米国にHuret #800を追って
はじめに
米国Schwinn向けに輸出されたHuret部品、特にフロントディレイラーの#800型を追ってみたい。
Schwinnについて
1835年 シカゴで創業した米国の自転車メーカー。
小径ホイールにチョッパーハンドル、バナナサドルが特徴的な ”Stingray” が 60-70年代に爆発的に売れた。純レーサーモデルの"Parammount"はナベラグが採用されており、現在でも魅力あるモデル。
米国外の部品メーカーにOEM生産させて、自社の自転車に組み込んだものも多い。 Huret, Soubitez, ShimanoなどSchwinn ブランドのものがある。
Schwinnカタログで見るHuret 部品
Light weight owners manualというドキュメントがある。オーナー用の取り扱い説明書みたいなもんだと思う。これに、ディレラーの図解が入っていて、そこでモデルが分かるようになっている。60-70年代のものを確認してみたところ、以下の表のようになっている。
この間で、RDは3種、FDは4種確認できているが、オーナーズマニュアルに載っているのは3種づつであった。
1662-1963年はHuretブランド
1964-1965年はSprintブランド
1967-1973年はSchwinn Approved ブランド
カタログで見るHuret部品-1962年
1962年のパーツプライスリストには、Huret AllvitのパーツがHuretのパーツ番号そのままで載っている。面白いのが、RDは4つ爪の甲羅あり1次型に対して、フロントディレイラーが#600初期型。
同年のLightweight Owners Manualにも同じように#600が見えること。
カタログで見るHuret部品-1963年
オーナーズマニュアルはほぼ毎年版が確認できるので、次は1963年、この年もまだRDは4つ爪で、FDは#600初期型。
カタログで見るHuret部品-1964年
この年、Sprintブランドがデビュー、RDはバッチ付き、FDはAllvit#800型でSprint刻印のもの。ピボットボルトは二つ穴型で描かれています。
カタログで見るHuret部品-1965年
64年と同じ。
カタログで見るHuret部品-1966年
66年のカタログは未発見。
カタログで見るHuret部品-1967年
Schwinn Approvedになった。RDはSprintのまま。
Owners ManualではSprint バッチ型のFDは現れずじまい。もしかしたら、未発見の66年に載っていたかも。
後年の1973年のParts Plice Listに Type 67として載っているこれが、67年のオーナーズマニュアルに載っているタイプのディレイラーではないかと考えられる。
Plice Listの Var は"Varsity", Conは"Continental", Super S.は"Super Sport"のそれぞれ自転車のモデル名で、Part No. 20500は1インチ用、20501はBSC用だと思われる。
カタログで見るHuret部品-1968年
カタログで見るHuret部品-1969年
カタログで見るHuret部品-1970年
なぜか70年のカタログにはSchwinn Approvedの図解がない。代わりにCampagnoloの図解がある。
カタログで見るHuret部品-1971年
71年ごろの実車にはGT-150という、おそらくSchwinn内製のフロントディレイラーが付いているのだが、オーナーズマニュアルではまだ#800型が載っていて、73年のマニュアルまで変化がない。
カタログで見るHuret部品-1972年
カタログで見るHuret部品-1973年
カタログで見るHuret部品-1974年
74年になるとFDはClub型のGT-250に交代する。
Schwinn Demonstrator
1963年式の Schwinn Varsityに搭載されているフロントディレイラーにSprint刻印の#800が見られるものがある。同時にバッチ型のSprint#800も見られる。
Schwinnが販売店用に作った販促グッズにディレイラーデモンストレーターというものがあるのだが、これにバッチ型のSprint#800が使われている。
その他
この他に1969年-1971年の販売店むけマニュアルがあり、取り付け方法、分解方法、分解図等詳細に写真入りで解説されているものがあります。
https://www.schwinnbikeforum.com/SLDB/Repair/1969-70/69Repair.htm
以上