三日見ぬ間の桜
まだ昭和だったころ、小学校を卒業した。記念品として贈られたのは、『故事ことわざ辞典 特装版』(三省堂編修所 編)。いまも手元にある。
久しぶりに手に取ったのは、「三日坊主」を調べるためだった。わたしの知っている意味だけが書かれていて、新たな発見はない。
しかし、「三日見ぬ間の桜」ということわざに気づいた。
たった三日見ない間に、つぼみであった桜は満開になってしまい、
満開の桜は散ってしまう。物事の状態がわずかな間にどんどん変化する。
また、この世のはかないことをいう。【故事ことわざ辞典 特装版】
なるほど、そのとおりだ。そのとおりすぎる。
おおもとは、大島蓼太(りょうた)という江戸時代の俳人の句らしい。
世の中は三日見ぬ間に桜かな 大島蓼太
「世の中」は、あたりの自然や環境のことで、季節の動きを詠んだものだという。
今年は家で過ごしすぎて、まさに三日見ぬ間に桜が散っていた。
紅葉も三日見ぬ間に終わる予感がする。