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強いチームを築くためのリーダーシップ戦略

こんにちは。小規模サロン経営塾の大塚明恵です。

サロン経営において、強いチームを築くことは、持続的な成功を収めるための重要な要素です。その中心にあるのは、適切なリーダーの選定と育成です。組織が成長しないと悩んでいる多くの経営者は、リーダーの見極めと選定を間違っている可能性があります。しかし、どのスタッフをリーダーに任命し、どのように成長させるべきかは、極めて難しい判断を必要とします。本章では、実務経験に基づいた具体的なリーダーシップ戦略をお伝えします。

リーダー選びの落とし穴

多くのサロンで見られる典型的なケースとして、売上が高いスタッフや勤続年数が長いスタッフをリーダーに抜擢することがあります。しかし、このような選定基準には大きなリスクが伴います。確かに売上が高いスタッフは技術力や顧客対応力に優れており、新しいスキルを習得するセンスも速度も速いことがあります。しかし、スタープレイヤーは時に教えることが苦手で熱戦でないなど、すべての優秀なスタッフが必ずしも良いリーダーになるわけではありません。中には、自身の成功を優先し、周囲のサポートを軽視する人も存在します。自己中心的な振る舞いや「天狗になる」現象が見られることもあります。
私自身、過去に売上が非常に高く、やる気に満ちたスタッフをリーダーに任命した経験がありますが、その結果として、彼は自身の目標にのみ注力し、チームの士気を上げるような声かけを行いませんでした。彼のリーダーシップスタイルはチームの結束を弱め、結果的に周囲からの信頼を失ってしまいました。これにより、職場の雰囲気が悪化し、離職率の増加に繋がるケースもあります。

真のリーダー資質とは

それでは、どのような人をリーダーに選ぶべきでしょうか。リーダーとして最も重要な資質は、業績や結果以上に献身的な姿勢を持つことです。具体的には、サロン全体のエンゲージメントを意識し、部下の成長や顧客の満足を第一に考える人物が理想的です。リーダーに求められるのは、部下のサポートを惜しまない面倒見の良さと、組織を支える縁の下の力持ちとしての資質です。また、部下に対して必要な場面で「ダメなものはダメ」としっかりと伝える強さ、責任感の強さ、そして規律を重んじる姿勢も欠かせません。
さらに、論理的思考力や行動力に加え、人を励まし勇気づける能力も、リーダーとしての重要な要素です。これらの資質を持つ人こそが、組織全体を引っ張る存在となり得ます。特に、他人の意見を受け入れながらも自らが率先して行動する姿勢は、周囲の信頼を得る上で重要なポイントとなります。

新しいリーダーシップのかたち

従来のリーダーシップでは、上から下へ命令を伝える指示型が一般的でした。しかし、現代のサロン経営では、このような管理型のリーダーシップだけでは不十分です。トップダウン型の組織では、指示通りに動く人材が増え、自己判断ができない「YESマン」を生み出す傾向にあります。そのため、育成の時間や労力がかかるだけでなく、創造性や自主性を持った人材が育ちにくくなります。
私たちが目指すのは「サーバントリーダーシップ」という考え方です。これは、現場のスタッフを第一に考え、彼らの成長とやりやすさを支援しながら導いていくリーダーシップの形です。スタッフが働きやすい環境を整え、課題の解決に向けて一緒に考え、行動することが大切です。なぜなら、最もお客様のニーズやサロン運営の課題を把握しているのは、現場で働くスタッフ自身だからです。

サーバントリーダーシップを実現する10の特性

(出典:サーバントリーダーシップ ロバート・K・グリーンリーフ)

  1. 傾聴(Listening):相手の話を真剣に聴き、相手が気づきを得る手助けをする

  2. 共感(Empathy):相手の気持ちを理解し寄り添う力

  3. 癒し(Healing):落ち込んだ部下を癒し、再び力を取り戻させる力

  4. 気づき(Awareness):自分や他者の状況を正しく理解し、成長を促す力

  5. 説得(Persuasion):権力に頼らず、相手を納得させる力

  6. 概念化(Conceptualization):夢やビジョンを分かりやすく伝える力

  7. 先見力(Foresight):未来を見通し、リスクを予測する力

  8. 執事役(Stewardship):奉仕する姿勢を持ちながら信頼を築く力

  9. 人々の成長に関わる(Commitment to the Growth of People):仲間の成長を支援する意識

  10. コミュニティづくり(Building Community):成長し合えるコミュニティを創る力

リーダー育成のアプローチ

優れたリーダーは、適切な育成プログラムを通じて成長します。当サロンでは、リーダー候補の適性を見極めるために、面接や定期的な適性テスト、性格診断を行います。エゴグラム診断によって、規律性や協調性、ストレス耐性を把握し、総合的な育成方針を立てています。また、リーダー研修では「事実と感情を区別する方法」などの実践的スキルを学び、コミュニケーション能力を磨く場を提供しています。
リーダーシップは筋肉のように、実践を重ねて強化されるものです。部下への指導に不安を感じるスタッフも、強い意志を持って取り組むことで適切なコミュニケーション能力を身につけることができます。

権限委譲の心得

多くのオーナーが苦労する権限委譲の難しさもリーダー育成の一環です。「任せられない」という思いの背景には、「自分はできるが相手はできていない」という認識があることが多いです。しかし、権限委譲とは完璧を求めることではなく、成長の機会を与えることにあります。部下が成長する過程で失敗も受け入れながら、リーダーとしての力を引き出していくことが重要です。

まとめ

強いチームづくりの核となるのは、適切なリーダーの存在です。売上や経験年数だけでなく、人格や成長意欲を重視したリーダー選びが、サロンの未来を左右します。選ばれたリーダーを丁寧に育成し、支援することで、真に強いチームを築くことができます。まずはご自身のリーダーシップスキルを磨き、次世代のリーダー育成に取り組んでいきましょう

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