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「文化が生み出す強さの違い~ハリウッドと『葬送のフリーレン』の比較」

これまでの2部で、ハリウッドと日本アニメの「強い女性像」について掘り下げてきました。今回は、なぜこの違いが生まれるのか? という根本的な問いに対して、文化的背景や物語の作り方を通じて分析していきます。『葬送のフリーレン』に描かれる内面的な強さと、ハリウッド映画でよく見られる外面的な強さが、どうしてこうも異なるのか。その理由を探っていきましょう。

文化的背景の違い

ハリウッド映画における「強い女性像」は、しばしばDEI(多様性・公平性・包括性)や、社会正義に基づいたwoke思想の影響を強く受けています。

これにより、映画内で描かれる女性は力強く、リーダーシップを発揮し、物理的にも戦闘的にも優れているキャラクターが多いです。

こうした描写は、特に社会的な平等を強調する文化の中で重要視されてきた背景があるのです。視聴者に「強さ」を直接伝えるために、圧倒的なパワーや自立したヒーローとして描かれることが多いのです。

一方で、日本の文化は「感情の深み」や「成長の過程」を重視する傾向があります。特に、アニメの物語ではキャラクターの内面的な成長や人間関係が丁寧に描かれます。

『葬送のフリーレン』でも、主人公フリーレンが持つ「強さ」は、彼女が経験した感情的な葛藤や過去の別れを通じて徐々に育まれていくものです。このような描写は、日本の文化が大切にする「儚さや感情の繊細さ」と深く結びついており、視聴者が共感しやすのだと思います。

物語作りのアプローチの違い

物語の構造においても、ハリウッドと日本アニメには大きな違いがあります。ハリウッドの多くの映画では、アクションや速い展開が重視され、キャラクターの成長よりもストーリーのスピード感が優先されることがあります。

ここでは、主役の女性がパワフルで、敵を圧倒する姿が強調され、観客に「目に見える強さ」を誇示することが目的となっております。

これに対し、日本のアニメでは時間をかけたキャラクターの成長が描かれることが多く、特に『葬送のフリーレン』では、長い旅を続けるフリーレンが時間をかけて過去の後悔や感情に向き合い、強さを育む姿が描かれています。

この「成長過程」が物語の中心に据えられ、視聴者がキャラクターとともに歩むことができる体験を提供しているのかと思います。

視聴者の期待の違い

ハリウッド映画を観る視聴者は、しばしばスリルやアクションを求め、強い女性キャラクターには「ヒーロー」としての役割が期待されます。

そのため、彼女たちは戦闘能力やリーダーシップを発揮し、物語を動かす存在として描かれることが多いです。これが一部の視聴者には「過剰」と感じられる原因になり、強い女性キャラクターが一面的で共感しにくいと批判されることがあります。

一方、日本アニメの視聴者は、キャラクターの心の動きや成長に共感を求めます。

『葬送のフリーレン』のような作品では、フリーレンが過去の仲間たちとの思い出を振り返り、彼女自身の感情に向き合いながら成長する姿が丁寧に描かれています。

この過程を追体験することで、視聴者はフリーレンに対して強い共感を覚え、彼女の強さが単なる「力」ではないことを理解するのです。

結論とまとめ

ハリウッドと日本アニメにおける「強い女性像」の違いは、文化的背景や物語作りのアプローチ、そして視聴者の期待によって生まれています。

ハリウッドの強い女性像は、速い展開と力強さを重視し、視覚的にも圧倒的な力を示すキャラクターが多いのに対し、日本のアニメでは内面的な強さや感情の成長に焦点が当てられています。

『葬送のフリーレン』は、その内面的な深さと時間をかけた成長の描写によって、多くの視聴者に共感を与えています。

彼女の強さは、戦闘能力にとどまらず、感情の葛藤や後悔、そして他者との絆を通じて生まれるものです。

これが、『葬送のフリーレン』が日本だけでなく、世界中で支持を集める理由の一つと言えるでしょう。

ハリウッドと日本アニメ、それぞれが描く「強さ」は異なりますが、どちらも異なる魅力を持ち、それぞれの文化や視聴者のニーズに応じて独自のスタイルを発展させています。この三部作を通じて、「本当の強さ」とは何かを改めて考えるきっかけとなれば幸いです。

今回は、ややフェアではない比較としてハリウッド作品と『葬送のフリーレン』を取り上げましたが、この対比を通じて、日本とハリウッドの作品が抱える文化的背景の違いが、強い女性像の描き方にどう影響しているかを分析してみました。

最後に

ニューヨークの同僚がアニメ『葬送のフリーレン』第10話を観た際、
フリーレンの師匠であるフランメについて強い感銘を受けたと言っていました。

フランメは非常に知的で策略に長けた女性であり、力強さを持ちながらも人間の有限性を象徴する存在であると感じたそうです。

彼女(同僚)にとって、これほど美しく描かれた強い女性像は今まで見たことがないほど印象的だったようです。

そしてどんな表現をするより、フランメについては、ただ一言。
「カッコいい!」だそうです。

さらに彼女(同僚)は、"See, Hollywood? That's how you make a badass strong woman!"(「ハリウッド、見たか?これが本当の強い女性キャラクターの描き方だ!」)と絶賛し、フランメの描写を非常に高く評価していました。

彼女にとって理想的なキャラクターだったようです。
※どうやらフランメについては、ヨーロッパの同僚達も同じような
ご意見らしいです。
まあ、私も完全に同意ですけどね。

このように、ハリウッド作品で描かれる「強い女性像」との比較からも、フランメの魅力が際立っていたことがわかります。

フランメの声を担当されていた田中敦子さんがご逝去されたと知り、心から残念に思います。彼女が演じたフランメの声には圧倒的な力があり、その存在感は物語に深い感動を与えてくれました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。


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