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詩集『白日窓』のこと

忘れていました。
2冊目の詩集『白日窓』が出て今年で10年、何気に記念イヤーでした。
とはいえ、なにかある訳でもないのですが、こんな機会でもないと書けないこともあり。当時のことなどぼんやり思い出しつつ、綴ってみようと思います。

編集は当時、思潮社にいらした亀岡大助さん。
亀岡さんにはとても深い思い出があります。
1冊目の『疾走光』(2011/思潮社)が出た時も同じく亀岡さんに担当していただきました。投稿時代の詩を中心に編んだのですが、足掛け3年くらいでしょうか、たくさんの赤が入った原稿を今も大切に持っています。「こんな風に編集者さんに修正してもらえるなんてないよ」と、どなたかに言われた記憶があります。結構大胆に修正されていたところもあり、当時の自分は納得しきれなかったのですが(とはいえ最終的な判断は自分でしたが)、やはり時間が経つと、そうか、と腑に落ちる点もたくさん。

そんな亀岡さんに2冊目もお願いしたのです。
打ち合わせの時、
「詩の並び方、順番はこれでいいと思います」
と開口一番に言われたことを覚えています。
あとは修正が少し入ったくらいで、内心「あれ、こんなにスムーズに事が進んでいいのか?」と思ったものです。
しかし、問題はタイトルでした。
「タイトルはもう少し考えてください」と。
そうです。はじめから『白日窓』というタイトルではありませんでした。

それからどれほど経ったでしょう。さだかではありませんが、タイトルを考える地獄がはじまったのです。
「これはどうですか?」→却下。
「これはどうですか?」→却下。
が何度続いたかは覚えていません。
ふと1冊目の『疾走光』が目に留まりました。造語で3文字、ここにしかヒントがないように思われ、『白日窓』が生まれたのでした。

投稿時代からやりたかったことをここで一旦やりきった、そんな一冊になりました。建築や哲学などのむずかしい本をなんとなく読んでいた時期なので、文体が硬いなあと思いますが、こんなことはもう出来ないかもなあとも思います。

幸い、今年発売になった豊﨑由美さんと広瀬大志さんの共著『カッコよくなきゃ、ポエムじゃない!』(思潮社)にも、この詩集から「沸点」という作品を取り上げていただきました。本当にありがたいことです。

長い時間のなかで、詩や詩集がどんな風に変わっていくのか、どう受け止められていくのか。そんな場面に出会うことが出来たら、幸せなんだと思います。

『白日窓』 2014/思潮社
初出雑誌一覧
薄明 「kader0d」vol.4
mirror 「現代詩手帖」2011年5月号
after 「ウルトラ」15号
a silent film 「文學界」2011年8月号
out 「びーぐる」17号

思潮社 新刊情報 » 一方井亜稀『白日窓』
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