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違和感の正体(発症)

卵巣境界悪性腫瘍というものが見つかり、片側卵巣摘出の手術を受けた。今まで健康体で生きてきた身としては、なかなか大きな出来事だった。

卵巣の腫瘍には「境界悪性」という種類があるのだそうだ。がんほど悪性度は高くないが、良性でもない、中間的な性質を持つのだという。再発や転移の可能性もある。それは避けたい…

今回は境界悪性の中でもさらに初期だったので、検査結果や年齢を考慮して、今後は経過観察のみを行うことになっている。

診断や方針が出たことで慌ただしい上半期がようやく少し落ち着いた気分。これからのことも徐々に考えられるようになってきた。

婦人科へ

もともと生理痛がひどく、経血量も多く、PMSも重かった。それが今年のはじめから、排卵の時期になると「ロキソニンがほしいかも…」くらいの腰痛(腹痛よりも腰痛)が続いていた。いつもの生理痛はもちろん、月経が終わるころにまた量が増えて、痛みも強くなった。春になってもそれらの症状や下腹部の違和感は続き、何かおかしいなと思って婦人科へ行くことにしたのだった。

排卵痛じゃないかなあ、なんて雑談しながら検査が始まると、卵巣にできた腫瘍の大きさを見て医師が絶句。通常2~3cmの卵巣が17cm大まで腫れていた。すぐにMRIを受けるよう検査機関を紹介される。とにかく検査をしないとわからないから…と言われたのだけれど、先生や看護師さんの様子から、あまりいい結果は期待しないほうがよいのだろうなと薄々感じる。どうしてああいうのってわかってしまうのだろう。

採血されているベッドの上で、どうしよう、とぼんやりと考えた。ぼんやりしたまま帰路についた。改札の通り方がわからなくて、想像以上に動揺していたのだとわかった。

MRI

人生初の造影剤MRIということでかなり緊張。それでも受付にはたくさんの人がいて、一人だけど一人じゃない…という気持ちになって少し落ち着く。あのときのみなさんもどうかお大事に。

MRI自体は初めてではなかった。前回もそうだったのだが、横になって目をつむると轟音の中でも眠くなってしまう。「息を止めてください」のアナウンスでかろうじて目を覚ます。造影剤でアレルギーを起こす人もいると聞いていたのでドキドキだったけれど、投与されたそばから再びうとうと。何事もなく終了して、お昼を食べて、午後から仕事もできた。

MRIの結果、腫瘍は境界悪性以上の可能性ありと知らされる。明らかな悪性の所見は見受けられないものの、とにかくその大きさから良性とは断定できないらしい。ここから先は大きな病院で診てもらうよう、紹介状を書いてもらう。

そんな大きさになるまで気づかないものなんだろうかと思った。沈黙の臓器と言われているとはいえ、もっと声を上げてくれてもよかったのだよ。たしかに下っ腹は着々と育っていたのだが、そういう年齢なのだと思っていた。脂肪だと思っていたものが実はほぼ腫瘍(脂肪もあったのだろうけど…もごもご)とわかり、さすがに血の気が引いた。

不安

MRIの結果を聞くまでの日々がつらかった。急に下腹部のふくらみが存在感を放ち始めて居心地が悪い。全部具合が悪い気がする。

想像しすぎないように、調べすぎないようにと思っても、それはとても難しいことだった。寝付くことができず、低音の難聴も出てしまい、このときは不安障害で処方されていた安定剤で対処した。主に人と会話が必要な場面で服用していたのだけれど、こんなところで役に立つとは。

あくまでわたしの場合だが、何が起こるのかわからないと、様々なことを想像してどんどん恐怖を膨らませしまい、それが不安の発作につながってしまう(そのために小さい頃から病院にはよくお世話になっていた)。だから大学病院への受診が決まり、実際に病院のサイトを覗いてみたのが良かったようだった。どんな場所でどんな治療が行われるのか、より現実的なものを目にすることで、頭の中に作り上げた恐怖が収まっていき、不安も落ち着いた。

ただ、具体的な情報を提示されたがゆえに、逆に不安を増幅させてしまう場合もあるはず。メンタル面で特に苦悩した時間でもあった。

※ちなみに、この時期にとてもお世話になったのがラジオと雑談系の動画配信でした。