接客のむずかしさを感じた話
接客、むずかしい。
試行錯誤を繰り返して、今ちょっとスランプ。
悩みを先輩に相談してみた。
「核心をついたらだめだよ」
「相手の持ち物から、ちょっと質問して、相手が話したくなる呼び水にする」
「美容師さん、いるでしょ。参考になるよ」
たしかに、美容師さんは接客中ずっと髪の毛の話をしてきたりしない。
たわいもない話がメイン。
近くですか〜?今日休みですか〜?
から、仕事の話や趣味の話につながって、穏やかに時間が過ぎる。
最後はスッキリして、さようなら。
眠そうだったり、雑誌やスマホを見ていたり、話かけられたくなさそうなお客様には、そっと仕事だけする。
相手の性格や気分に合わせて適切な温度で、対応されているひとは人気なイメージだ。
なるほど。
私は話しかけ過ぎてしまうタイプだ。
話題を探して「盛り上がる」ことを大事にしがち。
会話の中で笑いが欲しい。
相性が良ければ「面白い人」として受け止めてもらえて、一気に打ち解けて親や友達みたいになれることもある。
逆に、うまく噛み合わない時は、私が話し過ぎてしまって、気まずくなる。
沈黙が苦手で、隙間を埋めようとする癖がある。
ちょうど相手が話し出そうとする声と、自分の声が重なって「アッどうぞ」と譲り合い。
なかなか、気まずい。
「笑顔で明るくお話し上手」が、人から好かれるような気がして、そういうふうに振る舞えるように自分を磨いてきたつもりだ。
そういう自分を気に入ってくれる人もたくさんいることも知っている。
でも、明るすぎることはいいとも限らない。
画面が明る過ぎたら目が痛くなるように、
温度が高過ぎたら暑くて疲れてしまうように、
音がうるさいと耳がしんどいように。
本当は、面白い話をするよりも
相手に合わせた温度感で、心地よい間を取る方が、接客としてはずっと長く愛される方法なのかもしれない。
接客業は、バイト合わせて10年以上している。
身内にしか話せない、陰キャオタクが、外部の人と接することができるようになって、「接客がうまい」と会社でも褒めてもらえることが増えて、
自分の中では成長を感じている。
でも、接客には上限がない。
うまくなったと自負しても、「あー話し過ぎた」「あの一言は要らなかった」「質問の掘り下げが甘かった」などなど、毎日反省会の連続だ。
その場に応じた、適切な対応は無限にある。
「相手との相性が悪かった」というと、そこで終わりだけれど。
それで相手を弾いて、終わりにするのは、ちょっと味気ない。
人とのコミュニケーションは、難しいからこそ、たのしい。
一生の戦いな気がしてきた。
いつか、スーパーコミュ力おばあちゃんになれていればいいな。
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