連結、伝播、百回忌

常に新しい漫才のような形状をしたファム・ファタールが、毎夜、私の耳元で囁くのです、デウス。
するとデウス、ほな、ほうれん草食ってみい、と言い、採れたてのエリンギ、腹の上に乗せた。
俺はハハッと笑い、それを食い、夜空に向けて手を伸ばす。
夜空、輝き、虹が出る。
出会いは突然、真に美しい方が目の前に現れる。しかし、アプローチ叶わず、徒花となる。
俺、考えてみる。なんで、なんで。
真に美しい方は、真に美しい方々の一員ではあるが、その実、真に美しい方々とは一線を画し、根本的に違っていた。美しいにも関わらず、異質だった。
その異質さに、なんでの答え、あるな。
歴史分野では定評のある走査法で、俺、お前の降り立った美しい地面をスキャンするよ。
すると、驚くべきこと、判明しつつある。答えが。
俺、ふむ、と言い、神殿にて、デウスに見せる。
デウス、エリンギ食ってみい、と言い、もろこしを寄こす。
もろこし食って、美味い、と言い、家に帰ったら、棚の上ではファム・ファタール、再度、新しい形状で舞い踊り、四角くなって、消滅。
俺、美しい方のこと、考えて、スキャンの結果、眺めながら、眠りにつく。

凪となった答えの、柱頭の列を渡り歩き、俺、やがて悟る。アプローチ、形成した配列の数々、その変質に没頭し、やがて、完成する。

目覚める。

そして、ガタンゴトン、座標に到達。人には、それぞれ、運命の座標、絶対にある。固有運命時刻、固有運命座標に、身体、移動。すると、固有運命事象、起きて、全て変わるだろう。全て。
俺の固有運命座標、まさにここ。この摩天楼の、あろうことか、地下2階。車、並び、並び、葬送の時。
すると、真に美しい方、再臨し、あたりには、血液散乱。阿鼻叫喚。
セカンド・アプローチ、開始。
俺、涙を流しつつ、右を指差し、左を指差し、深々と、跪き、再び、立ち上がる。
これを十回繰り返す。
真に美しい方、スクワットに移行し、あ、と言いながら、ま、と言った。
俺、鋭く尖った、殺人用のアイスピック取り出す。モノボケ、と言い、太ももに刺した。うっと声が漏れる。
真に美しい方は、少しずつにじり寄り、口から、2本ほど、うねうねとしたやつ、出して、左に2歩、右に3歩、移動した。
間髪入れず、この俺、真に美しい方に突進!15歩ほど突進すると、くるりと反対を向き、15歩突進し、元の位置に戻った。
真に美しい方は光り始め、光を物ともせず、方は、ウォーと吠え、くるりと周り、これを10回繰り返す。
この俺、畳みかける。まず、3、と言い、エリンギを吐き出す。次に、7と言い、もろこし吐き出す。次に、1と言い、ほうれん草を吐き出した。
最後、俺は、パン、と手を叩き、アプローチ終了と相成った。
方はみるみる収縮し、いまや、小さな赤黒い粒となって、俺の手にある。
俺、それをケースに入れ、満足し、喜んで、帰った。家には、ファム・ファタールいて、新しい形状見せて、祝っている。






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