見出し画像

本日アイデミーは東証グロース市場に上場しました【感謝と抱負】

2023年6月22日、本日、株式会社アイデミーは証券コード5577を正式に拝命し、東京証券取引所グロース市場に上場しました。東京大学3年生の頃に会社を立ち上げた2014年6月10日から9年余り経ち、10期目という節目を迎えました。また、個人的にも30歳になったタイミングで上場という新たなステージで挑戦することができました。こうした挑戦の機会をいただき、本当に感謝しています。

スタートアップ界隈では、上場を「EXIT」と呼びますが、アイデミーにとっては「入口」です。僕が19歳で東大に入学したとき、「東大までの人」「東大からの人」という話をよく聞いており、「までの人」にはなりたくない、という強い想いがありました。改めて、「上場までの会社」ではなく「上場からの会社」になることを誓い、「アイデミーって上場してからさらに成長加速したよね!」と評されるよう、会社を代表する取締役として、継続的な会社の発展に全身全霊を尽くしたいと思っています。

そんな記念すべき本日を無事に迎えられたのは、アイデミーを支えてくださった方々あってこそです。アイデミーのサービスを信頼して導入くださった法人・個人のお客様、ミッションに共感し同じ舟に乗っていただいた社内のメンバー、アイデミーの将来性に期待して投資いただいた株主、講師や開発パートナーや東京大学を始めとするステークホルダーの皆さま、過去アイデミーを支えてくれたOB/OGの方々、そして暖かく支えてくださったご家族の皆様にお礼申し上げます。こうした方々との出会いがなければ、今のアイデミーはありませんでした。

とはいいつつ、今日は会社にとって大きな節目です。せっかくの機会なので、アイデミーにとって、何が良かったのか、何が強みだったか、どんな方に恵まれたのか、このnoteに今の想いを残そうと思います。

CFOと一緒に鐘を鳴らしました!

創業直後のアイデミー

アイデミーの創業は2014年ですが、最初の3年はGoodsという旧社名で今と全く違う事業を展開しており、失敗の連続でした。(堀江貴文さんからは、ホリエモンチャンネルで「失敗と言うな。部分的成功と言え」とお叱りを受けました。笑)「AI人材育成」といった初期コンセプトのサービス「Aidemy」は2017年に誕生しました。上場承認をいただいた際に、過去の失敗のブログ色々なメディアで取り上げていただいたのですが、今考えるとお恥ずかしい限りです。

一方、5年前のブログは、過去の自分を過度に自己否定しすぎているように感じました。もちろん、自分はマーク・ザッカーバーグのような天才でないと知り、天狗の鼻がポッキリ折れた内面的な変化はありました。しかし、「まずは挑戦してみる・やってみる」というマインドセットは変わっていませんし、当時から良いマインドだったと思います。プロ野球選手であっても、打率三割あれば優れているように、ビジネスは運の要素も強く、確率を高められる限界もあるはずです。とにかく様々な挑戦を続けられる環境に身を置けたことに感謝しています。

2017年にアイデミーを始めた当初、高校(サレジオ学院)の先輩であるSkyland Ventures CEOの木下さん、サークル(KING)の創始者・先輩である 金田さんにシード出資いただきました。木下さんからは「市場の選択の重要性」を、金田さんからは「リーンに検証するメソッド」を受け取りました。できるだけリーンにサービスをローンチする、という観点から、「AI勉強会」を定期的に開催し、現在の個人向けのPython特化型プログラミングスクール「Aidemy Premium」の原型となるサービスをローンチしました。

木下さんから、たまに無茶を言われますが笑、いつも私の心に炎を灯してくれました。

さらに、東京大学大学院で松尾豊先生が主催する「WEB工学とビジネスモデル」という授業を履修していたのですが、同じチームメイトとしてUTEC 社長の郷治さん(社会人博士課程に通われてました)とお知り合いになり、投資いただきました。UTECの優れたサイエンス・テクノロジー/強力なチーム/グローバルという投資哲学は、アイデミーの経営戦略を考え、自分自身のキャリア形成を考える軸の一つになりました。20代の様々な学びを得られる時期に、今や世界を代表するVCのUTEC、若手起業家投資を代表するVCの Skyland Ventures、自分が起業するキッカケをもらい価値観形成の原体験をくださった金田さん、こうした方々に囲まれて時間を過ごせたのは、幸せでした。

郷治さんと一緒に発表したプレゼンテーションの資料。最初は「E班」として、同期でした。笑

さて、過去のアイデミーを振り返ると、以下の3点が強みだったように感じます。

1.伸びていく市場を捉えられたこと
2.ビジネスアイディアに固執せず常にピボットできたこと
3.過去に出会った方との関係に感謝し、まずは考えを受け取ったこと

1.の「伸びていく市場を捉えられたこと」は、当時から注目されていたAIという市場を選択できたことが良かったです。2023年、生成AIというテーマでさらに注目されており、今後もさらに拡大すると思います。先輩方と議論して市場選択したのは自分にとって正解でした。一般的に、学生は「市場」のトレンド等を吸収するのが難しいと思いますが、伸びる市場の審美眼を養うことに特化されている、VCの意見を吸収することは良いアクションでした。

AI(機械学習)を応用して、水処理施設の制御の最適化に取り組みました。ここで感じた課題(AIを学ぶ難しさ)が、アイデミーのサービスをVCに提案したキッカケになりました。

2.の「ビジネスアイディアに固執せず常にピボットできたこと」は、アイデミーにとって非常に大事なカルチャーでした。そもそも最初はB2Cビジネスモデルで開始しましたが、B2Bのニーズも強いと気付き、2018年から顧客をピボットしました。「自分のアイディアに固執しすぎない」ことは、その後の会社マネジメントでも生かされました。

これだけ世界が変化する中、「PMFは一生こない」と思っています。Facebook(meta社)の主力事業は気づいたらWhatsAppやInstagramになり、ソフトバンクグループは通信企業から投資事業に変化したように、常にプロダクトや事業戦略は変化します。過去の実践を自己否定し、勇気を持って新たなアクションをする考え方に染まれたのは、起業家として良かったと思います。

3.の「過去に出会った方との関係に感謝し、まずは考えを受け取ったこと」は、3年間の失敗を経て、自信がなくなった2017年頃のタイミングで、創業当初、今は解体された(解体されている?)新太宗ビルの7階、EastVenturesのシェアオフィスで隣りに座っていた、Candleの金氏ゴローの花房氏の会社売却のニュースを目にしたことがキッカケでした。自分の最も身近な同世代が起業家として一定の成功を実現したのを目の当たりにして、先を越された悔しさがある一方、自分も同じ環境に身をおいているのだから、上手くいくのでは?と変な自信を持ちました。笑

友人がこうした形で起業して成功しているので、自分が所属しているコミュニティは間違っていないはずだと思い、今までの繋がりに感謝しよう、ということで、前述の木下さんや金田さんに出資いただきました。その後、チームメイトだった郷治さん率いるUTECに2度リード出資いただき、強いコミットメントで事業成長をご支援いただきました。その後、大学の「都市工学科名簿」というOB/OG名簿を引っ張りだし、同じ学科出身ということで連絡し、都市工学科OB3名から個人出資をいただき、先輩企業に何回も様々な提案をさせていただきました。さらに、高校同期、大学の語学クラス、サークルの同期や先輩にジョインいただき、大学院時代にお世話になった先生に技術アドバイザーになっていただきました。当時は恵まれた環境に身を置いていることに気づけていませんでしたが、本当に素晴らしい方々に囲まれていました。

この名簿には大変お世話になりました。

「まずは考え方を受け取ったこと」とは、アドバイスを受け止め、自分と違う意見を頂いても、過度な否定から入らないことです。例えば、木下さんからの最初のアドバイスは「税理士と契約しろ」でした。(最初の3年間は、個人で確定申告をするように、会社の決算を個人行っていました。)当初、「1円でも大切する観点では、やめたほうが良いのでは?」と思いましたが、いま振り返ると間違ったベクトルで努力していたように感じますし、素直にアドバイスを受け取れてよかったです。

UTEC 郷治さんからは(正社員が5名程度の段階で)「取締役会を作れ」とアドバイスもらいました。「この規模で要る!?」と当時は思いましたが、「学生サークルの研究室」から「大人も参画するスタートアップ」に変貌するために必要なステップだったと今なら分かりますし、当時の郷治さんのアドバイスに感謝しています。

当時のオフィスの様子。大学研究室のようなテックな雰囲気は非常に居心地良かったですが、良くも悪くも、会社というよりサークルで、アップデートが必要だったのだと思います。

アイデミー主力事業の誕生

現在の主力事業「Aidemy Business」が誕生したのは2018年です。元々個人向けにサービスを提供しており、メインターゲットは大学生・大学院生を想定していましたが、蓋を開けてみると多くのユーザーは社会人研究者でした。さらに、日本人なら誰でも知っている企業名を宛名で書いた領収書を何枚も発行し、それであれば直接法人向けサービスをローンチしようということでプレスリリースを出しました。

このプレスリリースをキッカケに、様々な会社との取引が始まりました。特に、2021年に資本業務提携に至った古河電工さんにはサービスの初期から導入いただき、黎明期からサービスを支えていただきました。2020年に資本業務提携に至ったダイキン工業さんも、初期のパワーユーザーとしてサービスを導入いただきました。当時、アイデミーのオフィスは東京大学の本郷キャンパスのシェアオフィス内にありました。本郷キャンパス内の会議室で開催した初回のユーザー会でダイキン工業さんでのAI/DX人材の育成に関する取り組みをシェアいただき、様々な会社からの質問にも朗らかにお答えいただきました。世界を代表する企業が、日本のAI/DXを進めるため、ある種の「社会奉仕の精神」でナレッジシェアいただいたことに助けられました。

このタイミングでアイデミーの経営幹部もジョインいただきました。例えば、取締役の河野さん、伊藤さんはAidemy Businessのローンチ黎明期にジョインいただき、サービスの拡販や資金調達に向けて二人三脚で取り組みました。

他にも、アイデミーの幹部メンバー・コアメンバーの多くは2019年前後にジョインいただきました。朝令暮改で未熟な私と一緒に働くのは辛いことも多かったと思いますし、今でも迷惑掛けてると思います。笑 しかし、コロナ前の東京大学の本郷キャンパス内のシェアオフィスで夜まで一緒に働き、湯島・御徒町まで歩いて朝まで飲み歩いた思い出は、(かなり美化されてる気もしますが笑)初期のアイデミーの大切なワンシーンとして心に刻まれています。

東大キャンパス内のシェアオフィスは、セルフDIYで家具を置きました。

教育からAI/DXカンパニーへ

2020年に8.3億円の資金調達を実施させていただき、資金調達時の記者会見では、改めて、アイデミーは「教育の会社ではなく、AI/DXを推進する会社」であることを発表しました。Aidemy BusinessというAI/DXに特化した領域の教育研修のサービスで、豊富なコンテンツや充実したサポート体制を持っている強みを確固たるものにしつつ、教育フェーズの後続工程である、AI分野の課題特定・PoC・実運用分野まで伴走支援しよう、というものです。この分野のサービスをModeloyという名前(Model + Deployの造語で、「モデロイ」と読みます)でローンチしました。

Modeloyも当初は、AI/機械学習モデルをIoTデバイスにデプロイするプラットフォームというコンセプトでしたが、アイデミーお得意のピボット力で!?、「DXプロジェクト内製化支援サービス」というコンセプトに捉え直し、AI/機械学習モデルの開発から、コンサルティング等を育った顧客人材と伴走しながら行うサービスへと拡大しました。現在、このModeloyのサービスの売上成長率は最も高く、アイデミーの事業を牽引するサービスの一つになっています。

「AI/DX人材の育成はゴールではない」という強い思いが、少しずつ具現化しています。

未曾有のコロナ時代に突入し、一時的にサービスの発注が止まりましたが、その後はむしろ「オンラインDXラーニング」というAidemy Businessのコンセプトが受け入れられ、さらに導入顧客数がさらに増加しました。Modeloyとのクロスセルも加速し、日本ゼオンさんとはマテリアルズ・インフォマティクス領域で協業するなど、オンライン教育にとどまらないAI活用を加速しています。

もともと大学に入学した時は教師への夢を叶えるために、人文学系の文科三類に入学し、その後「起業」するならテクノロジーを学ぶべきと考え直し、理転して工学部に進学し、AI応用に触れました。Aidemyというサービスで、人材育成・リスキリングという側面に触れ、ModeloyというサービスでAI/DXのテクノロジーの最先端に触れました。気づいたら自分のキャリアの夢を実現するような事業を展開できており、これしか無いな、と。今後も「人材育成・リスキリング」と「AI/DXというテクノロジーの具現化」というシナジーを出しながら、今までにないビジネスモデルで企業成長を実現したいと思っています。

旧神田オフィスでのトライアルワークショップの様子。複数回のトライアルを経て、新たなワークショップがローンチされました。

上場当日のアイデミー

まず、今日の上場セレモニーは、本当に幸せな時間でした。顧客を代表として日本ゼオンさんにお越し頂き、一番始めに打鐘頂きました。アイデミーの事業のコンセプトは「伴走支援」です。伴走支援を体現すべく、Modeloy事業部の甘粕事業部長と2人で1つの木槌を持って頂き、打鐘しました。続いて、アイデミーのValue、Client First を実現すべく、事業部長、技術部長、コーポレート本部長・監査役、の順で打鐘し、最後に私とCFOで打鐘しました。

プレスリリースより引用。テリアルズインフォマティクス領域でも協業している日本ゼオン株式会社デジタル統括推進部門長 長谷部宏様にご列席頂きました!

また、東証に入れる人数には制約がありまして、正社員全員が入ることはできませんでした。代わりに、東証から徒歩1分のレストランを貸し切ってパブリックビューイング会場を用意し、正社員ほぼ全員でセレモニーの様子を視聴していました。

証券コード5577を模したケーキを作り、全員で食べました。

「上場記念セレモニーは、結婚式みたいだ」と聞いていましたが、まさしくその通りです。さらに、アイデミーの社員やステークホルダー全員が主役であり、結婚式より主役が多いという意味で、本当に、本当に幸せに包まれました。新たなスタートラインを切れる記念を全員でお祝いできて、本当に嬉しかったです。

中学3年生ぶりに来た東証。このアイコニックな画面に、自分の会社の名前がおっきく映るなんて…幸せな気持ちでいっぱいで、思わず涙ぐんでしまいました。

これからのアイデミー

この10年でスタートアップをめぐる環境は目まぐるしく良くなりました。上場以外の選択肢(未上場でユニコーンを目指す、会社へのグループインを模索する…etc)も検討した時期もありました。今回上場を選択したのがベストではなかったかもしれません。ただ、これから大事なのは選んだ選択肢を正解にすること。2014年上場時の公開価格ベースの時価総額34億円だったSHIFT社は、今や時価総額5000億円を超えることがある日本を代表する企業であり、大きな成長を実現された企業です。

アイデミーは過去6年間のサービス提供を通じ、累計400社以上の顧客に信頼されました。顧客のエンタープライズ比率は95%で、フォーチュン・グローバル500に選出された日本企業の約70%ですでにご利用頂いております。AI/DX人材の育成を通じて、世界を代表する会社と信頼関係を構築できました。今後、こうした顧客に様々なソリューション提案を加速することで、数多くのAIサービスを提供できるはずです。

アイデミーの顧客の例。本当にたくさんのエンタープライズにご利用頂いております。
アイデミーは「AI/DXの入り口」を抑えました。これから、顧客に対してAI/DXソリューション提案を加速します。

手前味噌で恐縮ですが、以下はアイデミーのメンバーのインタビューをまとめた動画です。アイデミーのいいところがいっぱい詰まっています。ピボット力、大人らしさとスタートアップらしさの二面性… 

noteの途中にも触れましたが、スタートアップには「PMF; Product Market Fit」という言葉があります。一般的に市場が求めるサービスを作ることはできた瞬間を指す言葉ですが、「PMFする瞬間」は一生現れないと思います。顧客の求める内容は常に変わってくるので、プロダクトは常に変わっていく。常にプロダクトは不十分で、「完成」という概念はありません。

アイデミーは本日から、上場企業の末席から、日本・世界を代表するテクノロジーカンパニーを目指し続けます。今までは未上場スタートアップの中で、VCや事業会社等から支援を受け、シリーズB?など、会社として進んでいる評価をいただいていました。これからは、日本だけで約4,000社、世界で約40,000社ある上場企業のうち、まだまだ小さな小さな一社として、アイデミーが独り立ちします。甲子園からプロ野球に、小さいながら戦うフィールドを変えることができました。

昔より幾分か整った会社にはなりましたが、完成した組織ではありませし、これからも変わっていきます。アイデミーはまだまだスタートアップ。上場企業としての「シード期」が始まります。世阿弥の「時々の初心忘るべからず」を以前の自分のnoteでも紹介しましたが、本日から新たな「初心」の連続です。

「時々の初心忘るべからず」は、「その年齢にふさわしい芸に挑むということは、その段階においては初心者であり、やはり未熟さ、つたなさがある。そのひとつひとつを忘れてはならない」ということ。

「初心忘るべからず」の本当の意味、知っていますか?
https://serai.jp/living/380974

これからのアイデミーの成長を実現するためには、皆さんとの協力が必要です。上場したアイデミーと一緒に、世界を変える企業を創りませんか?まだまだ我々はスタートアップで、皆さんの力無しではなにもできません。HRMOS、Facebook、Twitter DM、いつでもウェルカムです。是非一緒に働きましょう!いつでもDMください。


いいなと思ったら応援しよう!