授業デザインを知らないと,教師はできない。それに気付かされる本です。 大前暁政 著「本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業デザイン 41のこと」(明治図書)
およそ,授業をする人は,全員が「授業デザイン」を学ばなくてはなりません。
学校の教師だけでなく,塾でも,企業研修の担当者でも同じです。
とにかく「授業」には,やり方があります。
授業の素人は,やり方を知りません。
そもそも,授業のやり方には,様々な方法があることも知りません。
だから,退屈な授業になるのです。
退屈な授業を経験したことのある人は,それがいかに苦しい時間かがわかると思います。
学校の8割以上は,授業の時間です。
授業の時間が退屈だと,学校は地獄です。
教師は,全員が,「授業デザイン」の仕方を学ぶ必要があることがここからもわかります。
そもそも,親の立場としては,「授業デザイン」も知らないような教師に,絶対に担任してもらいたくありません。
我が子が,退屈な,力のつかない授業を毎日受けているとなると,本当に気の毒だからです。
授業デザインをなぜ学ぶ必要があるのでしょうか?
答えは簡単です。
子ども主体の学習をつくりあげるためです。
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子ども主体の「学習」をつくるには,教師の「授業」のデザイン力が必要。
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本書には、このことを,これでもかと実例が出てきて,気付かされます。
授業デザインに関して,0から100まで,全て網羅した書籍です。
この本,第1章だけでもかなりの革命的な意識変革が起きます。
授業に対して,根本的に何もわかっていなかったことに気付かされるのです。
しかも,2030年に向けた授業デザインの紹介に至っては,その存在すら知らなかったということになりかねません。
1章は,次のような目次になっています。
第1章 本当は大切だけど、誰も教えてくれない[授業方法]7のこと
1 よい授業方法は、自明のものではない2 ゴール次第で、望ましい授業方法は変わってくる3 授業のゴールには、構造がある4 隔たりが大きいほど、新しい手立てが見えてくる5 授業の上手い下手は、3つの要素で決まる6 第四の要素「システム・形態」によって、授業に差がつく7 「臨機応変に授業を変化させる力」で、授業のレベルが一段上がる
ここで少し考えてみてほしいのです。
授業を専門的に学んでいるはずの教師が,
授業が学校の大半の時間であり,授業こそが学校の大きな柱となっているはずが,
「授業デザイン」も知らないような教師が,堂々と教えている学校などということが許されるのでしょうか???
これは,はっきり言って,「詐欺行為」に近いことです。
資質・能力を育てるやり方を知らない教師が,適当に,自分の感覚で,自分の経験だけで,授業をしているからです。
人様の子供を預かっている人からすれば,通常の神経では,素人の教師のままでいることはできないと思います。
よって,参観日の後とかに尋ねてみればよいのです。
「2030年に向けた資質能力を育てるための授業デザインをご存じですか?」と。
この本のよいところは、まず、「先人の優れた授業」が紹介されていることです。
先人の優れた授業から学べることは多くあります。
優れた授業モデルから、どういう理由で、子供主体の学びが生まれたかを、分析しているわけです。
実例はたくさん出てくるので、その授業例を知るだけでも、はっきりいって、相当な勉強になります。
授業例を読めば,「なるほど,こういう授業をすればよいのか」とよく理解できます。