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日常(術前検査まで)

病気が見つかった前回はこちら。

腫瘍の大きさにわたしも医者も面食らっていたのだけれど、決して珍しいことではないのだと感じる最近です。体験記やつぶやきを見かけるたびに、どうかみなさんお大事に…と思わずにはいられない。

病院を決める

紹介先の病院は婦人科の先生と相談しながら決めた。 
まずはがん治療を行う病院に絞って探してくれていたのだけれど、これは境界悪性以上の可能性が高いという、現時点での病状を鑑みてのことだった。手術後に相応の治療が必要となった場合、そうした治療に特化した病院のほうが何かとスムーズに話が進むのだそう。良性だったらそれはそれで儲けものだしね、とは先生の談。

次にアクセスの面。自宅と実家とどちらに近い方がいいのか、入退院や通院を考慮して決定する。きっと家族の手助けが必要になるはず…ということで、最終的に実家近くの大学病院に紹介状を書いてもらった。同じ県内とはいえ、ちょっとした小旅行である。
(実家にお世話になる可能性は考えていたので、MRIの結果を聞く前に、ちょっと大ごとになるかもということは伝えてあった)

予約をしようと電話をかけると、診察まで1ヶ月弱。結構かかるものなんだなと思ったけれど、それでも一番早い日を案内してもらった。予約が済んだらあとはしばらくすることがない。放っておいていいのだろうかという気持ちでいつつ、ひとまず日常を続ける。

予約をしたり、各所へ連絡したりが終わってからようやく思ったけれど、やっぱり検査結果を聞いた日にここまで決めなければならないのは大変だった。あっちの病院のがよかったのかも…という考えが何度か頭をよぎる。

排卵時の不調以外は気になる症状もないので、普通に働いて、家事をして、勉強した。課題も出した。結構頑張った。腫瘍が破裂してしまわないかと心配だったので寝返りに気を遣ったりもしたのだけど、それもやがて落ち着いた。通院で会社をたびたび休むことになりそうだったので、同僚には話をした。

いつもどおりの生活を送っていると、あれは嘘なのでは?と感じることが多かった。それでも下っ腹には存在感があった。テレビを見て笑っても、次の瞬間には重たい何かがずうんとつきまとう。いつもどおりであって、もういつもどおりではなかった。

検査、検査

初診の外来受付は混んでいた。まさに老若男女、様々な人たちがいた。みんなきっと不安だよなあと思うと、ここでも再び、一人だけど一人じゃない…という気持ちになった。あのときのみなさまもどうかお大事に。

内診やエコーなど婦人科の検査を済ませ、卵巣の腫瘍一般についての話があった。診断を確定させるため、手術が必要となることも説明された。すでに緊張していたので目つきが鋭くなってしまったけれど、担当の先生は穏やかだった。血液検査をして、心電図を撮って帰宅。血を6本も採るなど初めてのことだったので、貧血を起こしてしまうのではとちょっと不安だったのだが、家に帰るまでシャキシャキ歩いた。

後日、造影剤CT、呼吸器検査。
造影剤CTもMRI同様、アレルギーが出る話をよく聞いていたので、ドキドキして待つ。投与前に「体があったかくなりますよ」と看護師さんに言われてじっとしていると、じわじわと体中が温かくなる。頭の中まで温水が流れていく感じ。事前に言われなかったら絶対に焦ってしまっていたな。
結局、呼吸器の検査が一番苦労したかもしれない。肺活量がないのか(吹奏楽部だったのに…)「若いんだから!がんばって!!もっと!!」と言われ続けていた。たいして若くない。なかなかOKが出なかったのだけど、まあいいでしょうということで何とかクリア。

前回訪れたときもそうだったけれど、とにかく眠い。待ち時間が長いせいでもあり、自宅からの移動距離が長いせいでもあり、たびたび会社を休む心労のせいでもあった。そもそもやっぱり体調がよくないんじゃないか。

検査入院というものもなかったので、検査の日はだいたい午前中だけ働いて、午後になったら通院、自宅に帰って諸々済ませて、翌日また働く…という生活が少し続く。なかなか大変。職場の人たちがあたたかいのが救い。

心も検査

各種検査が終わり、問題なしとのことで手術の日が決まる。手術を受けるためには、健康とまではいかなくても、それに耐えうる体でなければならない。このあと入院の予定を聞いたら今日は帰宅かな…というところで、もうひとつ診察が必要になった。今までの様子から問題なさそうではあるものの、既往に軽度の精神障害やうつがあるので、念のため心の状態も確認することになったのだ。

精神腫瘍科の先生の診察を受け、会話の状態からもやはり問題なしとの結論だった。ただ、術後せん妄のリスクを高める処方薬が出ているため、しばらく内服量を減らすよう指示があった(頓服で飲んでいたのでこの点も大丈夫でした)。術後せん妄を起こすと、錯乱して体につながる管などを抜いてしまう恐れがあるらしい。

検査はすべて合格点をもらえたので、無事に入院・手術の段階へ進むことになった。気づけば外来の時間も終わっていて、バタバタと会計を済ませる。たくさんの書類をもらって帰路についた。手術は大変なのだとすでに実感していた日々でした。

※ちなみにこの時期もほとんど音楽を聴くことができなくなってしまい、相変わらずラジオや雑談配信にお世話になっていました。