[パロディ]かぐや姫の罪と罰
かぐや姫の話はナゾだらけだ。竹の中に入っていたというのがまずわからない。桃太郎もそうだが、竹の切り方によってはそのまま体を斬られてしまう。そのリスクも含めての流刑ということなのだろうか。あるいは、竹が見つからなければ、やはりそのまま死んでしまう。光って目立っていたそうだから、そこを通りかかった者がいれば見つかるということなのだろうが、誰も通りかからなければそのまま餓死である。
赤ん坊になっていたというのも不思議だ。かぐや姫は月世界で罪を犯して流刑されたということだが、まさか赤子が罪を犯して流刑された訳はないだろうから、若返らせてもらったということになる。これなど償いどころか、利益と言っても過言ではない。もっとも、三か月くらいで成人女性になっているから、子供時代を楽しめたというわけでもない。
とてつもなく美しく育ち求婚されたかぐや姫に惚れた男はたくさんいるが、最後までしつこく言い寄ったのは「色好みといわるる限り五人」だけ。いくら美人でもつれない態度をとられると、普通の男は仕事など他にもすることがあるから途中で諦めるが、最後に残るのは女好きだけというのは、いつの時代でもそうだろう。かぐや姫は求婚相手に「仏の御石の鉢」「蓬莱の珠の枝」「火鼠の皮衣」「竜の頸の珠」「燕の子安貝」といったナゾの品物を要求するという無理難題を言って危険に晒している。地球で結婚するわけにはいかないから、無理難題を言っていたということなのだろうが、結婚を避けるやり方は、他にいくらでもある。思わせぶりな態度をとって、命の危険を冒させるのは、それ自体が罪、傷害予備罪という言い方があるのかどうかは知らないが、そのような罰に値する。言うなれば、イギリスから流刑地オーストラリアに送られた罪人が、オーストラリアでまた罪を犯すようなものであろう。奄美に送られた西郷隆盛や、鬼界島に送られた俊寛が、島で暴れまわるようなものだろう。もっとも俊寛はもともと怒りっぽく、俊寛湯沸かし器という綽名がついていたという説もある。冗談だと思うが。
かぐや姫は月でどのような罪を犯したのであろうか。殺人や強盗は考えに気。かぐや姫は若く美しい姫だから、おそらくその罪は、その美貌を利用した結婚詐欺か何かではあるまいか。地球でもそのスキルを利用して求婚者に無理難題をふっかけていたとみるのが妥当であろう。彼女は反省などしていないし、改悛もしていない。そう考えると、罪を許されて月を帰るのはおかしい。死ぬまで地球で、暴力夫のDVでも受けて過ごすくらいではないと、その罪は消えまい。