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共創しようというけれど | デザインイベント DERTA Jam LT まとめ

2024年10月19日(土)新潟のデザインコミュニティイベント「DERTA Jam」に呼んで頂きLTしてきました

この記事では、そこでお話させていただいたスライドを元にまとめ直します。聞いて頂いた方も、そうではないかたもぜひ読んでみてください

DERTA Jamの参加は一年ぶりぐらいになるのですが、とても暖かい雰囲気で楽しく話すことができました

グラフィックレコーディングしていただいた。すてき

一緒に登壇した木村さんが「東京では専門性ごとにある程度人数があつまれるから、領域に閉じてしまうこともあるが、新潟ではそもそも専門性ごとの人数が少ない事が多く、越境した場になりやすい(意訳)」という事をおっしゃっていて、本当にそうだなと思いました

DERTA Jamは、デザイナー・学生・公務員・イラストレーター・建築家・メディア関係・経営者・教育関係者など多様性が高く、お話していて発見が多かったです

LTまとめ

私は、以前書いたこちらの記事をお話させて頂き、ぜひ意見を頂きたいと思っていました

ただスライドを作り始めてすぐに、10分のLT枠で話し切る事は難しい事に気づき、早々に断念しました

実際の謝罪スライド

共創しようというけれど

そこで、今回はDERTA Jamが用意しているいくつかのデザインキーワードから「共創」を選び、共創ってなんでやるんだっけ?それはどうやっていくのか?という話にさせて頂きました

そして、共創をするのだとすれば、この会場にいる人それぞれが、どんな立場で何をしていけるのか。それを今日みんなで話してみようよと投げかけさせて頂きました

デザイナーだけでなく、様々な背景を持つ方が集まる場だからこそ、デザインに閉じない枠組みで他社と活動することについてディスカッションできるといいなと思いました

そもそも、他者と一緒に何かやる意味ってあるのか

まずは大前提から考えるのが良いと思いました、共創が必要となる社会的背景はさまざま語られていると思います。今回はもう少し個人の視点でみんなで考えてみたいと思いました。そもそも、他社と一緒になにかをやる意味ってあるのでしょうか。なぜこんなにめんどくさかったりたいへんだったり、時に傷ついたりすることをやるのか?そこから話をはじめたいと思います

ひとりでやる意味と難しさ

ひとりだとやりたいようにできる

1人でことを進める、ということにもそれなりの良さがあります

私自身デザイナーという仕事を意識しはじめた学生時代は、マッキントッシュをいじりながら1人でかっこいいものをつくるのが好きでした

ひとりでじぶんのやり方で好きなものをつくる時間というのは本当に豊かで楽しいものです

ひとりではできることしかできない

その反面、質や量の限界もありますし、1人ので学習は自分で想定している以上の変化が起きづらいというのも経験的に感じます

成果としてもできる範囲に限定されますし、学びとしても可能性が狭くなりがちなのが難点だと思います

他人とやる意味と難しさ

他人とだとできないこともできる

共創というと語られるのがこの部分だと思います。いわゆる「イノベーション」の文脈や、「合意形成」のような文脈で共創がその手段とされる時に、思ってもみなかったものが生まれる偶発性や、そのプロセスへ参加できることの価値があげられます

また、相互ケアの関係が築ければ困難な状況にも立ち向かえるチームの力で持続的な活動が可能ですし、分業することによる効率化、アウトプットの質・量の向上が期待できると思います

他人とだとやりたいようにできない

ここが困ったところなのですが、上に書いたようなメリットがあることはわかるのですが、個人を尊重しようとしたり、それぞれが自分の主張がある中で、他人と協働関係を維持するというのは本当に難しいです

自分のペースでできないことが困りごととして出ることもあります。なにも自分勝手だからできないわけではなく、経験値や技術力、認知傾向によって周りとペースを合わせる事が難しい場面は日常のしごとの中でもたくさんあります

それぞれが自分に合ったやりかたで物事を考えたり進めたりする事を尊重しながら、他者といっしょにやるというのは、ほとんど曲芸のようにすら思う事があります

一旦まとめ

他者と一緒にやるということの意味は、「できないこともできる」ということであると思います

当たり前ですが、それがとても大切なので、「やりたいようにできない」という大変さに向き合ってでもやる意味があるというのがここでの一旦の整理です

そもそも意味あるのか?とか言ってる場合でもない

個人的には、ここまでに書いてような「難しさはあるけどやる意味あるよね」という話以前に、そうは言っていられない状況もあると感じています

それは「しごと」が高度に抽象的に、複雑に、不確実になっていっている現状があるからだと考えています。どんなに具体的な作業の仕事でも、情報を活用したシステムと無縁の仕事は少なくなってきていますし、パソコンだけで完結するような仕事はそのほとんどを抽象的な概念を扱うことで進めています

すごく雑に書くと、しごと、めっちゃ難しくなってるよな、、と感じています

しごとがそもそも、ひとりではできないものが増えているという現状があると思っています

じゃあどうやってやるのか?

そしてここからが本題になります、今回のLTは結論を出すのではなく、問いを場に出す事がゴールなので、この記事でも結論は書きません。というかわたしは結論を持ち合わせていません

私なりにどうやって他者協働しながらことを進めるのか?についての探究がまさにこの記事となります。探究は続くのでぜひnoteをチェックしてください

わたしの場合

問いを提示するまえに、私が今どうやって共創のプロセスを捉えて推進しているかを共有しておきます

わたしの実践の場は、新潟のコミュニティスタートアップ株式会社DERTAと、東京の組織と人のコンサルティング株式会社MIMIGURIです

それぞれ、「地域がかわる」「組織がかわる」事に資する活動をしていると私は思って所属しています

例えばMIMIGURIでは、組織・ひとに関わるコンサルティングの現場で日々しごとをしています

企業の課題というのは、おおざっぱに分けると「事業に関する問題」と「組織に関する問題」が複雑に絡み合っており、私はプロジェクトマネジメント・デザイン・ファシリテーションの技術を組み合わせ、日夜奮闘しています

私はデザイナーとしての経験が長い人間なので、特に情報デザインの知見を活用しており、プロジェクトの中で発生するもの、こと、ひとに関する情報を活用できるように、探し、まとめ、整理する事が多いです

今までのキャリアで積み重ねた技術を今の現場であらたに工夫しながら活用しています

課題解決プロセスだけじゃなかった

そんな今の現場で感じるのは、いわゆるデザイン思考のような課題解決プロセスと同時に、人と人・人と環境の関係性の変化やそこで起こる学びのプロセスが重要だということです

ものづくりプロセスは依然として今の現場に合わせた改善や探究の余地があり、非常に重要であり続けると思います

ただそのプロセスにだけ気を取られていると、もう一つの人や関係性の変化のプロセスに対する視点が薄くなってしまうと思っています。共創が重要になるのであれば、こちらのプロセスにも目を向けて、仮説を立て、工夫し、実践し、よりよくしていく必要があります

そして、これはもはやデザイナーだけで閉じていては向き合うことが難しいことだとわたしは感じています

DERTA Jamでこのスライドの問を投げかけさせて頂き、会場でのセッションをさせて頂きました

専門職としてのデザイナー以外の職業の方にも、人との関係性に関する経験や技術が多くあることを実感しました

教育に関わる人や行政に関わる人、社会課題やまちづくりに関わる人は特に生の人間関係や学びに対する鋭い実践知を持っていらっしゃると感じましたし、エンジニアリングやビジネスの現場にも近い課題感がありそれぞれ向き合っていらっしゃる事が知れました

少なくとも共創というテーマにおいては、デザイナーかどうかという線引きはあまり意味をなさなくなってきていくように思います

職業関係なくそれぞれの経験や背景、技術を元に、お互いに自分なりの参加の仕方を(それこそ他者と共に)考えていく事が重要だと感じました

LTのスライドをこちらに貼っておきます

DERTA Jamは定期的に開催していますので、ぜひこの記事を呼んでくださった方は参加してくださいませ!

次回は12月に開催とのことです、私も参加しますので、一緒に探究していきましょう!

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