が木育の #最先端
以下、木育サミットに参加しての感想です。
『国産材を使いましょう』、『木育を推進しましょう』
↑もうだいぶ手垢が付いた表現ですが、実際子供たちの机の購入を考える時に、¥85,000の国産材机とN鳥やAモールで展示されている機能性の高い廉価な机とを比較すると、一部の家庭を除けば、国産材机は比較のテーブルにも上らないでしょう。
ところが、「6歳になったら机を作ろう!」だと、意味が変わります。 85,000円は、机の価格ではなく、我が子の人生の大切なストーリー作りのチケット代に変化します。これはNやAの店舗内では販売出来ないものです。
ただし、我が国は木に溢れているため、どこの木で作るかは消費者の自由です。どこの地域も、なんとか地元の森林資源を地域経済への好循環に繋げるために、あの手この手の戦略を打っています。
例えば東京おもちゃ美術館と協定を結んだ「○○おもちゃ美術館」という施設が、各地に出来ており、ここ数年のうちに倍増しそうな勢いです。おもちゃ列車やおもちゃ船、世界遺産を目指す森林に隣接した施設など、各所に独自のストーリーがあり、単なるフランチャイズではない魅力的な施設です。予想を上回る来館者や雇用の創出など、地域経済へ大きなプラスのインパクトを与えているとの報告があります。
ただし、長い目で見た場合、リピーターになってくれるファンを獲得する必要があります。おもちゃ=子供をターゲットにしていると、1つの家族は長くても15年程度なのではないでしょうか。子供がどんどん減少する我が国、特に地方部は死活問題です。
持続的な施設の維持、更には地域の存続を考えると、森の無い南関東の都市部の子育て家庭をファンに取り込む必要性が出てきます。敢えてそこに行く動機、ストーリーを作る必要がありますが、前述した通り、各地に魅力的な施設が在る中で、敢えてここのファンになる必然性を作らなくてはいけません。
そんな中、檜原村トイビレッジ構想(https://tokyo-chainsaws.jp/mokuiku/toyvillage/)に基づき、2021年には東京都内にも「ひのはら森のおもちゃ美術館」がオープン予定です。この構想の推進役である東京チェンソーズが手掛けている「東京美林倶楽部」という木育事業は注目に値します。
30年というライフタイムの長い期間をファンとして囲い込む取り組みです。入会金50,000円ですが、年会費1,000円と併せても、30年でならせば年会費2500円余りです。
この事業が上手いなと思うのは、年会費3,000円足らずでは全く事業としては旨味が無い筈ですが、定期的にファンを繋ぎ止めるイベントが開催されること、優先的に参加できる有料イベントがあり、いずれ自ら植樹した木で製品が作れることなど、敢えて檜原村にリピートする理由(自らを主人公にするストーリーのチケット)を最初に売り込んでしまっていることです。
そして何より、そのリピートが可能な都心からの距離感というアドバンテージを最大限に活かしている点です。これが北海道や沖縄だと現実的ではないですし、日帰りで行ける点が、他の旅行等のスケジュールともバッティングせずに、家族のルーティーンとして定着させることを可能にしています。 30年経過すると子供たちが、またちょうど子育て世代になる所も見逃せません。
東京であること、唯一の村であることも、距離的には変わらない近隣類似地域、有名観光地等と差別化する大きな魅力(ブランド)に成っていると考えられます。
この効果は、森林整備だけに留まらず、木製のおもちゃを買うなら檜原村で、知り合いにプレゼントするなら檜原村の木製品で、という波及効果をじわじわと広めることに寄与する可能性が高いです。東京都最西端で、最先端を行く檜原村の取組みに益々目が離せませんね。
「学生と開発した話題の新商品」とか、「○○大賞で金賞を受賞!!」なんて肩書きは、情報過多な現代においては瞬間風速的でちっとも持続可能ではありません。それらを武器にして如何にファンを繋ぎ止めるか、ターゲットを決めたら、あちこち浮気せずに、相手がこっちを向き続けてくれるようにサインを送り続けなければいけません。
最後に木製品の販売促進に対して思うことを述べると、自らへの消費よりも、孫に対する消費に大きな関心のあるお爺ちゃんお婆ちゃん世代が大切な御孫さんへの贈り物として、大きな魅力を感じられる商品やマーケットの開発、プロモーションが出来ると、更にサステナブルな事業になっていくのではないかと思います。特に一生に一度のイベント的な(高価な)プレゼントに成るようなもの、例えば(チェンソーズとバッティングしますが)学習机などは狙い目かと思います。
※現場からは以上です。par みちくさの達人
東京の最西端が #最先端
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