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南に行くほど人は優しくなる

 芥川賞作家小野正嗣氏は大分県佐伯市蒲江町の出身。蒲江町は津々浦々に漁港を持つ小さな漁村が集まっている。
 今度、蒲江町の民宿に泊まるので、何か読んでおこうと思い「歓待する文学」を借りた。本は「はじめに」と「1,文学は歓待する」で冒頭から私を歓待してくれた。

 「南に行くほど人は優しくなる」と思っている。幼児2人連れて県南の佐伯市で2年ほど暮らしたことがあった。近所の人、商店街の人達は優しく、子供の名前をすぐ覚えて呼んでくれた。未熟な母親の私に優しかった若い保母さんは、蒲江町の出身だった。あの南の町で暮らし、親切にされた日々があったから、その後もがんばれたと思っている。

 小野正嗣氏の小説は、蒲江町を舞台に、海辺の町に迷い込んできた人々が、地元の人との交流を通じて再生していく物語が多い。
 津々浦々で海を前に見て暮らす人は、いつも心を世界に開いているのかもしれない。

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