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【特集】旧消防庁舎跡地問題 <名護市議会2023年9月定例会>

 旧消防本庁舎の跡地の売却問題を巡って、渡具知武豊市長がいち企業に便宜を図った疑いを追及され続けています。その経緯を改めてまとめてみます。


跡地は東江の一等地

 2017年7月に消防本庁舎が東江から大北に移転してから6年以上が経ちました。新庁舎の移転事業は滞りなく完了したものの、現在まで、旧消防庁舎跡地の売却を巡って様々な問題が浮上しています。東江にあるこの旧消防庁舎跡地は58号線と名護湾に挟まれた、実に5000平方メートルにも及ぶ市内随一の一等地です。

旧消防庁舎跡地地図

市長の縁故企業に安く売却か

 旧消防庁舎跡地の売却先は、随意契約の一種である「公募型プロポーザル」という方式で複数の民間企業から選定されました。
 しかしながら、名護市は最も高い価格を提示した企業ではなく、その企業よりも1億3000万円も安い価格を提示した企業へと跡地を売却していたことが明らかになったのです。しかもその売却先企業は、市議会が承認した事業計画に記載された企業ではなく、渡具知武豊市長の親族が経営する企業の子会社の「サーバント」だったことが判明しています。更に当初、その企業の登記上の本店は民家に看板だけがかかった状態で、固定電話もありませんでした。

跡地売却先を巡る構図

活用進まず、市にとっても損失

 名護市議会ではこれまで、この「サーバント」が事業実態のないペーパーカンパニーではないか、そしてそもそも土地の売却先の企業に事業に見合った資金力や業務遂行能力がなかったのではないか、という指摘がなされてきました。
 実際に、移転から6年以上経った現在でも消防庁舎跡地は更地のままです。商業施設や宿泊施設が集まる跡地の再開発は地域活性化の核として位置付けられ、定住促進や雇用確保といった面でも大きな期待が寄せられていました。にもかかわらず、跡地の利活用は一切進んでいないのが現実です。これは名護市にとっても大きな損失です。

求められる市長の説明責任

 現職の市長が議会をあざむき、身内への利益誘導のために事業遂行能力のないペーパーカンパニーへ市有地を安値で売却したとすれば、これは市民への裏切り行為以外の何物でもありません。市民の共有財産である市有地の売却は、厳正を期すべきです。
 この問題、全ての市民が当事者です。事業者選定の不公正さや不透明な売却の経緯、縁故企業との関わりなども含めて、渡具知武豊市長は市民にしっかりと説明する責任があります。

(あけみお新報編集委員)


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