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第2回公園 脚本紹介④『私の夢はマンガ家です』

こんどうみさとです!こんにちは!なんだかこうやって脚本のお話するの、卒業以来で楽しいです。

さて、皆さんは子どもの時の将来の夢って覚えてますか?
大抵は卒業文集なんかで作文書かされたりしますかね。中学高校と進学すると、それが進路希望という具体的で現実的なものに形を変えていきますね。

私の通った小学校はちょっと変わっていて、毎年の学校行事の一環で「将来の夢を書いた紙風船を空に飛ばす」というものがありました。もう変わり者過ぎて身バレしそう。
そんなわけで毎年自分の夢について書き綴る機会があった訳ですが、そこは好奇心旺盛で落ち着きのない幼少期の私です。毎年コロコロと夢が変わります。

小1 「発明家」
小2「科学者」
小3「ファッションデザイナー」
小4「刑事」 ※恐らく名探偵コナンの影響を受けた気の迷い
小5「写真家」
小6「イラストレーター」

なんの統一感も無さそうなラインナップですが、成長してから気づいたのはほとんど「何かを創り出す」職業であること。
(刑事は……思い返しても本当にわからん……だいたいコナンの影響なら探偵を目指せよ)

さあ前置きが長くなりました。
タイトルにある通り『私の夢はマンガ家です』はそんな将来の夢についてのお話です。
私は自分が感じたことや見たことしか書けません。ですのでこのお話もほとんど実話みたいなものです。

「井の中の蛙大海を知らず」とはよく言ったものですが、子どもの頃ってほとんどの人が井の中の蛙ではないでしょうか?小学校や家庭といった狭いコミュニティの中で生きているので、良くも悪くも多くを知りません。クラスで1番ならそれはもうヒーローだし、そうでなくても褒めてくれる友達や大人がいれば鼻高々なもんです。

今はどうなんでしょうね。子どもでもタブレットやスマホがあるのが当たり前の時代です。その道のプロだけではなく歳近い先達者の姿も見えるので、あまり井の中の蛙にはならないものなんでしょうか。

本作の主人公の遥香も、小学校では誰より絵が上手な、そして何より絵を描くのが大好きな女の子です。
中学に上がれば別の学校からも同級生が増えて、世界が広がります。そんな遥香の目の前に現れたのが光凛という圧倒的な存在です。

ほとんど実話ですと先程書きましたが、(学校で1番とは言わずともたぶん5本の指くらいには入るであろう)絵を描くのが大得意だった12歳の私も、中学で入った美術部で「天才」と呼ぶに相応しい2人の子と出会いました。天才なんて簡単に呼んで、きっと彼らもそこに至るまでに努力を重ねてきているのは百も承知ですが。
それでもなにかに打ち込んだことがある人なら分かるでしょうが、こちらの想像を軽々と飛び越えてくる眩しすぎる才能というのはたしかに在ると感じています。そんな物に出会った時、凡人である我々はどうするでしょう。諦めて筆を折るか、それでも食らいついていくか。

私は筆を折ることは出来なかったけど、その才能が目の前にあって力をつけていくことに着実に心を削られて、また大人になるにつれて現実を言い訳にして、少しずつその夢の形を変えていきました。
漫画家…になりたいこともうっすらあったけど、面白いお話が思いつかないからイラストレーターになろう。イラストレーターって個性も必要だしなかなか稼げないらしい、じゃあグラフィックデザイナーでどうだ?広告代理店はブラックで厳しいと聞く、ならばせめて美術の世界から離れたくない、なにか、とにかく絵が描ける、いや美術に関する仕事。

今は絵を描いているか?と言われたら微妙ですが、なんだかんだいつも美術の世界に浸ってそこそこ楽しくやっております。

遥香は光凛の才能に食らいついていきます。だって描くことが好きだから。私にはそれしかないから。

「絵を描くのが好きだった。好き、だった……好きだよね?今でも」

本編は遥香の自問自答という中途半端なところで終わります。この後彼女は美術系の道に進んでなお上を目指すかもしれないし、普通科で堅実に勉強しながらも絵を続けるのかもしれません。将来マンガ家になれるかもしれないし、別の絵を描く仕事に就くかもしれかい、もしかしたら絵からは離れてしまうのかもしれない。
私の中で遥香は特別な主人公ではなく、どこにでも居る普通の、少し引っ込み思案な女の子です。まだ中学生の彼女にはどんな道でもあるでしょう。
なので遥香や光凛の将来に関しては皆様の想像にお任せします!

(この作品が前半の最後であるために、ひとつのアンサーはラストの『創作おばけ』に投げてしまえ!というのは秘密です)

あとはもう1人だけ名前のついているキャラクター、柏木先生。私は少年少女たちの物語の中で、彼らを導いたりそっと背中を押したり見守っている「良い大人」が大好きです。なので光凛とは対になるような、遥香を支える役割の大人として柏木先生を置いてみました。
先生ってよくわからないこと言ってたりするけど、そのうちの小さなことが心に残ったり、後になって分かったりすることありますよね。柏木先生もまあ遥香に通じなさそうなことを一方的に喋る大人ですが(美術の先生ってこういう人多いんだよなあ)私の美術観、教育観みたいなものを反映しまくっています。実際私が書いて自分で演じることになった役ですが、ちゃんと皆さんから見て「良い大人」になれてたらいいな。

さあやっぱり長くなった。ここまで読んでくれてありがとうございますそんな人が何人いるやら。

最後に。『はりこのトラの穴』という演劇人によく知られた投稿サイトに脚本を公開しているのでリンクを載せておきます。短編集かつ激狭スタジオなのに大量の場転と小道具を必要として申し訳ない気持ちでいっぱいです。たくさん人出すの難しいですね。

長々とお付き合いありがとうございます!ぜひ他の脚本の記事も読んでみてください。それでは!


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