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イタリア人の愛は
妻のみみさんは、毎週オンラインでイタリア語会話を受講している。
今回、講義中の会話の流れで、数日前に入籍したことを話したという。
画面の向うのイタリア人講師は大いに驚きながら祝福してくれて、「でも共同生活は難しいこともあるでしょう?」と聞かれたらしい。「そんなことはない、私たちはもう兄弟のように仲がいいの」と答えると、講師は顔を曇らせ、「それはイタリアでは使わない表現だよ。愛がないように聞こえる」と言われたそうだ。
イタリアにおける愛(アモーレ)は、きっと恋人としての「性愛」を強く含意しているのだろう。日本では「性愛から家族愛へ」という変化は「愛の善き昇華」のように捉えられるふしもあるけれど、国が変わるとまるで真逆のニュアンスになるのは面白い。
異文化交流の難所は、語学ではなく文化そのものにあることに気づかせてくれる。イタリア語会話でも語法を学べること以上に、イタリア人の価値観を直接知れるところにあるのかもしれない。
それにしても、「兄弟のように仲がいい」と言ってもらえたのは嬉しかった。自分もまったく同じように答えていたはずだから。