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漕いでなくてもスーッと進むタイプの電動自転車は違法ではないのでしょうか?

 足で漕がなくてもスーッと進むタイプの自転車のような乗り物(以下では「自走式電動自転車」と表記します。)を最近よく見かけるようになりました。

 結構なスピードが出ていて、歩行者としては近くを通るだけでも恐怖を感じますよね。

 今回は、自走式電動自転車の法的規制について説明します(電動キックボードについてもほぼ同じです)。

車両としての分類

 現行(2022年12月23日現在)の道路交通法上、電動自転車が関わる分類としては「自転車」、「原動機付自転車」及び「自動車」があります。

 「自転車」としての要件を満たせば、法律上の「自転車」として扱われます。

 「自転車」としての要件を満たさないもののうち、定格出力0.6kW以下のものは「原動機付自転車」とされ、それ以上の出力を有するものは「自動車」として扱われます。

「自転車」とは

 現行道交法2条11号の2では、「自転車」は次のように定義されています。

十一の二 自転車 ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。

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 自走式電動自転車は、「人の力により運転する」ものでもないし、「人の力を補うため原動機を用いるもの」でもないので、「自転車」には該当しません。

 ちなみに、「内閣府令で定める基準」として、現行道路交通法施行規則1条の3は次のように定めています(この基準を満たすものが、いわゆる「電動アシスト自転車」です)。

第一条の三 法第二条第一項第十一号の二の内閣府令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
 人の力を補うために用いる原動機が次のいずれにも該当するものであること。
  電動機であること。
  二十四キロメートル毎時未満の速度で自転車を走行させることとなる場合において、人の力に対する原動機を用いて人の力を補う力の比率が、(1)又は(2)に掲げる速度の区分に応じそれぞれ(1)又は(2)に定める数値以下であること。
 (1) 十キロメートル毎時未満の速度 二(三輪又は四輪の自転車であつて牽けん引されるための装置を有するリヤカーを牽けん引するものを走行させることとなる場合にあつては、三)
 (2) 十キロメートル毎時以上二十四キロメートル毎時未満の速度 走行速度をキロメートル毎時で表した数値から十を減じて得た数値を七で除したものを二から減じた数値(三輪又は四輪の自転車であつて牽けん引されるための装置を有するリヤカーを牽けん引するものを走行させることとなる場合にあつては、走行速度をキロメートル毎時で表した数値から十を減じて得た数値を三分の十四で除したものを三から減じた数値)
  二十四キロメートル毎時以上の速度で自転車を走行させることとなる場合において、原動機を用いて人の力を補う力が加わらないこと。
  イからハまでのいずれにも該当する原動機についてイからハまでのいずれかに該当しないものに改造することが容易でない構造であること。
 原動機を用いて人の力を補う機能が円滑に働き、かつ、当該機能が働くことにより安全な運転の確保に支障が生じるおそれがないこと。

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 この基準を満たさないものについては、自走式でなくても「自転車」には当たりません。

「自転車」に該当しない場合の規制

 「自転車」に該当しないとなると、出力の大きさによって「原動機付自転車」又は「自動車」に分類されることになります。

 いずれにしても、免許の取得、自賠責保険への加入、ヘルメットの着用等の対応が必要となり、歩道や自転車道を走行することもできません。

 警察も検挙に乗り出しているようですが、まだまだ猛スピードで歩道を走行している姿を見かけますね。

街中で見かけたら…

 まず、こういう危ない乗り物が走っているかもしれないことを頭に入れなが外を歩くようにしましょう。

 一昔前の子供は、「車道に出るときは右見て、左見て、もう一度右を見ましょう。」と交通指導を受けましたが、今は歩道でも周りに注意しないといけません。

 そして、見かけたら極力近寄らない・関わらないことです。

 違法な乗り方をしている人が保険(任意保険はもちろん自賠責も)に加入しているとは考えにくいですから、万が一事故にあった場合、歩行者側に過失が全くなくても損害の賠償を受けられないことが十分にあり得ます。

 裁判に勝つことができても、たまたま遭遇した交通事故の加害者の財産を調査し、差し押さえるのは容易ではありません。

 数年後には電動キックボードの規制緩和が行われるようですが、歩行者はどんどん気が抜けなくなりますね。

 不幸な事故が増えないことを祈るばかりです。

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