最近読んだ本「未来倫理」
図書館の新着コーナーで、何となくタイトルに惹かれて借りてきました。
われわれの現在の行動が未来に与える影響をどう考えるか、というのがテーマです。
それだけ読んでも??でしたが、最初にわかりやすい「ドライブ中のあなた」の話があり、なるほど!となりました。
もしあなたが海岸をドライブ中に溺れかけている子どもを見かけたとします。「急いでるから」と見殺しにして通り過ぎれば、あなたは問題ある行動をとったといえます。目撃者がいれば罪に問われる可能性もあるかもしれません。ここでは、生命を脅かされている子どもは助けるべき、という当たり前の倫理観が働いています。
しかしこれが未来のことになるとどうでしょうか。
いまガソリン車に乗っていることは、地球温暖化やエネルギー枯渇の観点から将来の子どもたちの生命を脅かしているといえます。しかし溺れている子どもほどにはそう強く感じないのではないでしょうか。
こういったことについて「倫理」をどう考えるか、ということを易しく教えてくれる本でした。
「未来倫理」を考える素材としてはさまざまなトピックがありますが、著者は次の3つの問題を挙げました。
1) 気候変動
2) 放射性廃棄物
3) ゲノム編集
ひとつひとつについて問題の本質や倫理観を問うアプローチ方法などを検討したのち、これらを「グローバル性」「被害リスク」「個人への影響」等の観点からチャート化しました。
いずれもわたし自身ぼんやりとしたイメージしか持っていなかったものですが。。。ざっくりと各々の特徴が分類され理解が進みました。
しかし少しばかり理解したところで「んで、結局何すればいいの?」となるのですが、それを能動的に考えなさいというのが著者のメッセージかなと。
「想像力」というとありきたりな感じですが、実際にワークショップなどでたとえば「未来の子どもAさん」vs「現代人Bさん」みたいなディベートをするとかの例がありましたが、とても良いと思いました。日々の生活で触れるニュースなどから、いつも未来人になりきって考えてみるとかもありですね。
しかしできるかなあ。うーん。。。すぐ忘れそうや。。。あかんな。汗
最後に、本題とは少し離れますが、やはり今回改めて危機感を持ったのは「気候変動」の問題でした。産業革命以前の人間の自然への影響力と、以降の破壊力の差は比較できないほど大きいそうです。そういったニュースは日々見ているはずなのに、やはり自分ごととして考えられていないなと反省しました。
しかし「んで、結局何ができる?」と自問、さらに反省した次第。
戸谷洋志『未来倫理』集英社新書(2023年)
※画像と本文は関係ありません。
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