髪は心の鏡
先日、TBSラジオ『武田砂鉄のプレ金ナイト』を聴いていたら、NHKの朝ドラ『虎に翼』の脚本を手がけた吉田恵里香さんがゲスト出演していた。(11月8日放送回)
当然のごとく虎に翼の話をしていたのだが、冒頭では”髪”に関する話があった。Xに”髪をバッサリ切ってヘアドネーションをした”とポストされていたことに触れられた吉田さんは、「執筆していると気づいたら髪が伸びているので、長い脚本の仕事が終わるとバッサリ切るということをここ2・3年やっている」と話した。
私も今、髪を伸ばしている。歳を重ねると髪に艶がなくなると言われているし、実際に自分の髪と小学生の髪の艶は明らかに違うから本当なんだなと思う。毎晩お風呂でトリートメントをしたって遅らせることはできても止めることはできない。時間が止まらない以上、必ず限界はある。
そう考えたら実は長い髪でいられる(自分にとってストレスなく長い髪を保っていられる)時間って意外と残り少ないかも、などと考えて伸ばし始めた。これが最後のロングヘアだと決めている。
そう決めたら今はどこまでも伸ばしてやろうという気持ちになっているのだが、憧れの人がインスタグラムで髪をバッサリ切っていたり、ボブが似合う友達に会ったりすると簡単に揺らぐ。ああ〜私も髪切りたいな〜と思う。だから吉田恵里香さんの話を聞いたとき、かっこいい!と思った。
執筆(仕事)と真剣に向き合って、自分と戦い続ける。そして戦いが終わったら気持ちの軽さを表すように重たくなった髪をバッサリ切る。想像しただけで清々しい気持ちになった。
絶賛悩みの渦中にいる私の髪はまだまだ伸びそうだ。
本当に正しいこと、本当にやりたいことって何だろう?などとぐるぐる考え続けている。本当の正しさなんて答えのない問いだとわかっていても、だからこそ今の自分なりの答えを探し続けている。考えることを諦めちゃいけない。
仕事や仕事以外のこともまだ戦いの途中。だから、私も吉田さんのようにしようと思った。ラジオを聴きながらそう決めた。
戦いが終わったら、区切りがついたら髪をバッサリ切る。それは何の迷いもなく、何の躊躇いもなく、”自分自身がこれで良かった”と思えたとき。
髪に心を映してみる。
若さとのお別れ記念に髪を切ろう、そのために30代は思いっきり伸ばしてみようと思っていた。全然ネガティブな感情ではなく、加齢を楽しむためにそうしようと決めていた。
10代の頃からずっと”早く歳を取りたい”と思っていて、今もまだ思っていて、いつになったら”若い頃に戻りたい”なんて感情が生まれるのかわからない。今はまだ全然思えない。今がいちばん自由で楽しいから。
区切りをつける、そのために戦い続ける、という新しい目標を宿した黒い髪。
撒いてもいない悩みの種がどんどん発芽して成長している。夏の雑草くらい勢いづいている。冬なのに。
鏡の前に立つたびに髪に触れてみる。触れるたびに頑張ろうって思える毎日。ちょっといいよね。