お酒はいくつになってでも
私の父は大の酒好きで、毎晩飲み潰れるまで飲んでは翌日二日酔いのまま仕事へ行く、という生活を長年過ごしていた。
家で飲む分にはまだよくて、外で飲んできた日なんかは夜中に騒々しく帰ってくるわ、トイレと間違えて寝ている私の部屋に入ってくるわ、機嫌が良すぎてうるさいわ、鬱陶しいことこの上なかった。
そんな父に似て私もアルコールには強い方だけれど、胃腸が弱いため、記憶を無くしたり我を忘れたりするほど飲むことはなかった。
昨年の大晦日、私は初めて日本酒を飲むことになった。
特に理由なんてなかったが、なんとなくそうしなければならない気持ちになったのだ。
獺祭。
名前は知っていたが、こんなに美味い代物だとは思わなかった。米から造られているためか胃が痛くなることもなく、水のように自然と飲み下すことができる。
お猪口6杯目を飲み終えたところで家族からストップがかかり、自分としてはまだまだいけたのだが、そこで止めることにした。
そして今年の元旦、私は生まれて初めて二日酔いというものを経験した。
とにかく頭が痛い。幼い息子の高い声がやたら響いて仕方なかった。それでも朝からお雑煮を作ったのだから、めちゃくちゃ偉いと思う。
この歳からこんなに酒を好きになるとは。
正月を二日酔いで迎えるというのもなかなか粋なものだったが、今年はちゃんと自制しようと思う。