【不妊治療】明けない夜はないから・・・ GURE

【不妊治療】をしていた話。もうかれこれ25年も前になりますが、私は不妊治療をしておりました。おかげさまで授かった一人娘は25歳になり一人前になりました。 辛い不妊治療ではありましたが、いまもなお不妊治療する人が増えているので、20年前に発表していた手記を再度Netに載せてみます。

【不妊治療】明けない夜はないから・・・ GURE

【不妊治療】をしていた話。もうかれこれ25年も前になりますが、私は不妊治療をしておりました。おかげさまで授かった一人娘は25歳になり一人前になりました。 辛い不妊治療ではありましたが、いまもなお不妊治療する人が増えているので、20年前に発表していた手記を再度Netに載せてみます。

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【不妊治療】第5章【顕微授精のスタート<2>】あの光りは錯覚だったの?

あの光りは錯覚だったの? 平成9年1月23日 最初の一歩。ようやく終わった。今日は、初めての採卵日だった。 朝、主人と8時半にMクリニックへ、電車で行った。 9時に、私の名前が呼ばれ、手術室のある手前の部屋へ。 ここにはカーテンでしきられたベットがいくつか並んでいる。 そのうちの1つに入って手術衣に着替え、血圧・体温を測り、10時半まで待つ。 10時半頃、私の順番が来て手術室(採卵室)に入り、手術台(内診するときのように足を開いて乗せるようになっている)に乗る。

    • 【不妊治療】第5章【顕微授精のスタート<1>】 朝は、まだ来ない【後編】

      朝は、まだ来ない【後編】 平成9年1月18日 失敗する事を、考えていないわけでもない。 そう言う事もあるだろうし、そう言う時こそ強くならなければ・・・と思う。 ワラをも掴む思いで、Mクリニックを訪ね、2ヶ月以上になるが・・・。 こんな事もあるのか・・・別の不安が襲ってきた。 今日はM院長の診察だったので、主人にも説明を受けてもらおうと、クリニックに来てもらった。 私は先に内診を受けて、主人と一緒にM院長の前に座った。 内診の結果、、、『あまり良い状態じゃないです。

      • 【不妊治療】第5章【顕微授精のスタート<1>】 朝は、まだ来ない【前編】

        朝は、まだ来ない【前編】 平成9年1月11日 生理が来た・・・! 思っていたより、ちょっと早かったけど・・・。 今夜の12時よりスプレキュア(1日3回・8時間おき)を開始。 明日は、日曜なのでクリニックへの電話はあさって。・・・いよいよだ。 会社には無理を言って、半月お休みさせてもらう事になった。 そして、退職の意思も示してきた。 今日の仕事の帰り、仲良しのM部長から、こんな事を言われた。 『お前が会社を辞めるって言わなかったら、今度の個人事業場長賞も、またお前が

        • 【不妊治療】第4章【顕微授精に至るまで<2>】レースの折り返し地点に立つ

          レースの折り返し地点に立つ 平成8年12月19日 仕事を辞めよう・・・と考え始めている。 もちろん、顕微授精が成功する事が前提だけど。それでも、長くても来春には、辞めようと思う。 仕事を愛しているし、とてもやりがいがある・・・自分にしか出来ない仕事もある、自分で企画して進めてきた仕事もある。 会社からの評価も十分にして貰ってきた。 でも、この御時世・・・会社の体制も大きく変わる。 仕事を続けたい・・・けれどそれは今のままの部署で同じ仕事が続けられるなら・・・という事だ

        マガジン

        • 【不妊治療】明けない夜はないから・・【25年前の話】GURE
          8本

        記事

          【不妊治療】第4章【顕微授精に至るまで<1>】新しい夜・・【後編】

          新しい夜・・・【後編】 平成8年11月28日 今日は、Mクリニックへ2度目の通院。 1時に予約していたので、30分前に待合室に入った。すでに、3人の人が待っていた。1時に、名前が呼ばれ、中待合室という診察室の手前の部屋に4人入った。順番がまわってきて診察室へ・・・内診を受けた。 内診の結果、体外授精を受ける分にはさほど影響は無いが≪左側の卵巣の位置が悪い≫という事だった。それは、以前T病院で≪造影検査≫を受けた時にも言われたが、たいして気にもかけてなかった。 しかし、

          【不妊治療】第4章【顕微授精に至るまで<1>】新しい夜・・【後編】

          【不妊治療】第4章【顕微授精に至るまで<1>】新しい夜・・【前編】

          新しい夜・・・【前編】 平成8年9月28日 別のゴールを選んでから、9ヶ月たった。 別のゴールを選んでいながらも、主人の方では≪治療≫を続けてきた。 主人は≪スプレキュア≫の治療をしながら、相変わらず、3ヶ月に1度の検査をして。 ・・・先日はスプレキュアに変えてからの3回目の検査だった。 そして、結果も相変わらずで、ついに、泌尿器科のMA医師は『顕微授精をする他ないです』と結論を出された。 『紹介状を書きますから、Mクリニックへ行って、顕微授精を受けて下さい。婦

          【不妊治療】第4章【顕微授精に至るまで<1>】新しい夜・・【前編】

          【不妊治療】第3章【諦める事も一つのゴール】ゴールは何処・・・?

          ゴールは何処・・・? 平成7年8月19日 顕微授精をする勇気がないだけなのか・・・?! やっても、失敗したら・・・きっと立ち直れない。 だからやる勇気がないのかも知れない。金銭的負担・精神的負担・肉体的負担・・・その全ての負担と、全ての『期待と絶望』に耐えられるだろうか?! 『まだ、なにも始めていないじゃない!』そう言われてしまえばそれまでだけど。始めるには、それなりの覚悟と勇気が必要でしょう。今その全てを背負いきれるほど強くないから・・・。 平成7年10月14

          【不妊治療】第3章【諦める事も一つのゴール】ゴールは何処・・・?

          【不妊治療】第2章【手探りの治療4】闇は深い・後編

          闇は深い 後編 平成7年7月3日 主人に、私がこうして書き溜めたものを初めて見せた。主人は、私がこうして書き溜めていた事も知らなかったし、この先も、見せるような事は無いと思っていたが、彼ひとりが苦しんでいるのではないと言う事を分かってもらうには・・・こんな事ぐらいしか何も方法が思い浮かばない・・・。 私達は、今 人生の岐路に立たされている。 子供を持つべきか、持たないべきか・・・。顕微授精を繰り返してでも子供を作るべきなのか・・・。それでも子供が出来るならその選択は正し

          【不妊治療】第2章【手探りの治療4】闇は深い・後編

          【不妊治療】第2章【手探りの治療4】闇は深い・前編

          闇は深い 前編 平成7年6月30日 どんなふうに『絶望』がやってくるのか、私達は知っている。 それがやってきたのは、2日前だった。 T病院の泌尿器科・・・主人の3度目の検査の日だった。 検査の結果を聞くまでに、すでにお互いが『期待はしないように』と思っていたに違いない。・・・そう、そして覚悟はしていた。 なのに・・・やはり、ほんの少し持っていた期待が、彼を落ちこませた。 治療法が変更になった。 注射がなくなり、今までの薬に加えて、朝起き抜けに飲む薬がプラスされた。しか

          【不妊治療】第2章【手探りの治療4】闇は深い・前編

          【不妊治療】第2章【手探りの治療3】夢は見ない・後編

          夢は見ない 後編 平成7年3月19日 『期待』は、こうも簡単に壊れてしまうものだと知った。 基礎体温が下がり始めた。今日か、明日には生理が来る。何の間違いもなく『絶望』は来る。 主人の前でメソメソするのはやめなきゃ。彼がプレッシャーで流されてしまう。『絶対に出来る訳がない、ダメだ』と、頭の中ではわかっていたはずなのに。 何度も何度も祈って、何度も何度も目が覚めて、覚める度に体温を確認して・・・。 あと少し・・・あと少し・・・。 何度も祈ってはみたけれど、やはりダメなも

          【不妊治療】第2章【手探りの治療3】夢は見ない・後編

          【不妊治療】第2章【手探りの治療3】夢は見ない・前編

          夢は見ない 前編 平成7年3月15日 今日は、主人の再検査の日だ・・・。落ちつかない。おかげで、やたら早起きしてしまった。 私自身、今 基礎体温が、かなり希望のもてる高温期にある。前々回の通院日『今まさしく排卵寸前』と言われ、夫婦生活をしておくようにと指示されて・・・その日から11日が過ぎようとしている。 基礎体温表から見る分には、今までにないぐらい『イイ感じ!』で、内心かなり期待している。 でも、今日の主人の再検査で、思わしくない数値が出たら、期待もなくなってしまう

          【不妊治療】第2章【手探りの治療3】夢は見ない・前編

          【不妊治療】第2章【手探りの治療2】夜はあまりに暗い・・・

          平成7年2月3日 ≪精子減少症≫と言う事実は、こんなにも主人を追いつめるものなのか・・・。無意識の事とは思うが、彼は極度に生気を失っている様に私には見えてならない。 体のあちこちが痛いと言い、毎日毎日『しんどい』『いたい』『だるい』の連発だ。精子減少症と言う事実が彼を追いつめているのか・・・? それとも、私が追いつめているのだろうか・・・?どうしてあげる事も出来ない。せめて『子供』と言う言葉を口にしないことが精一杯だ。 毎日、腫れ物に触るような感じで、接している・・・。

          【不妊治療】第2章【手探りの治療2】夜はあまりに暗い・・・

          【不妊治療】第2章【手探りの治療1】真夜中のマラソンレース

          真夜中のマラソンレース 平成7年2月 それから、主人にも薬と、注射による治療が始まった。 毎日三度の食事の後、薬を飲み、2週間に一度通院し注射を受ける。 3月の中旬が次の通院予約日となった。 初めての検査から3ヶ月薬を飲み続け、注射をし、その後の状況を診るという事で、その日の≪宣告≫は終わった。 あれから主人が薬を飲み始めて、もう1ヶ月半以上経っている・・・注射にも何度か通った。 3月中旬・・・今からまだ1ヶ月も先だ・・・少しでも改善されている事を祈る。 その後、私

          【不妊治療】第2章【手探りの治療1】真夜中のマラソンレース

          【不妊治療】第1章『不妊症』の宣告【長い夜の始まり 3】

          長い夜の始まり 3 平成6年12月の中旬・・・2人で、少しの不安と多くの期待を持ってT病院の泌尿器科を訪れた。午後の予約時間。不妊外来。 新たな事実を知るまでは、少なからず、ワクワクしていたのかもしれない。どうやって、検査をするの?とか、どこで、精子を採取するのか?とか・・・そんな事ばかりが気になって、そわそわしていたのかもしれない。そうして待っているうちに、主人の名前が受付から呼ばれた。 受付に行くと、細い試験管のような管に、キャップがついている容器を渡され『病院内の

          【不妊治療】第1章『不妊症』の宣告【長い夜の始まり 3】

          【不妊治療】第1章『不妊症』の宣告【長い夜の始まり 2】

          長い夜の始まり 2 私は、毎週のように通院し幾度となく内診台にのり、検査が始まった。 毎月、毎週・・・。 色々な不妊に関する本や雑誌を読みあさった。 たいていの本には『不妊の原因は男女半々にある』と始めに書かれている。 しかし、≪盲腸の傷の癒着??≫から始まった≪不妊症≫への原因追求は、当然私にあると考えられ、どんどん私の検査が進んで行った。 毎週のように仕事を休まなければならなかったり、周囲の心無い言動や、プレッシャーに心を痛める日々が続いた。 毎朝、基礎体温を測

          【不妊治療】第1章『不妊症』の宣告【長い夜の始まり 2】

          【不妊治療】第1章『不妊症』の宣告【長い夜の始まり 1】

          長い夜の始まり 1 平成7年2月1日 何から書き出せば良いだろうか・・・今日も、病院の帰りだ。 まっすぐ家に帰る気がしなくて、立ち寄った喫茶店。 今日も仕事を休み、T病院へ午前中いっぱいかけて、通院してきた。 T病院へ通院を始めてもう何年になるだろうか。 しかし、不妊を要因とした通院はまだ半年ほどか。 結婚して約1年と4ヶ月・・・まさか我が身に『不妊』という2文字がつきつけられるとは思わなかった。 平成6年、夏が近づいてきた頃だっただろうか『子供をそろそろ作ってもい

          【不妊治療】第1章『不妊症』の宣告【長い夜の始まり 1】