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猫って何だろう?

前回は犬のお話をしてきました。今回は猫のお話をしたいと思います。現在の猫は「かわいい」の代表であり、ご家庭だけでなく猫カフェなど多くの場所で多くの人に愛でられています。しかし、猫の歴史は可愛さで愛でられただけではなく、つらい時代もあったことをご存じでしょうか。今回はそんな猫の性質や疾患についてお話をしていきます。

猫の祖先は現在リビアヤマネコである説が有力となっております。リビアヤマネコは砂漠に生息しており、起源前6000-5000年頃すでに中東で穀物の害獣対策として家畜化されました。運動神経、嗅覚、視覚、聴覚ともにご先祖由来で優秀なのが猫です。

猫の特徴は「媚びることなく、常に対等であり、自己主張する独居動物」であることです。野良猫は縄張りを作り、自分の場所を大切にするため、犬ほどコミュニケーション能力に頼っていません。尾を振ることでイラつきを示し、毛を逆立てて唸ることで怒りを示すなど最低限のコミュニケーションはとりますが、犬とは全く違うのです。これが猫の歴史に関与したと言われています。

古代エジプトでは動物はヒトより身体能力に優れた存在として畏敬の念を抱かれ、猫もまたミイラとしてピラミッドで見つかっています。しかし、キリスト教が生まれ、16世紀になると「魔女狩り」が行われるようになります。猫は魔女の僕(シモベ)であるとされ、魔女疑いにかかった女性とともに多くの猫が虐殺されました。日本でも「猫股伝説」として、恐怖の対象として描かれています。これは一説によると、犬より猫はコミュニケーションに頼らないから「何考えているか分からない=気味が悪い」とされたからだそうです。

また、猫のご先祖様は砂漠の動物とお話をしました。そのせいか、猫はあまり水を飲まない動物です。これは膀胱や尿道などの尿路に結石を作る尿路結石という疾患につながり、飲水量が少ないことは猫で多い慢性腎臓病の進行にも関与します。子猫を買った際によくアドバイスすることは「ドライフードだけでなく、ウェットフードでも何でも食べるようにご飯を与えてみてください」ということです。腎臓疾患を持つ猫の飼い主は最後に水を飲ませることに苦難することが多いように感じます。水を飲まなくても、ウェットフードでもある程度の水分摂取量は確保できます。しかし、ドライフードしか食べてこなかった猫は成猫になるとさらに頑なにウェットフードを食べようとしません。子猫の頃から与えて、ウェットフードにも食べなれていく必要があるのです。

また、犬のお話の時にはしつけ、つまりヒトが家族社会の中で上であることを伝えることが重要とお話しました。しかし、猫は異なります。猫は常に対等な存在です。(猫ブームの現代社会ではヒトが下になっていることもあるように感じますが(笑))だから、猫のしつけは基本できません。家具を引っかかれて困るなどの問題行動は環境改善、つまり引っかかれて困る家具は触れない様にするしかないのです。

「あなたはイヌ派?ネコ派?」など犬猫の見た目の好みを問うような日常会話がよくありますが、犬と猫は全く異なる生き物であることを家に迎える前に理解しておく必要があるのです。

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