漕いでなくてもスーッと進むタイプの電動自転車は違法ではないのでしょうか?
足で漕がなくてもスーッと進むタイプの自転車のような乗り物(以下では「自走式電動自転車」と表記します。)を最近よく見かけるようになりました。
結構なスピードが出ていて、歩行者としては近くを通るだけでも恐怖を感じますよね。
今回は、自走式電動自転車の法的規制について説明します(電動キックボードについてもほぼ同じです)。
車両としての分類
現行(2022年12月23日現在)の道路交通法上、電動自転車が関わる分類としては「自転車」、「原動機付自転車」及び「自動車」があります。
「自転車」としての要件を満たせば、法律上の「自転車」として扱われます。
「自転車」としての要件を満たさないもののうち、定格出力0.6kW以下のものは「原動機付自転車」とされ、それ以上の出力を有するものは「自動車」として扱われます。
「自転車」とは
現行道交法2条11号の2では、「自転車」は次のように定義されています。
自走式電動自転車は、「人の力により運転する」ものでもないし、「人の力を補うため原動機を用いるもの」でもないので、「自転車」には該当しません。
ちなみに、「内閣府令で定める基準」として、現行道路交通法施行規則1条の3は次のように定めています(この基準を満たすものが、いわゆる「電動アシスト自転車」です)。
この基準を満たさないものについては、自走式でなくても「自転車」には当たりません。
「自転車」に該当しない場合の規制
「自転車」に該当しないとなると、出力の大きさによって「原動機付自転車」又は「自動車」に分類されることになります。
いずれにしても、免許の取得、自賠責保険への加入、ヘルメットの着用等の対応が必要となり、歩道や自転車道を走行することもできません。
警察も検挙に乗り出しているようですが、まだまだ猛スピードで歩道を走行している姿を見かけますね。
街中で見かけたら…
まず、こういう危ない乗り物が走っているかもしれないことを頭に入れなが外を歩くようにしましょう。
一昔前の子供は、「車道に出るときは右見て、左見て、もう一度右を見ましょう。」と交通指導を受けましたが、今は歩道でも周りに注意しないといけません。
そして、見かけたら極力近寄らない・関わらないことです。
違法な乗り方をしている人が保険(任意保険はもちろん自賠責も)に加入しているとは考えにくいですから、万が一事故にあった場合、歩行者側に過失が全くなくても損害の賠償を受けられないことが十分にあり得ます。
裁判に勝つことができても、たまたま遭遇した交通事故の加害者の財産を調査し、差し押さえるのは容易ではありません。
数年後には電動キックボードの規制緩和が行われるようですが、歩行者はどんどん気が抜けなくなりますね。
不幸な事故が増えないことを祈るばかりです。