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「めんつゆ」を10年以上買ってない

 夏の旬食材、といえば、そうめんは外せないと思うのだけど、私には、そうめんの「めんつゆ」に対して、軽いトラウマがある。

 子ども時代、実家では夏場、しばしば、そうめんが昼食として供された。関西の方にしか通じないかもなんだけど、夏の吉本新喜劇(土曜午後のテレビ)は、そうめんとともに観るものだったのだ。

 母親には大変に申し訳ないのだが、そのそうめんが、とにかく激マズだったのである。

 貧乏だったので、ストレートタイプのめんつゆは、御法度。希釈するタイプのめんつゆが、いつも冷蔵庫に入っていた。5倍希釈くらいの。

 そのめんつゆを、我が母は、6〜7倍に希釈していたと思う。とにかく味が薄すぎる。旨み? なにそれレベルの、シャバシャバ感。

 さらに、おそらくは「冷たい方が美味しいから」という愛情表現だったのであろう、そのうっすいめんつゆの入った器には、氷まで入れられていたのである。

 味うっす! 味うっす! マズ! マズ! ・・・などと正直に表現できる家庭ではなかった。冷蔵庫からその5倍希釈のめんつゆのボトルを取り出し、ちょこっとだけでも足すことができたなら、どんなにか幸せだったことだろう。

 でも、そういうことは許されなかった。さらに、そこに父親が同席していようものなら、

 「なんでそんなマズそうに食うんや!!」

 と怒鳴られ殴られ・・・とまぁ、そうめんに対しては本当に、マイナスイメージしか持っていなかったのである。

 就職し、一人暮らしを始めた夏、そうだ、美味しいそうめんを食べてみようじゃないか、と思った。もう、親の目なんて気にしなくてもいい。自由に、好きなだけ、濃いめんつゆで、そうめんをエンジョイしようじゃないかと。

 5倍希釈のめんつゆを、4倍以下の希釈で使ったとき、私は人生の勝者になったとすら思った(笑)。

 それくらい、濃いめんつゆで食すそうめんは、美味しかったのである。

 こうして無事に「そうめんトラウマ」から解放されたわけだが、最近の私は・・・おそらくもう10年以上「めんつゆ」を買っていない。

 不精者の私は、毎回「薬味」を準備するのが苦痛で、だけどめんつゆだけでは栄養的にもどうかと思うし、どこのメーカーのめんつゆを買っても似たような味だし、で、飽きてしまった。人生の勝者の末路なんてこんなもんだ(笑)。

 最近のお気に入りは、そうめんをいただこう! というタイミングから半日ほど前に、あらかじめ濃いめのスープを作っておき、冷蔵庫で冷やしておく、というやり方。めんつゆと違って、具材もたくさん入れておけば、栄養面もバッチリ。

 今朝も、ナスたっぷりのお味噌汁を作ってから出勤した。帰宅後、そのナスのお味噌汁を、そうめんにぶっかけていただいたのだが、もう本当に身体にしみわたった。

 熱中症対策で、仕事中も水分補給は意識しているのだけど、塩分補給がなかなかうまくできなくて。お弁当には梅干しを入れているし、ふりかけがわりに「神宝塩」という、ミネラルたっぷりのお塩もかけているのだが、それでも足りていなかったようだ。

 ちなみに、アイキャッチ画像は、ミネストローネそうめん。トマトやニンニクまで入ってる豪華版。

 めんつゆがわりに、自分で好きな具材を入れて作り置きするスープは、毎回味も違うし、そのときそのときで、自分が食べたいものを食べたいように入れられるので、満足感が半端ない。

 「めんつゆ」を10年以上買ってないけど、これからも買うことはないと思う。その都度、自分の食べたいスープを作る方が、心も身体も満たされるので。

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