アイドルオーディション7(瞳編/ラノベ/930文字)
瞳は関西の10万人都市に住んでいた。
母は自分で零細企業を営む社長。
あまり勉強に興味がない瞳のために、母親は家庭教師をつけていた。
瞳は家庭教師の話も上の空で聞いていたので、いっこうに学力が向上しない。
家庭教師も諦めたようで、契約終了。
実際、瞳の学力は小学生低学年並だった。
落花生を「らっきょ」、匿名を「ちょめい」と読むような国語力であり、日本地図もあまり記憶に留めない子だった。
その子が配信を始めたため、視聴者とのコミュニケーションがチグハグであった。
(視聴者は、文字を送信してしかコミュニケーションがとれないので、漢字、外国語等で書かれると、瞳にはお手上げだった)
かなり以前、そういった路線のアイドル等が幅をきかせた時代もあったのだが、最近は下火になりつつもあった。
なので、視聴者には斬新に見えたのかもしれない。もしくは10年前、20年前くらいのそういう番組を思い出しながら見ていたのかもしれない。
結局、学力がなくとも、なんとかなってしまうのが不思議ではあった。
20年ほど前の曲を知っていたりしたからである(母親が鼻歌でよく歌っていたようである)。
ギャル系パリピアイドルの流行歌等は、見様見真似で歌えたので、配信時のテーマソングはそれ(なにしろ15年くらい前の曲なので、中高生は普通は知らないはず。それが歌えるため、30歳くらいから上の世代に支持されたようである。手のかかる娘としてだけど)。
ただ、ミスコンのシステムは結構複雑で、ファーストファイナリスト(決勝半年前に決勝進出が決まる)、シードオーディション、敗者復活戦といった形でなんども同じコンテストの予選が行われるのである。
長期戦になるので、瞳はなるべく早く準決勝、もしくは決勝進出を決めたかった。
だが、そもそもミスコンやオーディションは初めての経験で、どうやったらいいのかさっぱりわからないままさまようような配信がしばらく続いたが、気に入ってくれた視聴者もそれなりについた。
その視聴者のアドバイスで、「あの人、イベンターだよ。意見聞いてきな」とかはすぐに行動する子であった。
興味がないことはさっぱりだけど、やるときは猪突猛進で吸収が早いのであった。
(波が激しいので、漢字等は全然進歩しないけど)
(続く)
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