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不確実性を楽しむ力~創造性を引き出す思考法とは?
創造性を発揮したいなら、確信は捨てるべき
「創造性を発揮したいなら、確信は捨てるべきだ」。この言葉を初めて聞いたのは、大学時代の恩師との会話の中でした。当時、私は飲食業界のPR担当として働いており、次々と変化する市場や消費者のトレンドに対応する日々を過ごしていました。
新メニューのプロモーションやSNSキャンペーンの企画で、どのアプローチが正解なのか確信が持てず、悩んでいた時期でした。そんなとき、久しぶりに母校を訪れ、恩師とカフェで昼食を取りながら仕事の悩みを相談したのです。
(卒業して何年も経ってからでしたが、快くアポを受け入れてくださりました😭)
私は、あるレストランの新しい季節メニューのPRを担当していました。新メニューの魅力をどう伝えるか、またどのようにSNSでバズを狙うかが大きな課題でした。
写真の見せ方、ストーリーの組み立て方、そして何よりもお客様がどのように反応するかが見えず、私自身、どの道が成功へとつながるのか全く分からなかったのです。「何か新しいことに挑戦するのはいいけど、失敗するんじゃないかって不安なんです」と、私は恩師に打ち明けました。
そのとき、恩師は私にこう言いました。「創造性を発揮したいなら、確信にとらわれてはいけないんだよ」。その言葉が私の心に強く残りました。恩師は続けて、「新しいことをするには、明確な道筋なんてない。むしろ、何が正しいか分からないからこそ、新しいアイデアや解決策が生まれるんだ」
と教えてくれました。この言葉が、私の仕事の取り組み方を大きく変えるきっかけになりました。
挑戦
飲食業界のPRでは、常に新しいアイデアを試み、不確実性を抱えながら進むことが求められます。そのレストランの新メニューのプロモーションでは、最初は何をどのように伝えるべきか全く見えませんでした。
しかし、恩師の言葉を胸に、私は確信を持つのではなく、「失敗してもいいから試す」という気持ちでいくつかのキャンペーン案を企画しました。
一つのアイデアは、季節の食材を強調するビジュアルストーリーでした。
初めての試みとして、料理そのものではなく、裏にあるストーリーに焦点を当てました。たとえば、「どのような農家からこの野菜が来ているのか?」「どんなシェフのこだわりが詰まっているのか?」を紹介することで、ただの新メニュー以上に感情に訴えかける形にしました。
これまでとは異なるアプローチで、不確実性を感じながらも実行しましたが、結果的にSNS上で大きな反響を得ることができました。
この経験から、PR活動においても「確信を持っている」状態が必ずしも成功を意味するわけではなく、逆に柔軟な発想と新しいことへの挑戦が重要であることを学びました。
軌道修正の勇気
PRのプロジェクトでは、計画がうまくいかないことも多くあります。その新メニューのPRでも、初期段階では、投稿するタイミングやターゲット層が合わず、期待していた反応が得られませんでした。そのとき、恩師の言葉を思い出し、私は一度立ち止まって、軌道修正を行うことにしました。
投稿内容を再編集し、ターゲット層に合わせたメッセージングに変え、さらにビジュアルの一部をユーザー参加型にすることで、消費者の関与を引き出す方法にシフトしました。結果として、当初の計画とは全く異なる形になりましたが、最終的には期待以上の結果を得ることができました。
この経験から学んだことは、計画がうまくいかないときでも、その失敗を糧にして、新しいアイデアを取り入れ、変化を恐れずに進むことの大切さです。
不確実性に対して柔軟に対応することで、最終的に成功へとつながるのだと。。
問い続ける意志
私の意思決定が遅いことは、かつては自分の弱点だと感じていましたが、飲食業界のPRにおいてはそれが強みになることを知りました。不確実な状況の中で、アイデアを何度も練り直し、再検討するプロセスが創造性を高める結果を生むことがあるのです。
特に、この新メニューのPRキャンペーンでは、顧客が何を求めているのか、どんなストーリーに共感するのかを何度も考え直しました。一見関係のない情報やデータを集め、それをどうつなげるかを時間をかけて探りました。この「問い続ける意志」が最終的に、より効果的で独自性のあるPRを実現させることができました。
今では、この業界は卒業し、営業職を経てからコンサルタントの仕事に従事しておりますが、
どの業界でも確信が持てない状況に直面することは少なくありません。
しかし、恩師の言葉を思い出し、不確実性を恐れるのではなく、それを受け入れることで、新しいチャンスやアイデアが生まれると信じています。
この姿勢で、次の挑戦にも進んでいきたいと思っています。
今日は学生時代に恩師からいただいた本が目につき、
この思い出話をしたくなりました。
おわり