だって宝物だもの
音声データに追われながら
妻は毎週、声楽のレッスンを受けにいく。講師の許諾を得てレッスン時の音声をすべて録音している。つまり毎週、数時間分のレッスン音源が溜まっていく。学生時代からのものを含めると膨大な容量に及ぶ。そうなるとデータ保管の方法が課題になる。iPhoneのデータ容量はすでに満載である。
そうであれば昔の音源を消去していくのか、そもそも過去の音声を聞き返すことはあるのかなど甚だ疑問だったので、妻に尋ねてみた。
「他の音楽家はどうしてるの?」
「みんな録音して保存してるはず。だって宝物だもの」
「そうなるとデータ管理は音楽家にとって必須技能だね」
だって宝物だもの
ぼくはしばし「だって宝物だもの」の一言に心を奪われていた。
声楽レッスンが宝物、という世界観で妻は生きているのだ。
そう思うと尊敬の念が湧く。宝飾品でも固定資産でもなく、声楽レッスンが宝物。
「楽譜も印刷されて手渡されたものはファイリングして仕舞うけど、何年か後にまた必要になったときに探すのが一苦労」と妻が苦笑する。
楽譜も音源もデジタル管理して、ハードディスクやクラウドサーバに保管しておく手立てでも整えておかないと、日を追うごとに煩雑になりそうだ。すでにして煩雑に陥っている。
今年は重い腰を上げ、宝物を収蔵するホームネットワーク(NAS)構築が課題になりそうだ。
きょうの一曲
探しものは何ですか