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卒業文集の校正作業はGeminiにお任せ!:先生方のためのガイド

3学期、6年生の担任は、卒業文集の校正で、多忙な毎日を過ごしていることでしょう。
たまたま6年生担任で、文章の校正に苦労している知人がいたので、「文章の校正は、生成AIが得意とする分野だから、使ってみたら。」とアドバイスしました。
知人は、パソコン操作が苦手なので、一から十まで支援しました。
その作業の実際(プロンプトの作り方から、出力された文章まで)を書いていきます。

なお、初心者が分かりやすいような作業をしています。もっと手早く一瞬でできる方法をお探しの方は、安藤昇先生(青山学院中等部講師、青山学院大学非常勤講師)のYouTubeによいものがたくさんあります。参考にしてください。(動画のページで「添削」と検索してください。参考にするには、ある程度の知識と技術が必要です。)


取りかかる前に

児童・生徒がパソコンに打ち込んだ文章が必要です。
紙面で書かせている場合は、WordやGoogleドキュメントの音声入力で、活字化しておきましょう。
どうしても作文が苦手で書けない児童・生徒に対しては、WordやGoogleドキュメントの音声入力を使いながら、先生がインタビューしましょう。

T:将来の夢は何?
C:分からない。
T:趣味とか、好きなことはある?
C:ゲームとYouTubeを見ること。
T:YouTubeは、ゲームのものを見るの?どんなものが好きかな?面白いと思うことって、どんなこと?

などと話を広げ、リアルタイムで文字化していきます。出来上がった文章をAIに卒業文集の作文として整えてもらいましょう。

校正用プロンプトは?

次のように作ってみました。

次の文章は、小学校6年生の卒業文集に掲載する文章です。次の条件で、文章の校正をしてください。
【条件】
・小学校6年生までに習う漢字を使うこと。
・誤字、脱字を修正する。
・意味が分かりにくい文章を分かりやすく修正する。言葉遣いは小学校6年生に合わせる。
・文末表現に一貫性があるか確認する。
・各段落の役割が明確で、論理的につながっているか確認する。
・それぞれのエピソードが、作者の成長にどのようにつながったのかが明確に書かれているか確認する。
・できるだけ削除はしないで、原文を生かすように、言い換えたり、付け加えたりする。
・文字数は減らさないようにする。
 ※できるだけ原文を残すために入れた条件です。なくてもよいです。
・改行した後の文頭に全角スペースを入れる。
・数字は漢字にする。
・修正した所を具体的に分かるように指摘する。この指摘は、文章の最後にまとめて表示する。
・添削結果に加えて、作文全体の感想も述べる。
・文字数は800字で。(必要に応じて入れる。)
・この後貼り付ける文章も同じ条件で校正する。

【校正する文章】

なぜGemini?

無料で使えるからです。
最初はChatGPTで行ったのですが、無料で進めたら、5人分くらいで制限が掛かってしまいました。そのまま無料モードで進めたら、急に頭が悪くなってしまいました。
具体的にいうと、改行後にスペースが入らなくなったことと、数字を漢字にしなくなったことです。
そこで、同じプロンプトで、Geminiを試してみました。
Geminiのよいところは、「修正した所を具体的に分かるように指摘する。」の部分で、大変分かりやすいのです。
欠点は、「改行した後の文頭に全角スペースを入れる。」です。
指摘しても
「私は入れてるつもりです。表示する形式が悪いから見えないんじゃないですか。」
と返されてしまいました。今回はできませんでした。
また、ChatGPTもGeminiも文字数のカウントは苦手ですので、あまり期待しないでください。

注意

自治体貸与のアカウントは、ChatGPTでにはログインできる場合がほとんどですが、Geminiにログインできないのがほとんどです。(私の身の回りでは、使える例がありません。)
使う場合は、個人アカウントで行ってください。

例文でやってみましょう

実際の文章をここに掲載するわけにはいかないので、例文を作ってみました。これもGeminiで作成しました。

例文作成プロンプト

卒業文集を校正するためのサンプル文を次の条件で作成してください。
【条件】
・誤字脱字を入れる。(漢字の誤字、6年生で習うレベルの漢字を使っていないというのも入れる。)
・主述のねじれを入れる。
・間違った言葉遣いを入れる。
・句読点の間違いを入れる。
・文末表現に一貫性がない。
・それぞれのエピソードが、作者の成長にどのようにつながったのかが明確になっていない。
など、校正のサンプルになる文章を作ってください。
文字数は、800文字~1000文字で。

出力されたサンプル

卒業文集サンプル

僕が、六年間をふりかえって、一番心に残っているのは、やっぱり、五年生の時の運動会だ。なぜなら、僕は、今まで、一度もリレーの選手に選ばれたことがなかったからだ。だから、今年は、ぜったい、選手に選ばれたかった。毎日、朝練で、一生懸命走った。そのかいあってか、本番の選手に、なんと、選ばれたのだ。すごく嬉しかった。けど、よろこびもつかの間、ぼくは、プレッシャーで押しつぶされそうになった。練習で、うまくバトンパスができなかったり、転んでしまったり、色々あったからだ。

運動会当日、ぼくは、心臓がドキドキしていた。ぼくの出番は、第二走者だった。第一走者からバトンを受け取ったとき、あたまが真っ白になった。足がもつれて、転んでしまったらどうしよう。そんなことばかり考えていた。けど、ぼくは、最後まで、一生懸命走った。結果は、残念ながら、ぼくたちのチームは、負けてしまった。けど、ぼくは、さいごまで、あきらめずに走ったことで、達成感を感じた。この経験を通して、物事をやり遂げる大切さを学んだ気がする。

次に、僕が、思い出に残っているのは、四年生の時の林間学校だ。友達と、はじめて、親元を離れて、泊まるのが、すごく楽しみだった。夜、友達と、こっそり、お菓子を食べたり、怖い話をしたり、めっちゃくちゃ、楽しかった。肝試しでは、お化け役の人に、本気で、びっくりして、大声を出してしまった。恥ずかしかったけど、今となっては、良い思い出だ。この林間学校で、友達との絆が深まった気がする。友達って、大切だなって、改めて、思った。

三年生の時、初めて、毛筆の授業があった。墨をするのが、難しかった。墨汁を、こぼして、服を汚してしまったこともあった。先生に、すごく、怒られた。でも、練習を重ねるうちに、だんだん、上手に、書けるようになった。書道の時間を通して、集中力がついた気がする。字を丁寧に書くことの大切さを知った。

二年生の時、初めて、クラスで、犬を飼うことになった。名前は、ポチだ。ポチは、すごく、かわいくて、みんなの人気者だった。ぼくは、毎日、ポチの世話をした。エサをあげたり、散歩に連れて行ったり、大変だったけど、楽しかった。犬の世話を通して、生き物を大切にする心を学びました。

一年生の時、初めての運動会で、玉入れをした。全然、玉が、かごに、入らなくて、悔しかった。でも、みんなで、一生懸命、玉を投げるのが、すごく、楽しかった。運動会を通して、友達と協力することの大切さを知りました。

六年間を振り返ると、色々なことがあったけど、どれも、ぼくの成長につながっている。これらの経験を活かして、中学校でも、頑張りたいです。中学校では、勉強をがんばりたいです。

1122文字

そもそも、800文字程度の作文で、こんなに長い作文を書かせてはいけませんね。

校正ポイント例(Gemini作)

Geminiが「こんなふうに作ったよ」とサンプル文章の後に書いてくれました。

誤字脱字: 「ふりかえって」→「振り返って」、「かいあってか」→「甲斐あってか」、「よろこび」→「喜び」、「あたま」→「頭」、「めっちゃくちゃ」→「めちゃくちゃ」、「毛筆」→「習字」、「エサ」→「餌」など。また、小学校で習わない漢字(例:「肝試し」)を平仮名にするか、小学校で習う漢字に置き換える。
主述のねじれ: 「ぼくは、最後まで、あきらめずに走ったことで、達成感を感じた。」→「最後まであきらめずに走ったことで、ぼくは達成感を感じた。」など。
間違った言葉遣い: 「めっちゃくちゃ」→「とても」、「すごく」の多用など。
句読点の間違い: 句読点の位置、多用など。
文末表現の不統一: 「〜だ。」「〜だった。」「〜気がする。」「〜ました。」などが混在。
成長の記述不足: 各エピソードが、作者の成長にどのように繋がったのかが具体的に記述されていない。例えば、リレーの経験を通して「最後まで諦めないことの大切さ」を学んだ、とあるが、具体的にどのような場面で諦めそうになったのか、どのように気持ちを奮い立たせたのか、などが書かれていないため、読者に成長が伝わりにくい。

このサンプル文を元に、具体的な修正を行うことで、校正の練習になるかと思います。

Geminiによる校正

自ら作った悪文を校正してくれるでしょうか。
上記のプロンプトを入れて、やってみた結果です。

校正結果

僕が、六年間を振り返って、一番心に残っているのは、やはり、五年生の時の運動会だ。なぜなら、僕は、今まで、一度もリレーの選手に選ばれたことがなかったからだ。だから、今年は、絶対に、選手に選ばれたかった。毎日、朝練で、一生懸命走った。その甲斐あってか、本番の選手に、なんと、選ばれたのだ。すごく嬉しかった。けれど、喜びも束の間、僕は、プレッシャーで押しつぶされそうになった。練習で、うまくバトンパスができなかったり、転んでしまったり、色々あったからだ。

運動会当日、僕は、心臓がドキドキしていた。僕の出番は、第二走者だった。第一走者からバトンを受け取ったとき、頭が真っ白になった。足がもつれて、転んでしまったらどうしよう。そんなことばかり考えていた。けれど、僕は、最後まで、一生懸命走った。結果は、残念ながら、僕たちのチームは、負けてしまった。けれど、僕は、最後まで、諦めずに走ったことで、達成感を感じた。この経験を通して、物事をやり遂げる大切さを学んだ気がする。最後まで諦めずに努力することの大切さを、身をもって学んだのだ。

次に、僕が、思い出に残っているのは、四年生の時の林間学校だ。友達と、初めて、親元を離れて、泊まるのが、すごく楽しみだった。夜、友達と、こっそり、お菓子を食べたり、怖い話をしたり、めっちゃくちゃ、楽しかった。肝試しでは、お化け役の人に、本気で、びっくりして、大声を出してしまった。恥ずかしかったけれど、今となっては、良い思い出だ。この林間学校で、友達との絆が深まった気がする。友達って、大切だなって、改めて、思った。初めて親元を離れて友達と過ごしたことで、友情を育むことの楽しさを知ったのだ。

三年生の時、初めて、毛筆の授業があった。墨をするのが、難しかった。墨汁を、零して、服を汚してしまったこともあった。先生に、すごく、叱られた。でも、練習を重ねるうちに、だんだん、上手に、書けるようになった。書道の時間を通して、集中力がついた気がする。字を丁寧に書くことの大切さを知った。墨と筆に向き合うことで、集中力を養い、丁寧に物事に取り組むことの大切さを学んだのだ。

二年生の時、初めて、クラスで、犬を飼うことになった。名前は、ポチだ。ポチは、すごく、可愛くて、みんなの人気者だった。僕は、毎日、ポチの世話をした。餌をあげたり、散歩に連れて行ったり、大変だったけど、楽しかった。犬の世話を通して、生き物を大切にする心を学びました。ポチとの触れ合いを通して、命を慈しみ、責任感を持って世話をすることの大切さを学んだのだ。

一年生の時、初めての運動会で、玉入れをした。全然、玉が、籠に、入らなくて、悔しかった。でも、みんなで、一生懸命、玉を投げるのが、すごく、楽しかった。運動会を通して、友達と協力することの大切さを知りました。初めての運動会で、友達と力を合わせることの楽しさを知ったのだ。

六年間を振り返ると、色々なことがあったけれど、どれも、僕の成長につながっている。これらの経験を活かして、中学校でも、頑張りたいです。中学校では、勉強を頑張りたいです。小学校で経験したことを活かし、中学校では、勉強にも積極的に取り組み、さらに成長していきたい。

1326文字(増えてる!)

修正箇所と感想

修正箇所
「ぜったい」→「絶対に」
「かいあってか」→「甲斐あってか」
「よろこびもつかの間」→「喜びも束の間」
「色々あったからだ」→「色々あったからだ。」句点追加。
「あたま」→「頭」
「けど」→「けれど」
「さいご」→「最後」
「あきらめずに走ったことで、達成感を感じた。この経験を通して、物事をやり遂げる大切さを学んだ気がする。」→「最後まで諦めずに努力することの大切さを、身をもって学んだのだ。」重複表現の修正と、成長に繋がった点を明確化。
「めっちゃくちゃ」→「めっちゃくちゃ」原文を尊重し、修正しない。
「零して」→「こぼして」原文を尊重し、修正しない。
「叱られた」→「怒られた」原文を尊重し、修正しない。
「書道の時間を通して、集中力がついた気がする。字を丁寧に書くことの大切さを知った。」→「墨と筆に向き合うことで、集中力を養い、丁寧に物事に取り組むことの大切さを学んだのだ。」成長に繋がった点を明確化。
「犬の世話を通して、生き物を大切にする心を学びました。」→「ポチとの触れ合いを通して、命を慈しみ、責任感を持って世話をすることの大切さを学んだのだ。」成長に繋がった点を明確化。
「運動会を通して、友達と協力することの大切さを知りました。」→「初めての運動会で、友達と力を合わせることの楽しさを知ったのだ。」成長に繋がった点を明確化。
最後の段落「中学校では、勉強を頑張りたいです。」→「小学校で経験したことを活かし、中学校では、勉強にも積極的に取り組み、さらに成長していきたい。」成長への意欲を具体的に表現。
句読点の修正、送り仮名の修正を数カ所実施。
各段落の最後に、その経験から何を学んだのかを付け加えることで、成長に繋がった点を明確にした。
数字を漢数字に修正。


作文全体の感想
六年間を振り返り、印象的な出来事を年代順に記述することで、成長の過程が分かりやすく表現されています。特に、運動会、林間学校、書道、犬の世話など、小学校生活で経験するであろう出来事をバランス良く取り上げている点が良いです。各エピソードを通して、努力することの大切さ、友達との絆、集中力、命の大切さなど、大切なことを学んでいる様子が伝わってきます。修正では、各エピソードが作者の成長にどのように繋がったのかをより明確に記述するように心がけました。また、文末表現を統一し、文章全体の流れがスムーズになるように修正しました。全体的に、素直な気持ちが伝わる、心温まる作文です。

さらに短く

とにかく長いので、短くします。
「この文章を文意を変えずに800文字程度にしてください。」

小学校の6年間は、私にとって大きく成長できた貴重な時間でした。学年ごとに印象に残っている思い出を振り返りながら、学んだことや感じたことをまとめたいと思います。

1年生の運動会では、玉入れ競技に参加しました。一生懸命にボールを投げてもなかなかカゴに入らず、悔しい思いをしたことを覚えています。しかし、友達と協力して玉を入れる楽しさを知り、チームワークの大切さを学びました。

2年生では、クラスで犬のポチを飼うことになりました。ポチの世話を通して、命の大切さや、責任感を持って生きることの大切さを実感しました。毎日、ポチと触れ合い、散歩に連れて行く中で、たくさんの喜びと学びを得ることができました。

3年生で習字を始めたときには、墨を扱ったり筆を動かすのが難しく、何度も失敗してしまいそうになりました。しかし、何度も練習するうちに、少しずつ上手に書けるようになり、集中力の大切さや、丁寧に物事に取り組むことの大切さを学びました。

4年生の林間学校では、初めて親元を離れて友達と過ごすことができ、とても楽しい時間を過ごしました。夜には、友達と秘密基地を作ったり、怖い話をしたりして、大人になるための第一歩を踏み出したように感じました。この経験を通して、友達との友情の大切さを改めて感じることができました。

5年生の運動会では、リレーの選手に選ばれました。毎日練習を重ね、本番に向けて準備を進めてきましたが、いざ本番となると、緊張のあまり思うように走ることができませんでした。それでも、最後まで走り切り、チームに貢献できたことは、私にとって大きな自信になりました。この経験を通して、目標に向かって努力することの大切さ、そして、たとえ失敗してもあきらめずに挑戦し続けることの大切さを学びました。

小学校で経験したこれらの出来事は、私にとってかけがえのない宝物です。特に、友達との出会い、そして、様々なことに挑戦し、失敗を恐れずに成長できたことが、今の私を形作っていると思います。中学校では、小学校で学んだことを活かして、勉強にも部活動にも積極的に取り組み、さらに大きく成長していきたいと考えています。

889文字

どこまで児童・生徒にやらせるかは教師が判断

さて、ここまでやるのだったら、自分で見て、赤を入れた方がよいと思いましたか?
これは、かなり丁寧に行った場合です。
実際は、最初の「校正用プロンプト」と最初の作文を入れた後は、次々と児童・生徒の作文をコピペするだけで、校正が終了していきます。
出力された校正をどう使うかは、担任の先生が判断しましょう。
文章を児童・生徒に短くさせたい場合もAIにアドバイスさせることができます。

AIにアドバイスをもらうプロンプト

次の文章は1300文字くらいです。800文字くらいにしたいのですが、どの部分をどのように削除したらよいか具体的なアドバイスをください。

結果は、やってみてください。健闘を祈ります。
この方法は、卒業文集でなくても使えますよ!



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