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竹の子、うまし!

 お向かいさんから竹の子をいただく。大きいところをくださったのか、それが4本も入っている。根元の直径が20cmほどあるが、寸詰まりだ。おおかた、地面から顔を出してはいなかったのだろう。市場で売り買いされるくらいの値打ち物だ。
 
 義母がお友だちに分けてあげようと準備していると、そのお友だちがやってくる。以心伝心か?
 用件を聞いて笑う。
「竹の子、いらんかしら?」
 どうやら、今年は豊作らしい。
 それで、4本全部、我が家で食べることとなった。

 本来なら皮付きのままでゆでる。けれど、ここまで大きいと、うちのおでん用の大鍋でも入りきらない。ある程度、皮をむいてからでないといけないだろう。
 床にシートを敷き、むきにかかる。掘り立てなので、見た目よりも柔らかい。掘ったばかりの竹の子は、生で食べられるらしい。欠片を食べてみる。なるほど、口にえぐみは残らない。今まで、竹の子はよくいただいたのに、食べてみたことは無かったのか? と振り返る。
 そう言えば、こういう作業は、義父が先に立ってやってくれた。仕事の速い人だった。気付くと、とうに皮はむかれていた。ああ、だから姫皮(皮の色の付いていない柔らかい部分)の刺身を、食べたことが無かったのかと思い至る。細かい生活のそこここに、亡き人の影を想う。

 穂先と根元では、メニューが変わる。色々と料理を考える。
 しかし、息子はそれほど好きではない。
 竹の子の消費のために、息子の好きなラーメンの恋人、メンマ風に煮付けてみる。
「どお?」
 息子に味見をしてもらうが、評価は辛い。もともと竹の種類が違う。
 それに好きな物だから、なかなか及第点はくれない。
「竹の子の煮物としては、おいしい」
 そっか。まあ、いいさ。

 さて、昨日は、みぞおちのあたりが痛かった。胃痛というより、筋肉痛のようなのだ。
 おまけに、一日中眠い。だるい。寒気がする。それで体温を測ってみた。微熱がある。
まさか……。こんなことをしていては、いけないのではないか……。
 痛み止めを飲む。
 明けて、今日。今度は娘が、腹痛を訴える。
「みぞおちのあたり? 何か筋肉痛みたいな感じなんでない?」
「うんうん!」
 これって……もしかして、竹の子か!
 竹の子の食べ過ぎか! 
 ああ、食べたもんなあ。棒棒鶏にも入れた。竹の子チャーハンに八宝菜、そしてメンマ。消化しきれてなかったのか。はあ……。
 生きてます。私。(またですか)

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