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見つけてくれて

 今村夏子先生の「星の子」がすごく好きで、映画も見に行った。主演の芦田愛菜さんも他の俳優さんたちも演技力が高くて、原作読んでないと理解しづらい部分もあるけど面白かった。

 私はこの小説を、まだ「2世信者」という言葉が広まってない頃に読んだ。そして、面白い以上に、悔しくて、救われた。

 私はとある新興宗教の3世として生まれた。私の意思とは無関係に、祖父母と両親がそれを信仰しているからという理由で、当然のように私も入信させられた。

 身を滅ぼすほどの献金を要求されたり、詐欺まがいのことをやらされたりといったことはなかったが、それでも私は思春期を迎えた頃からこの「信仰を選択できない」という状況に窮屈さを覚えるようになった。

 この屈辱と悲しみは自分しか知らないものだと思っていた。知られてたまるかとも。だからこそ、いつか小説家になれたら、これを題材に書いてやろうと決めていたのだ。

 けれど、やられた。

 細かく言えば、私の体験と「星の子」に描かれている主人公の苦悩は種類が異なるのだが、これ以上には書きようがないと思わされた。

 悔しかった。私しか書けないなどと自惚れていたことが恥ずかしくなるほどだった。

 だけど同時に、救われる自分もいた。
 誰にも知られてないと思っていた苦しみを知っている人がいたということが、言葉にできないくらい嬉しかった。

 見つけてくれてありがとう。

 いつか自分でも書けるといいなぁ。

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