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「学習する組織」のきほんの「ほ」(オンライン&短縮版①)200326

少人数のワークショップなので、換気を徹底しつつオフラインでの実施を目指していたのだが、前日にオリンピックが延期、東京では知事が緊急声明を出すなど、にわかにざわざわする状況になったため、オンラインで実施することとなった(直前の変更を一緒に考えてくれたかず&ふみさんにありがとう。対応してくれた参加者のみなさまにも多謝です)。

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↑ おなじみの人にはおなじみのやつ

創造的志向性と内省的対話の2つの軸についてワークを踏まえてシェアするつもりだったが、Zoomで2時間という構成を考えて、創造的な志向性だけにしぼった話をすることにする。このNoteでは、その前半を紹介。

〇 創造(Create)

英英辞典で「Create(創り出す)」という言葉の意味を調べてみると、とてもシンプルな定義が出てくる。「Bring something into existence(何かを存在させる)」だ。「クリエイティブ」という単語からすぐに連想される「独創性(オリジナリティ)」や「人と違う」「これまでにないものを創る」などの意味は含まれていない。

私たちが「学ぶ」とき、私たちは誰もが、創造的な活動の領域に足を踏み入れている。学習というのは、これまでできなかったことをする力を育てるプロセスだからだ。なかったものを、存在させるのだ。

個人的な話だが、「クリエイティブ」という言葉を聞いた瞬間、私の反応は「自分には関係ない」だった。それが特別なこと、選ばれた人だけの仕事であるというイメージが「創造する」「創り出す」ことから人を遠ざけている。本当は誰もが自分自身の現実を創り出す、学習者であり、創造者であるにもかかわらず。これを「クリエイティブの罠」と呼んだらいいと思う。

〇 志向性(Orientation)とは「意識を向ける」ということ

なぜ意識を向けることが重要か。シンプルな答えは、意識や注意というのは、私たちにとって貴重なリソースだからだ。そして、エネルギーは、意識のあとを付いていく(Energy follows attention)。

私たちは、注意を向けたものに時間を使い、注意を向けたものに関する情報を自然と集める。ある車に試乗してみて気に入った途端、翌日から道を行くその車種ばかりが目に入ってくる(昨日まで同じ車に気づきもしなかったのに!)。冬物のコートを買おうと思ったら、突然、電車に乗り合わせた人のコートがどんどん目に入ってくる。そんな経験はないだろうか?

自分自身の意識をどこへ向けるか。つまり、自分の時間とエネルギーと集中力を何のために使うのか、そして、どんな情報を集めるのか。単純なことだが、私たちはこれを習慣に任せきりにしていることが多い。

ピーター・センゲの大学院時代の指導教官ジェイ・フォレスターが言ったらしい。「小さい問題を解決するにも、大きな問題を解決するにも、同じエネルギーと時間が必要なのに、どうして自分にとって一番大切なこと以外に、時間を使うんだい?」。

〇 創り出すプロセスと問題解決はちがう

「創り出す」とは、何かを存在させること、つまり「自分が望むものを現実にする」ことだ。一方で、問題解決とは(多くの場合)「望まないものをどこかへやること」だ。

私たちは学校で問題を与えられて、問題を解決することで承認をもらう。みんなが共有している原体験と言ってもいいかもしれない。「問題」に意識を向ける。問題を発見する。解決する。次の問題を発見する。解決する。また別の問題を発見する。。。さて、何か見落としているものはないだろうか。

たとえば、「健康である」ことと「病気がない」ことは同じだろうか。ピーター・センゲのメンターの1人、日本の「製造業の父」W. エドワーズ・デミングは、93-94歳で亡くなる前の週まで現役で活動していたらしい。健康とは、自分にやりたいことがあり、希望を抱いて、その願いを実現するために、自らの意思で行動することができることではないか。しかし、今「ヘルスケア」という名のもとで行われている行為のほとんどは、病気の治療であり、悪いところを悪くない状態にすることだ。

何を創り出したいのか。何に存在してほしいのか。問題を解決した結果、何が起きていてほしいのか。健康になるとはどんな状態か。創り出したいものに意識を向けることで、大切なこととそうでないことが区別できる。エネルギーを大切なことに向けることができる。

かつて、ダライ・ラマが著名な精神科医に尋ねたらしい。「どうしてあなた方は精神異常の研究ばかりをして、幸福やウェル・ビーイングの研究をしないのですか?」。

〇 ビジョンの原則1:存在してほしいものにフォーカスする

かつてピーター・センゲと一緒に仕事をしていたアーティスト兼コンサルタントのロバート・フリッツが言った(らしい)、ビジョンの第1の原則がこれだ。「存在してほしいもの(end-results)にフォーカスすること」。

私たちは、いわゆる「問題解決(課題解決)」に意識を向けがちだ。そして、最終的に実現したいことをおざなりにしてしまう。「この問題を解決しなければいけない(さもなくば、ビジョンは実現しない)」と言いながら、向かっている先がとても曖昧だったりするのはよくあることだ。

合気道に「折れない腕」という練習がある(英語では、Arm-bending exerciseと呼んでいる)。伸ばした腕を「曲げられないように」する場合と、「どこまでもまっすぐに伸びた鋼鉄の棒」のイメージを持ち続ける場合に、人の身体にどれだけのちがいが起きるかを実感できる。そう、エネルギーは、意識のあとをついていく。

〇 ビジョンがなければ何も起こらない。今の現実を無視しても何も起こらない。

第2の原則がこれだ。存在してほしいもの、私たちの望むもの、これを「ビジョン」と呼ぶ。企業や組織のビジョン・ステートメントと混同しないことが大切だ。ここでいう「ビジョン」とはシンプルに「私の望むもの」であり、立派でなくても、大きくなくても、昨日と今日でちがっていても、かまわない。

望む成果に意識を向けることからすべてが始まるが、それだけでは不十分だ。今の現実を無視した理想家が、ビジョナリーの名前に泥を塗る。ビジョンを明確にしながら、今の現実をありのままに見つめる。この2つの並列配置(juxtaposition)が、ビジョンに向かう力をくれる。

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▽ 以下、後半はここから

〇 創造的緊張(緊張構造)はすべての動きの背後にある
〇 テンションとギャップのちがい。
〇 ビジョンが何かではない。何をするかが大切だ。
〇 感情的緊張に気を付ける
〇 HOWを知っている必要はない


これは、昔書いたエントリー ↓

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