ザ•常連
先週、所用があり、都内へ行きました。
用事を済ませると、お昼の時間。
近くにある人気の洋食屋さんに入りました。
一階は、パンとケーキの販売コーナー。
こじんまりしたイートインスペースがあります。
二階は喫茶室。レストランは三階です。
平日のせいか、それほどお客さんはいません。
年季が入っているな、と思われる人たちが多い。
商店街の中にある老舗のお店なので、
常連さん御用達、という雰囲気が漂っています。
お客さんを観察しました。
1.普通の常連
私の右隣に座っている、しわの深いおじいちゃんは、
ハンバーグステーキセットを食べていました。
大きくて丸いハンバーグは、いかにも手作りという感じです。
付け合わせの揚げポテトも大きめ。
フライドポテトに目がない私は、くぎ付けです。
いんげんとコーンをソテーしたものに、人参のグラッセ。
ハンバーグの上に乗った、丸い目玉焼き。
定番の料理です。
ストローでオレンジジュースを飲んでいる姿が、かわいらしかった。
お会計の時に、
「ごめんね、今日は食べきれなくて残しちゃったよ」
と言っていました。
常連さんらしいセリフですね。
2.いつもの常連
私のすぐあとに入ってきた、
おばさんとおばあちゃんの間?くらいの女性。
サンバイザーにキュロットスカート。サンダル姿。
「カニピラフを下さい」
メニューを見ずに注文していました。
カニピラフというのも、なんだか懐かしい。
しばらく食べていないことに気がつきました。
「あと、ビールもね」
慣れた調子で、注文しています。
飲めない私にとって、
昼間からお酒を飲むという感覚は、とても不思議。
厨房の様子を見ると、
重そうなフライパンで、ライスを空中に放り投げています。
私も自宅でやってみたことがありますが、
半分くらい落ちてしまい、片付けが大変でした。
やはりプロは違いますね。手際の良さに見とれてしまいます。
大きめのお皿に、丸く盛り付けられたカニピラフ。
スプーンを使って、おいしそうに食べていました。
「やっぱりこれよね」
と、店員さんに話しかけています。
食べ終わると、すぐに席を立ちました。
店員さんのいつもありがとうございますと言うセリフが、
まさに常連である証拠です。
3.キング・オブ・常連
「ナポリタン」
お店の入り口から、しわがれた声が聞えてきました。
腰の曲がった、細いおじいちゃんです。
「ナポリタンですね。お好きなお席へどうぞ」
にっこり笑う店員さん。
すごい。
席に座るどころか、お店に入った途端に食べたいものを注文。
究極の常連さんと言ってもいいでしょう。
一番奥にある、4人がけのテーブルに座り、スポーツ紙を広げました。
昭和の喫茶店かと思うような光景です。
そこだけ、時間が止まったような感覚になりました。
ナポリタンはウインナーがどっさり。
ケチャップの色に染まる玉ねぎが、
懐かしさを爆発させていました。
キング・オブ・常連のおじいちゃんに、ふさわしい一皿です。