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【不妊治療】第5章【顕微授精のスタート<2>】あの光りは錯覚だったの?
あの光りは錯覚だったの?
平成9年1月23日
最初の一歩。ようやく終わった。今日は、初めての採卵日だった。
朝、主人と8時半にMクリニックへ、電車で行った。
9時に、私の名前が呼ばれ、手術室のある手前の部屋へ。
ここにはカーテンでしきられたベットがいくつか並んでいる。
そのうちの1つに入って手術衣に着替え、血圧・体温を測り、10時半まで待つ。
10時半頃、私の順番が来て手術室(採卵室)に入り、手術台(内診するときのように足を開いて乗せるようになっている)に乗る。
心電計や、血圧計をつけられて、点滴をうたれて、『少しぼーっとするかもしれませんよ』って看護婦さんに注射をされて・・・そのまましばらく、M院長が来るのを待つ。少し腹部に痛みを感じる・・・。看護婦さんのそれを告げると『もしかしたらもう排卵が始まっているのかも・・・』って言われた。
≪エッ、それってせっかくできた卵子が採れなくなっちゃうんじゃないの??先生早く来て~!≫って心の中で叫んでた。
M院長は通常の外来の診察の合間に、採卵をして下さるので、とにかくバタバタと忙しい。
10時50分・・ようやくM院長が来て、採卵開始。
消毒をして、膣内を広げる為の器具を入れ(?このへんは見えないだけに定かじゃないけど)膣壁に麻酔をする。
なんか他にもいろいろ・・・して、準備完了。
手術室の照明が落とされる。手術室といえば、あのでっかいライトのオバケみたいなのが想像されるけど、暗い手術室なんて初めてだわ・・・
それはさておき、とにかくエコーで、右の卵巣がモニターに映し出された。私からも見える。
薄暗い中、M院長と4~5人くらいの看護婦さんが対応してくれた。
モニター画面にはたくさんの卵胞が見えた。
膣壁に直接、採卵管(針)を突き刺し、卵巣の中の卵胞(この中に卵子がいる)に、ひとつひとつ針を突き刺し、卵子を吸い出す。
その時の、器具の音が・・・まるで、かなづちで釘を打ち込むときのような音がする・・・。
何度か、その作業を繰り返す。痛みはさほど無い。それより、数分間隔で血圧計が作動するたび、閉めつけられる腕の方が痛い。
吸い取られた卵子は、チューブを通って、隣の培養室にいる専門のスタッフの所へ送られ、卵子があったかどうか確認される。カラの卵胞もある。
1つ吸い出すたびに、隣の培養室から『あります』、『確認できません』とか声が聞こえてくる。
結局、左の卵巣も後屈ぎみだった子宮を持ち上げるほど、かなり大きく腫れていて(卵胞がたくさん出来ていた為)採卵する事が出来た。
これは、ラッキーだった。
左右あわせて12個の卵子が採卵できた。
よかったー!
右の卵胞を吸い出したあと、後半はかなり痛かったが、無事にたくさん採れてくれて良かった。
手術室を出て、ベットに戻され、そのまま約2時間安静。その間に主人が、来てくれた。
主人の方は、11時ごろ(私の1つ目の卵子が採卵できた事を確認されてから)、採精室に案内され、1回の採精でOKが出たそうだ。
その後は、今までずっと待っていてくれたそうだ。私は、薬のせいもあって、眠ったり、ぼーっとしている感じで、そのまま2時間過ごした。時々、看護婦さんが様子を伺いに来てくれた。
その後、痛みも無く帰宅する事になった。会計で、清算しようと受付に行くと・・・『最終的に、合計14個、確認できましたので・・・』と言われた。
良かった・・・いっぱい採れて・・・この中から、どれだけが授精してくれるのか??出来るだけたくさん授精していて欲しい。
でもって・・・お代は33万数千円!でした・・・。あれ?
計算していたよりは少ないぞ!これまたラッキー!
主人は、仕事を休んでくれていたので、2人でタクシーで帰宅・・・昨日は大雪だったので、採卵が昨日じゃなくて良かった。
家に帰って、とりあえず食事をして、眠った。
夕食を済ませて、Mクリニックから処方された薬を飲む。
今日から毎日、毎食後、薬を飲むことになっている。
夜、9時頃、膣内のガーゼを取り除く。
手品師のように、大量のガーゼ(血だらけ?もしくは消毒液だらけ??どっちだかわかんない!)が、スルスルと出てきたのには、ちょっと笑っちゃった。
9時半頃、Mクリニックから様子伺いの電話が入る。そして、明日のお昼頃≪授精が確認≫できたら、再度電話をしてくれて、土曜か日曜に≪移植≫となる。
私は、このまま5日間安静にしておかなければならなかった。
HMGの副作用で、腹水がたまらない様にする為だ。
とにかく水分をたくさん採って、横になっておくようにと言われた。
さて、後は『神のみぞ知る』・・・どうか、お願い・・・たくさん授精卵が出来ていますように。
平成9年1月23日
今朝、9時半頃Mクリニックから電話があった。『授精が確認できましたよ!』と言う連絡だった。
「数はどのくらい?」と聞くと『それは院長から聞いて下さい。』と言われ、電話では教えてもらえなかった。けど、嬉しい!授精してたんだ!
明日か、あさって「移植」という事になっていたが・・・『まだ、もう少し授精の状況を見せておいて欲しいので、明日、また電話します。おそらく明日移植する事になると思うのですが・・・。とにかく明日の朝、また電話します。』と、言われた。
・・・あとは、受精卵を移植してちゃんと着床して、妊娠してくれれば・・・元気な赤ちゃんが授かれればいい。
平成9年1月25日
さきほど、家に帰って来た。
今朝9時に、Mクリニックから再度電話があり『今日移植できますよ!』との連絡。1時にMクリニックへ行く事になった。
主人はどうしても仕事に行かなくてはならなかったので、近くに住む姉が送ってくれる事になった。まだ安静にしていなければならない期間なので、やむを得ない。
いつも通り、待合室で待っていると、私とあと3人の患者さん、計4名の名前が呼ばれた。今日は4人が、移植される。
私が一番はじめだった。カーテンで仕切られたベッドで準備(下半身は全部脱いで、バスタオルを巻いて待つ)をして待つ事、約30分。
採卵の時と同じ手術室に入ったが、可動式の簡易ベッドの上に寝かされた。
子宮後屈の人と前屈の人とでは、移植される時のスタイルが違う。
私は、後屈だったのでお尻の下に、小さい枕ぐらいのクッションをいれ、膝を曲げ脚の裏を合わせたような状態で、移植を受ける。
M院長が来るのを約20分ぐらい待った。M院長が来ると、すぐに移植が始まった。
移植する前に、授精卵がいくつぐらいあったのかなど、何らかの説明があるのかと思っていたが、聞く間もなくいきなり移植が始まってしまった。
器具で、膣を広げる際、とても痛くてつらかったが、グッと我慢した。
膣内がヒリヒリとまるで火がついた(ついた事は無いけど)みたいになって、飛び上がりそうなほどだった。それでもなんとか、我慢して・・・。
そうしたら、M院長が『後屈だったはずの子宮が、前屈になっている!おそらく卵巣が腫れて圧迫しているから、子宮が押されて前屈になっているんだと思う』とおっしゃった。
前にも、書いたが私の左の卵巣は、子宮の後ろの方にまわっていて、位置が悪い。
急遽、前屈の人が移植する時のスタイルに変更。
うつ伏せになり膝をついて、お尻を上げ肩は下ろしたままの状態(これって、性行為時の「バック」のスタイルだな?!)になった。
そしてまた、膣内を広げる器具を入れ洗浄し、おそらく(私からは見えてない)細長いチューブのようなものが膣から子宮へと入れられた。
セットが出来たら、授精した分割卵をチューブを通して子宮内へ移植。
それ自体は5分くらいの作業だったと思う。少し痛かったが、我慢できた。
移植が終わってから、その場で(お尻は下ろして、タオルはかけられているけど・・・)M院長は『5つ授精してたけど、1個はあんまり状態が良くなかったから、4つ戻しましたよ。でも、そのうちの1個も正直言ってあんまりだったから、凍結は無しね・・・実質は3つと思って!!』と言われた。
はじめは意味が分からなかった・・・≪なんだ?そりゃ!どういうこと?≫だった。
『実質3つなのに4つ戻したってどういうこと??』と思った。
・・・が、その時はすでに、手術室から運び出されて、ベッドに戻された。
そのまま、うつ伏せで2時間安静と言われ、4時まで寝たままにされた。(・・・うつ伏せ2時間は、けっこう苦しいのよね。意識がハッキリしてると、もうこれは拷問だよ!)でも。移植した受精卵のため、頑張って堪える。
他の3人の方は、私のあとすぐ、それぞれ順番に移植され10分ぐらいで、それぞれの人が出てきた。
1時間ぐらいして、看護婦さんが今後の通院の事や、処方される薬の事を説明に来たのでさっきM院長が言ってたことの意味を聞いてみたが、なんとなく物足りなかった。
それで、あとで院長先生にもう一度話を伺えないかと頼んだ。
4時になり、2時間の安静がとけたので着替えてベットを離れようとした時、さっきの看護婦さんが『ちょっと待ててね・・』と言ってくれたが、結局ベテランの看護婦さんが来てくれて『今日はとても患者さんが多くて、かなり長時間待ってもらわないと、院長と話は出来ないです・・・私で良ければ説明しますよ』と言ってくれた。
4時半に姉に迎えに来てもらうと言う約束もあったので、その看護婦さんに説明してもらう事にした。
ベッドに戻って、分からない事を聞いてみた。『4つの受精卵のうち1つはあんまりだったけど戻したと、先生に言われましたがそんな受精卵で、万が一”先天性異常”とかは無いんですか?それと、多産の可能性は?」と聞いた。
看護婦さんの話では『まず先天性異常の可能性は、普通妊娠で出来る可能性と同じです。”あんまり良くない受精卵”を戻したのは、その受精卵は妊娠する可能性が無いけど、他の3つを助けるため(いわゆる”ダミー”のようなもの)のものですよ。だから、多産の可能性もほとんど心配しないで・・・』と、教えて下さった。多胎もあまり無いので・・・とも、言ってた。少し安心。
そして、もう1つ説明してくださった。『受精卵には、グレードと言うものがあって、そのグレードによって着床率が違う』と言う事。
そして、3つ戻した場合、3つとも着床しない事もあるが、3つとも着床する事もあるらしい。『でも、たいがいが、3つのうち1つでも着床すれば良いほうです』と、言う事だった。
とにかく、納得のいく説明を受けたので、帰って来た。
次の通院は1月29日と2月2日。ホルモンの値を測るための採血に行く。
そして、2月6日が≪判定日≫だ。ただし≪尿検査≫だけなので着床数はわからないらしい。とにかく妊娠しているかどうかだけを調べるそうだ。
神様、どうかお願いします!!着床して、妊娠します様に!!
あぁ神様、、、「困った時の神頼み」ばっかりしてごめんなさい・・・
不妊症と向き合ってから、いったいどれほど「神様、お願い!」と祈ったか分からない。
今日も、安静にしておかなくてはならない。明日、あさってが一番卵巣が腫れてくる時期だから、安静にしておくようにと言われた。
凍結保存できるほどの授精卵が出来なかったのはすごく残念。
まともに授精したのは14個中(採卵)たったの3個だったのは、なんだか、ガッカリした。
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次回・・・第5章 顕微授精のスタート<3>
どうして・・・朝はこないの?・・・をお届けします。