02.速杉ホクト_突然の沼
02.速杉ホクト_突然の沼
速杉ホクト。昭和から脈々と続く王道「主人公のお父さんは開発者」である。
しかし日常でだらしない普通のお父さんといえども、妙にソフトなキャラクターである。最近のふわっとしたお父さんてこんななのだろうか。
挨拶も困った時もちょっと肩をすくめて小首を傾げる。おかしな言い方かも知れないがある意味可愛い女性がよくやる仕草だ。もしくはイケメンのハリウッドスターか何かみたいだ。
オープニングで息子と見つめ合う視線だって妙にウルウルしている。とにかくへらへらっと柔らかい、主張の弱い感じだった。
それなのに指令室では厳しく男らしい顔つきでテキパキと指示を飛ばし、声の出し方まで違う。
子供の視点から見た「家ではだらしないお父さんのキビキビした仕事ぶり」という職場見学的な側面があるにしても、このギャップは十分に大人女子にも効くやつだった。
しかもちょっと強引に判断を踏み切ったり、攻めの姿勢を急に見せたりもする。猫の目みたいにクルクルした男だ。目もとのシワまでありながら実にチャーミングだった。
そう、チャーミングなのだ。ここら辺にまず「この人いったい…」と私は惹かれてゆくのであった。