体が共鳴する音に没入する時間
ワイヤレスイヤホンを手にして、私の日常が変わった。公共の場に出るときはほぼイヤホンをしている。そして音の世界に没入する。電車ではずっと目を瞑っているかも。
Uruの歌声はエネルギーがどうしても落ちている仕事帰りに最高。一心に聴いていると、私の中のもやもやが浄化されていくような感覚がある。
仕事を含め、何か能動的に動くイベントなどに向かうとき、よく聴くのはヴァイオリンの曲だ。
1年半前、ヴァイオリンを習い始めた。きっかけは息子のレッスンに付き添っていて、自分でもやりたくなったから。
まず息子がヴァイオリンを習い始めた理由はこうだ。
音楽が好きそうな息子に何か楽器をさせたい、でも子どもの習い事の代表格・ピアノはどうしても避けたいと思った。なぜなら、私は小さい頃、本当にピアノの練習が好きじゃなかったから。いま思うと、なぜあんなにもたった30分の練習すらイヤだったのかと思うのだが、とにかくのらなかった。だから息子が習ったところで、私が付き添ってあげることは難しいだろうと考えた。
あとある素敵なヴァイオリニストと仕事でご一緒する機会があり、その演奏のあまりのカッコよさと音色にドハマリしたことも、大きかったかもしれない。
そんなわけで、息子が始め、その半年後に私も始めてしまったというわけだ。
ヴァイオリンを始めてみてどうだったか?
それが驚くほど「合っていた」みたいだ。
たった一音がキレイに出ただけでとてつもなく嬉しくなり、先生とのハーモニーに心躍り、一曲仕上げたら、もっともっとなめらかに弾けるようになりたくて練習を続ける。かつてのピアノとの向き合いが嘘みたいに、いつまでも弾いていたいと思う。
先生にそのことを話したら、楽器との相性は確かにあって、お母さんにはヴァイオリンがものすごく合っていたんですね、と言われた。ホントにそうなんです!だってこんなに弾いているだけでウキウキするんですもの!
ヴァイオリンを弾いていて、私が心地よいと感じているのは、おそらく音に体が共鳴する感覚があるからだろう。ヴァイオリンはすごく体に近いところで音を奏でる楽器だ。だから弓を引く度に体全体に音が響く。一番低いG線の太い響きも、一番高いE線の伸びやかな響きも、すべてが心地よい。
イヤホンの話に戻ろう。ワイヤレスイヤホンにして、体の中にすごく音が響く感覚を初めて知った。音楽によっては子宮にダイレクトに届く感じもあるくらい。そんな感じなので、ワイヤレスイヤホンでヴァイオリンの曲を聴くのは、私にとって最高のエネルギーチャージになっている。
野球少年の息子が、いつまでヴァイオリンを続けるかは分からない。それはそれでタイミングだろうから。ただ息子きっかけでヴァイオリンを聴くだけでなく、演奏することに出逢えたことは私にとっては最高の宝物だ。
これからもたくさん弾いて、自分の中に音を響かせたい。そしていつか自分以外の人ともこの心地よい響きを共有できたらと思っている。