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【エッセイ】進め!進ぬ!少年だった頃

Twitterは予想もしてなかった線がいつの間にか繋がっていたりする。
やはり縁とは面白い。

ドラマや映画などの演出、監督などされている方が同郷であったことからフォローさせてもらったことからはじまり、ありがたくもフォローをしてくださって、知れて良かった情報がタイムラインに流れてくるようになった。
2023年1月から始まる新ドラマの中で特に注目して待っていた「警視庁アウトサイダー」もその同郷の方が携わっていることを知りそりゃもう胸は高鳴る高鳴る。
予想通り。「警視庁アウトサイダー」は今期トップクラスのドラマだった。もう言い切っていい。この記事を書いてる時点で第4話の放送が終わって次の第5話を楽しみに待っているところである。

ところで「進ぬ!電波少年」という番組を覚えているだろうか。(えげつない転換)
電波少年シリーズは1992年から放送されていたバラエティ番組である。実に過激で勢いがあった。その無謀なチャレンジ企画は社会現象となった。
猿岩石のユーラシア大陸をヒッチハイクで横断する企画は関連商品も大ヒットした。歌もヒットした。

そしてヒッチハイク企画は猿岩石だけではなかった。
アフリカ・ヨーロッパ大陸縦断編である!
この企画に挑戦したのが俳優の伊藤高史さんと香港のタレントのチューヤンさんの「朋友(パンヤオ)」というコンビだった。(この企画のために結成)
98年から約一年間電波少年のメイン企画として放送された。

私はその頃丁度高校受験の時期であった。
それでも多少の抜けはあっても観ていた記憶がある。というかかなりテレビ観ていた…。
ゴールまでお金を稼ぐためにチューヤンは得意な絵を描いて売っていた。売れなくて困っていた時伊藤さんが即興のパフォーマンスで道行く人を笑わせてチップをもらっていたのを覚えている。
髭も髪も無造作に伸び、白いシャツは首元がよれ色も汚れていく。雨に打たれ…それでも歩き続けていた。芸人さんと違って俳優さんには耐えられないのでは…と。そんなことを思いながら観ていた記憶がある。(役者さんの忍耐力、体力の凄さをまだ知らなかった頃よ…)
もともと番組の企画で知り合った二人。旅を続けるうちに変化していく関係性。言語や文化の違いの壁もただでさえあるのに相当過酷だったのはいうまでもないことだろう。
なぜ電波少年の話になったのかはこの「警視庁アウトサイダー」に伊藤高史さんが出演されているからである。
これもまたご縁なのか。
ドラマきっかけで伊藤高史さんともツイッターでフォローし合えた。今では5人の良きパパとなっていた伊藤さん。時の流れを感じた。俳優だけでなく演出など様々な活動をされていることもTwitterで繋がらなければ知らないままであった。
まさか受験生だったあの頃にブラウン管のテレビで観ていた「朋友」の伊藤さんが自分の詩集のツイートをリツイートしてくださるなんて想像も出来なかっただろう。まだあの頃はピッチ(PHS)だった。スマホでTwitterなんかドラえもんの世界だ。

電波少年では隣県の富山の大女優、室井滋さんも「演歌で目指せ雷波少年系アジアの歌姫」というこれまた過酷な企画に挑戦させられていた。

室井滋さんの健闘…捨てられるわけがない


当時ご自身主演の映画で演じられていた演歌歌手・赤城麗子の持ち歌「おしどり涙」を歌いまくりその場に集まっている現地の人々にカセットテープを売り1000本完売で終了というおそろしいミッションである。
定期的にダーツを目隠しで投げ次の行き先を決めるという鬼のようなことまで…
私はまだレンタルビデオが主流だった時代にVHSを買い何度も観た。笑っていいのか複雑だったが面白いんだ…もう…悲しいくらいに。
元気になれた。室井さんの健気な姿に。自分で自分を励ます姿に。
室井さんが現地の屋台のドーナツ屋の主人になめられまいと強気に「おつりちょうだい!おつり!返して!」を英語で「バック!バック!」と声を荒らげて言うもんだから屋台のおっちゃんはお金も返してタダでいいよと笑う。
「なめられちゃいかんと思って悪いことしちゃったかな?ホホホ」と、室井節炸裂である。

DVD化していないのがとても残念。
ビデオデッキもなくテープだけ手元に残っている。
引っ越しを何度もしてきたはずなのに。
これは観る手段がなくてもずっと捨てられずにいる。
とにかくよく大女優にここまでやらせるなーと、ぶっとんでいた電波少年シリーズ。出演者からおそれられていたプロデューサーの登場はダースベイダーのテーマ曲。(とんねるずの生ダラで研ナオコさんが登場してくる時も流れてた…)
もう、このはちゃめちゃでこれこそ正真正銘カオスで突き抜けたバラエティはもう観られないのだろうか…

きっと、予想もつかなかったことが未来には待ってるかもしれない。
今の常識がいつかひっくり返るかもしれない。
歴史はそんなもので繰り返されてきた。

改めて伊藤高史さん、やってのけたんだもんなぁ…むちゃくちゃな企画…すごいなぁ…

そんな方と繋がれるなんて良い時代になったもんだ…と、ダースベイダーのテーマが微かに聴こえてくるのだった。



《追記(2023/02/19)》

https://youtu.be/WSOYINhw1GU

記事を書いてから発見した動画。
過去のこと、現在のことを伊藤高史さんの声で聴けた。

私は例えば戦隊ヒーローや仮面ライダー出身(デビュー)俳優さんがずっと何年もどんな役を演じても過去の戦隊ヒーローや仮面ライダーについて尋ねられる、もしくはそれをふまえてインタビューされたりするのが御本人は嫌なのだろうかと考えることがある。いつまでもそればっかり…と、触れてはいけないのかなと考えてのことなのだが、伊藤さんはこの動画でのやりとりからするとそうではないと少しホッとしている。

役者としてはもちろんだが、劇団の旗揚げや、その為にシナリオの勉強を30代後半からシナリオセンターに通って学んだこと、色んな方と触れ合って吸収してきたことを知り、アツい方だと印象が変わった。創り手気質で、地味な作業もこなす演じるだけではない役者さんなのだと。
電波少年のプロデューサーも欽ちゃんから長年学んできたことも驚きだったが、演出は暖簾分けとまではいかないにしても教えのお裾分けなんだと感じた。
伝えて継がれていくことで舞台芸術に限らずこの世の文化芸術は上書きされていく。

現場の息づかいを体感させてくれる存在は外側にいる自分には有り難いものなのだ。

アウトサイダーだけに…なんてね。

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