見出し画像

スポーツ業界にビジネスパーソンはいないのか?

Twitterの中での議論から先日こんな記事を書きました。そのあと、この記事を下書きしたまま忘れていたのですが、思い出したので載せようと思います。

この件について、色々ご反響・ご意見をいただいたなかで、一歩考えが進んだところとして、

-スポーツ業界に入った時に身に付く「ビジネススキル」が明確でない=「出口」が見えない

-「出口」が見えない為に、相対的に「入り口」も見えない

-複雑に入り組んだ対ステークホルダーや、ケースバイケースの中で一般化したスキルセットを言語化できない

というという事でした。

ここでいう「出口」とは、転職の際に他業界、他社でも通用するスキルセット、業務履歴の事を差し、転職する時にはキャリアアップにすらつなげられることであると認識しています。

また、言語化できないということについては、中で働いている人間ですら一般化したスキルセットを語るのが難しい現状を表しているのだと思います。

それと同時にHalf Timeさんにて下記記事も掲載されていました。

スポーツ業界にはビジネスパーソンがいない論、というものがこれに関連して頭にもたげて来たので、自分の中でさらに考えを進めてみることにしました。

「ビジネスパーソンがいる」とはどういう状態なのか?

そもそも「ビジネスパーソンがいる」とはどういった状態なのか?

私はこう見ています。

-世の中に成功企業、成功業界として認識されている

-いわゆる「国内(狭義では地方経済)」「世界」の範囲で、企業が所属するマーケット内、及びマーケット間での相対的優位な位置づけで語られる


この観点から、そもそも国内スポーツ業界を見てみると、スポーツという世界は常に「世界」のマーケットとの相対的な位置づけで「成功」「不成功」を語られ易い、と解釈しています。

もちろんスポーツによりますが、ほとんどのスポーツは国際競技会、海外プロリーグ・大会が存在し、競技レベルを「世界」マーケットの中で計られます。
米国で人気のあるアメフトや野球は少し例外で、世界における比較対象がアメリカという巨大国家となるため、どちらかというと「世界=アメリカ」「国内」マーケットでの比較になり易いと思っています。

さらに加えて、「スポーツ業界」という切り口となるとき、他のビジネス「業界」との相対比較も発生することにもなります。
「スポーツ業界」というところがビジネスとして、他業界との相対比較において「成功」していないと見られ易い状況があります。

またここでいう成功は、ビジネスパーソンの話をしている以上、ビジネス上の金銭的成功を中心に考えています。もちろん、金銭的成功には会社としての成功と個々人の成功の両面があります。

日本のスポーツ業界にビジネスパーソンについてのネガティブ論がはびこるのは、この意味での相対的位置の低さに起因するのではないか、と思っているのです。

日本内の一般的見方で、「成功」している業界として認識されていないので、そこには「ビジネスパーソンがいる」状態にはなっていない、ということになります。

既存のビジネスパーソンに選ばれて、ビジネスパーソンが生まれる業界になる

冒頭で紹介したビジネススキルの話と、今回のビジネスパーソンの話を考えていて出た一つの考えとしては、

Step1 国内マーケットで、他業界との相対的位置を高める

Step2 世界マーケットで、他国との競争で相対的位置を高める

という事が必要なんだと感じます。

もちろん0か100かの話ではないので、Step1とStep2は同時並行で取り組む必要はあるのですが、優先順位としては上記であるはずです。
私が最近Twitter等でアジアの重要性を唱えるのはまさにStep2を高めるために、アジアマーケットを日本に取り込まなければならない、と考えているからです。

そして、このStepを実行するにあたっては、

①スポーツ業界で身に付く「ビジネススキル」を定義する=「出口」を明確にする

②スポーツ業界でビジネスパーソンが育ち、結果(ビジネスの金銭的結果)がでる環境を作る

③スポーツ業界が国内マーケットにおいて「成功」を納める事例を積み上げる

④スポーツ業界が世界マーケットにおいて「成功」を納める事例を積み上げる

が必要だと思っています。

①②においては、各会社単位の努力でできる範囲は大きいと思います。これは人事と経営に大きく関係しています。③④までくるとこれはスポーツの各協会、各プロリーグ機構の全体戦略が大きく影響してくるところだと思います。

そういった意味で、スポーツ庁ができ、日本の成長産業としてスポーツ産業が位置づけられた事はとても追い風になっていて、国として③④に取り組める環境、インセンティブは整いつつある、ということだとも思っています。2025年までに日本のスポーツ産業を今の5兆円から15兆円へ成長させる政府計画です。

既に出来上がっている「ビジネスパーソン」に来てもらえる業界になること。加えて、私自身は、スポーツ業界にどんどん新卒が入ってもらえるようになった時、②が出来上がったと言えるようになると考えています。

そして、スポーツにはそれぞれの運営する組織の哲学を色濃く残して行かなければならないなか、新卒として入った人材こそがこの哲学を最も色濃く受け継げる人材と考えています。新卒社員が一生スポーツ業界にいる必要はないと思っています。キャリア形成の一環としてスポーツ業界が一つの選択肢になれることが大切です。そのために、新卒が「入り口」としてスポーツ業界を選びとれる環境をスポーツ業界として作り出せる事が肝要ではないか、と私は考えるのです。

#スポーツ
#サッカー
#スポーツ業界
#スポーツ経営
#ビジネス
#考え方