謎だったメーカー名(ピアノじまい③)
実家を空にしなければならない期限が意外と早く迫っているとなり、急いでピアノの処分方法を考えなければならなくなった。
まずは知り合いの調律師さんに尋ねてみるか。
と、その前に。
よく考えたら、うちのピアノの素性を、私は殆ど知らない。
分かっているのは、買ってもらった当初で確か15〜20年経っていたということくらい。
どこで買ったものなのかも、いくらだったのかも知らない。
ピアノの蓋を開けて目に飛び込んでくるメーカー名はヤマハでもカワイでもない。
これまでそれなりにいろいろなところでピアノを弾いたけれど、一度もうちのと同じメーカー名を見たことがない。
調べる術もなかったから、何か無名のメーカーのピアノが格安であったのかもしれないという憶測しかなかった。
そう。現代はインターネットという素晴らしい文明の利器があるのだ。
今こそインターネットを活用する時だ。
検索してみると、いとも簡単にこのメーカー名のことが分かった。
今は廃業してしまっている日本のメーカーが、ほんの5年くらいの間使っていたブランド名らしい。
名前のイメージだけで、外国のメーカーと思い込んでいたので、少し驚いた。
かつては、日本にもたくさんのピアノメーカーがあったそうだ。活気に満ちた製作現場に想いを馳せてみたりする。
うちのピアノも、そんな現場で作られたものなのだろうか。
こうやって調べていくうちに、自分のピアノへの愛着を再認識し、更に深めることになってしまった。