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しあわせの青い傘

こんにちは。akiです。
今回は「#やさしさに救われて」に応募投稿します。

小雨の降る肌寒い日だった。
私は、いつもと同じ電車に乗った。
「今日も混んでるな。」
疲れていて座りたかったけど、あきらめて立つことにした。
ふと横を見ると、手すりのそばの席に、お婆さんが座っていた。
荷物が多く、かばんをがさごそとあさっていて、
何やら慌ただしい様子だった。
手すりには、大きな青い傘がかかっていた。



電車のドアごしに移る自分の姿をみながら、5分ほどすると駅に着いた。

永田町だ。いつもたくさんの人が降りる。
降りる人で列が出来ていたので、私は後ろの方に並んでいた。
あのお婆さんも、同じ駅で降りていくのを見かけた。
ちらっと、後ろを振り返ると、お婆さんの傘が手すりにかかったままだった。傘を見つめながら、降りるまでの数秒間、私の頭はフル回転した。

「どうしよう。このままにしておこうかな。」
「人のものを勝手にさわっていいのかな。」
「お婆さんと会えなかったら、どうしよう。駅員さんに届ければいいか。」「なんか泥棒みたいだな」

いざという時って数秒の間に、こんなにたくさん考えることができるんだなと、少しおかしく思いながら、その傘を手に取り、駅の階段を駆け上った。


幸い、お婆さんをすぐに見つけることができた。
「すみません、傘お忘れではないですか?」
「あら、わざわざありがとうございます。優しいのねぇ。」
「いいえ、大丈夫ですよ。」
こうして、私の任務は終了した。めでたし、めでたし。

そう思いながら、会釈をして立ち去ろうとした。
しかし、お婆さんのおしゃべりは、まだ終わっていなかった。

「ここへはよく来るの?」
「こんなババァに、若い方が親切にしていただいて、ありがとう。」

心の中で、お婆さん、もうお礼は十分だよと
思って、その場を後にしようとしたら
お婆さんは笑顔で

「また会えるといいですね。あなたにも良いことがありますように。」

その瞬間、私の心に光がともった。 

なんて素敵な言葉だろう。

お婆さんから、その言葉を聞けたのが
今日の良いこと。 

お婆さんにも良いことがありますように。
ありがとう。

#やさしさに救われて

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