日本の子育てには、お金がかかり過ぎる!しかも、妊娠・出産期から!
選挙戦も、残り1週間です。選挙は、自分の想いを一方的に有権者に伝える期間ではないと思っています。逆に、皆さまの声を、たくさん頂ける大チャンスです。
私の選挙は、駅に立ち、まちを歩き、皆さまと話をさせていただく機会が多いです。そんな中「補助は結構いただいているとは思うのですが、それでも、妊娠出産、子育てにかかるお金が厳しくって……」という若い親御さんからの切実な声を、いくつもいただきます。
子育てにお金がかかる、というのは、よく知られた話です。私はこれまでも、義務教育の完全無償化や、給付型奨学金の拡充の実現に向けて活動してきました。子どもの教育環境が、家庭の経済状況によって左右されてはならないと思うからです。これは、私にとって、ライフワークのひとつです。
でも、この国は、妊娠出産の段階から、結構なお金がかかります。本当にお恥ずかしながら、私は最近、スタッフに言われて知りました(我が家は、娘二人とも米国での出産だったので、不勉強でありました)。
まず、妊婦検診です。妊娠から出産まで、平均して15回ほど通うことになります。もちろん、国はここに補助金を出しています。妊娠がわかってから行政窓口に行くと、母子健康手帳と一緒に「妊婦健康診査受診票」いわゆる、妊婦補助券をもらえます。
しかし、それでもなお、検診にいくと毎回平均して5,000円以上かかるそうで、合計すると、約8万円にもなります!
なお、この妊婦検診の公費負担額は、都道府県によってかなり差があります。全国平均は102,097円。東京はいうと、86,657円。全国平均より約15,000円も少ないのです。この差は、本当に大きい……。
出典:厚生労働省「妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について」
しかし、これはまさに「序の口」に過ぎません。出産するにあたって、妊婦さんは病院に入院します。まずその入院の予約金として、妊娠30週までに150,000円を一括で支払う必要があります(こちらも病院・地域によって異なるので、都内在住のスタッフの事例を参考にさせてもらっています)。そしてこれは「予約金」に過ぎません。最終的には、572,750円かかります。
もちろん、行政はここもサポートをしてはいます。「出産育児一時金直接支払い制度」によって、420,000円カバーしてくれます。しかしそれでも、そろばんを弾けばわかる通り、152,750円は、完全持ち出しの実費です。
しかもこれは「最低限」の価格です。初産だったり、深夜の出産だったり、特別な処置が必要になった場合や、病室を個室にしたりすると、どんどん追加料金がかかってきます。
「うちは、もっと安く済んだぞ?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。これも、先の妊婦検診と同様に、都道府県によって正常分娩にかかる平均的な費用が全然違うのです。東京都は平均値で62万円。中央値でも58.6万円かかっています。42万円では、全然、足りていないのです。
出典:正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)
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「私たちの頃はもっと厳しかった!」と仰るご年配の方々もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本は長期化するデフレ経済の中、実質賃金は下がり続け(※1)、まとも貯金ができない若い世代が、急増しているというデータもあります。
このような状況では、いくら若者が子どもが欲しいと思っても、学費が厳しいとかっていう前に、そのもっと手前の、妊娠・出産の時点でかなり高いハードルがあることを認識しなければなりません。
例えば、先進国の中でも少子化がかなり改善しているフランスでは、自国民は元より、外国人ですら、妊娠・出産にかかる費用は、無料です(※2)。
※1)日本の実質賃金指数は、2015年を100とすると、2020年は98.6まで下がっています
※2)加入が義務付けられている社会保障システムの中に医療保険(assurance maladie)があり、この医療保険に入っている必要があります
なぜこんなにフランスが子育てに手厚いのかというと、親子を甘やかしている、というわけでは断じてありません。そこには、国家として「良き納税者を育てる」という哲学があります。これは、先にご紹介したフィンランドのネウボラの発想と、全く同様です。
日本にも「子どもは、国の宝」という言葉あります。私も、その通りだと思います。子どもは国の未来そのものであり、子どもがいなければ、健やかに成長できなければ、私たちの社会に未来はありません。当然です。
しかし、他の国に比べて、私たちはこれまで、この宝を蔑ろにし過ぎてきたのではないでしょうか。私たちは、宝に、そして、その宝を育んでくれる人たちに、しっかり投資しなければならないはずです。
それは結果的に、親子だけでなく、私たちの社会全体にとって必要不可欠です。