2 大学とは違う専門に挑戦
大学での研究
大学では褐藻類から遺伝子を抽出して、既知の機能タンパク質をコードするプライマーでPCRで増幅させて、配列がユニークな特徴がないか、分子系統樹で解析したり、それを大腸菌で発現させて機能性を確認したり、かなりニッチなことをやっていました。
今思うと、ブルーオーシャンへの挑戦だったと思います。調べ尽くされている陸上植物ではなく、少し変わった進化を辿った褐藻類のタンパク質の方がユニークな構造を持っていて、論文におけるオリジナリティがアピールできるということです。
実学への興味
一方で基礎研究でうまくいかないことが沢山あり、当時は正しい問題解決方法を知らなかったから、ただただ、労働時間をたくさん費やす3年間であまりインパクトある成果は見出せませんでした。
次第に、自分がやっていることが何か応用できないか、やりがいを考えたり、実学に興味が移りはじめました。
当時ノーベル賞を受賞した田中さんの言葉で、異分野に挑戦すると別の見方ができるんだという言葉を思い出し、修士二年で就活をスタートしました。
就活は、製薬、食品全滅
就活は大手メガファーマ、有名化粧品メーカー、食品メーカーを受けるため、地元から東京に上京、ショートステイしながら面接を受け続ける日々でした。当時は苦しかったですが、今の婚活よりは楽かもしれません。
結局、年末に内定もらえず、全滅で意気消沈していたなかで、先生が推薦を出してくれて、いくつか製紙会社の内定を貰いながらも、現在の化学会社に就職を決めました。
水環境分野への挑戦、新人研究職としてデビュー
その時、やろうと決めたのは、水環境の分野、水処理工学でした。これなら、生物の知見、化学工学の知見のハイブリットで面白そうだと思いました。
異分野でも受け入れてくれる会社という意味で、最初の職場は、有機合成、化学工学、高分子化学が得意な方が多く、それぞれの持ち味を学ぶことができました。その時の楽しさは今でも忘れられません。逆に生物を知らない方が多かったので重宝くださりました。
専門が変わって、対象が装置とかになり、視野が広がりました。また、事業に近い部署だったので営業さんに同伴して色々顧客周りしたり、刺激的な日々でした。
学んだこと
ここで学んだことは、多様な専門性は多様な視点を生み出すということ、顧客の声を聞いて開発に繋げる感覚、コミュニケーション力です。
色々な部署を巻き込んだテーマを担当したので、自分の上下のレイヤーの知り合いが増えました。ここで得た人脈が次の職場で生きるとは思いもしませんでしたが。
また、装置を自分で工作してました。手作りの装置を作るため、ホームセンターに行ったり、組み立てたり、DIYは得意になりました。
取り組んだこと
並行して、英検準一級、危険物取り扱い甲種、公害防止管理者水質一種をなんとか取得しました。
水処理工学は、大学では勉強していない分野なので、参考書、ネットで知識を補充しました。興味で知りたい気持ちがベースだと苦にならないので、楽しめたと思います。
その時は、もうバイオは深掘りすることはないなあと思いながら、開発部隊として、それなりに忙しい日々を過ごしておりました。