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僕はファイナルソード好きです。

2020年7月2日、ファイナルソードが配信された。
不自然な翻訳と前時代的なグラフィックに惹かれ購入を考えていたが、アセットの問題により4日で配信停止。買い逃してしまった。
そして2021年2月7日、新しくDE版として配信。今度は逃すまいと思い購入した。

確かに酷いゲームだった。ゼルダBotWやSEKIROなんか比べるまでもない。でも終わってみれば不思議と悪かった気がしないんだ。

推しではある。おすすめとは言わないが。
遊べば意外と楽しいんだ。やれとは言えないが。
だからこれだけ覚えてくれ、ファイナルソードはクソゲーじゃないし、面白い部分がちゃんとあるのだと。

違和感は絶えない。フォントとかもっと良いのあったんじゃないか。敵もかなり強い。敵集団に囲まれればなすすべなく死亡するし、序盤から攻撃を差し込むタイミングが全然分からない敵が出現する。

しかし要領がつかめてくると、本作の面白さが少しづつ見えてくる。

何度も死にながら、集団との戦闘は避けるべきと理解する。
1対1でもレーダーを見て乱入を常に警戒する。もし集団戦になるなら攻撃チャンスでも欲張らない。自分が瀕死なら全力で逃げる。逃げの立ち回りを徹底することで初めて戦いになるのだ。
攻撃しづらい敵には溜め攻撃の無敵や魔法が有効だったりする。

敵は強いが、必ず攻略法が存在するのだ。

ファイナルソードにはシンプルながら、トライ&エラーの楽しさが詰まっている。

慣れた敵でも数が増えると難しい。レーダーを見つつ漁夫を警戒する立ち回りが必要だ。画像の例ならすぐに回復を入れて、右後ろからの急襲に備えねばならない。結構ハードである。

敵の方が素早いので立ち回りを頑張るしかないとも言えるが、攻略に操作精度が問われないのも絶妙に思える。
溜め攻撃と前転の無敵が強力なので、逃げつつも突っ込むタイミングを図る方が大切だ。上手くいけばザクザクと相手の体力バーが減る。シンプルに楽しい。

いや半分ウソをついた。操作精度は問われないのだが、別の問題がある。剣の判定が変で攻撃が当たらんのだ。

剣の当たり判定は見た目通りなのか、攻撃が思うようには当たらない。先行入力にも癖があり、派生攻撃が出たり出なかったりする。
なので、隙を突くことまで問題ないが、攻撃を当てるのが難しい。
どうにか当てようと無理に差し込みに行くとボコボコにされたりする。貴重な攻撃チャンスを逃してもキレない根気が必要だ。

あと実は体力バーだってそんなに減らない。レベルと装備が足りなければ攻撃なんか全然通らない。レベリングもほぼ作業でそこそこの時間がかかる。
というか、終盤の敵は適正レベルでも固い。

それでも本作は面白いんだ。本当だ。信じてくれ。
なんせファイナルソードのボス戦はとてもバリエーション豊かなんだ。

雑魚敵の大群が押し寄せたり、ボスより周りが強かったり、魔法を主体に戦ったり。趣向を凝らした戦いを楽しめるんだ。
これもシビアながらトライ&エラーを繰り返すことで、攻略の糸口がつかめるようになっている。動画ではただただつまらなく見えるが、遊んでみれば意外と印象は違うものだ。

これは初見で数の暴力になすすべなく屈する勇者の図。
一見理不尽だが、群衆の外側を削り取るように攻撃することで攻略できる。

ただ、それはそれとして擁護できないほどつまらない場面はある。ヘルウォームと雪の山ステージ。お前たちのことだぞ。

ヘルウォームは弱点が小さい上に攻撃チャンスが少ない。前述した剣の判定もあり、とにかく攻撃が当たらず時間がかかる。
チャンスが少ないからって体力が少ない訳でもない。根気が必要なボスだ。

雪の山の道中は、適正レベルでも敵が固くてどうしようもない。
更にボス達は凍結ハメで本作のトライ&エラーの楽しみをぶち壊す問題児だらけだ。

画像は凍結を受けたところ。この凍結が解けた後に再び凍結、それが死ぬまで続く。凍結は溜め攻撃の無敵すら貫通するために、戦い方が分かっていても対処しようがない事多し。

ただ、クリア不能なほど難しくはない。
本作は理不尽と感じかねないグレーゾーンを右往左往しつつ、崩壊する手前で落ち着く不思議なバランスで成り立っている。

いや、でもファイナルソードは面白いんだ。
雪の山のことは一度忘れよう。

ファイナルソードはプレイヤーの好奇心を刺激することを忘れない。
日本語のテキストはどこか変でユルいが、NPCの台詞がシナリオ進行で変化するので雰囲気はある。
ダンジョンは冗長で広すぎるが、行き止まりには必ず宝箱があって、探索が無駄にならない工夫がある。

粗いが頑張りだけは伝わってくる。

何の間違いもない日本語だが、威厳が無い。
「コントの世界観」と言われるのは多分こういうとこ。

ここまで欠点の方が文書量が多いが、これでも全然書ききれた気がしない。

グラフィックなんか酷いもんだ。
主人公の顔は見れば見るほど笑えてくる。敵の見た目にはなんの統一感もない。マンティコアなんかウナギみたいにテカテカしてるし。それにムービーはすっごいユルい。

他にも猫っぽい鳴き声の植物がいるとか、魔法の判定とか、デフォルトの音量とか、まだまだ沢山ある。

でも間違え方がシュールで味わい深いために、逆に笑いが込み上げてきて、それが楽しみになるんだよな。

ダンジョンには何がいるのか?洞窟にはどんなボスが?次のムービーは?
欠点も含めてバリエーションだけは豊かなせいで、先の展開が全く予想ができない。ゲームというよりコントを楽しんでいたのかもしれないが、それでも次はどうなるんだと俺はこのゲームにワクワクしていたんだ。
時々ある奇跡的な面白さに、予想外の笑い所に、ファイナルソードをクリアして得られる勲章に心を掴まれたんだ。

こうなりゃあ欠点の類は全部味みたいなもんだ。

見た目は00年代くらいのクオリティ。欠点は指摘しきれないほど。
しかし何度でも言うがファイナルソードは面白いのだ。欠点だらけでも、プレイヤーの好奇心を刺激したり、攻略を考えさせることだけは最後まで貫き通したアクションゲームなんだ。

きっと本作はクソゲーとして数年後も語り継がれるのだろう。
ただそれでも面白さを見出す人がいるのだと思って頂ければ幸いだ。


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