25.速杉ホクト_E5系に乗りに行こう

25.速杉ホクト_E5系に乗りに行こう

ホクトは「これといったものがなくて生きてきた」と告白していたが本当はどうなのか。幼少期の聡明で引っ込み思案な姿からはいい加減さは見てとれない。ハヤトとの出会いで無意識にでも好きなことを諦めなくなった。だがまだ9歳である。再び迷ったり否定されたりは起きたろう。


一流大で高度な課程を修めながら鉄道乗務員への道を目指した事、超進化研究所にスカウトされた事、そこでの研究が兵器開発に転換された事、それだけでも異例のオンパレードだ。そのたびに迷い、戸惑い、二転三転してきた訳だ。本当は思慮深い彼は恐らく突き詰め過ぎる事を避ける為に「向き合い過ぎない」ことを選択しているように見える。


しかしハヤトの成長に彼は引っ張られる。直面しなくては今を、人生を乗り越えてゆくことは出来ないのだ。そこで彼は子供に「成長させられる」。

ずっと乗せなかったE5系に劇場版ラストで息子を乗せてあげた事はその象徴だ。「好き」から「仕事」になってしまった新幹線を取り戻したのだ。深い。

彼はある意味私たちの投影である。だからこそ大切で愛おしいのだ。

このキャラを生み出して下さったスタッフの皆様、本当に有難うございます。感無量。