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「また明日」

朝焼けの中歩き出す。
後ろには焼け残ったような空。
夜は明ける、いつだってそう。
どんなに飲み明かしたって言葉が足りなくて、それでも腹に溜まった泥みたいな感情を吐き出すことを理解してくれるあいつらがいるだけでまた先に進んでいける。
酒を飲んで火照った体を冷ますように夜明けの風が肌の上を滑っていく。
空いた腹の中に思い切り息を吸い込む。
生まれたての空気が体中を巡る。
大人の言う身勝手な事情とか、自分がうまくいかないのは周りのせいだと喚いてるやつとか、このままじゃダメだなんて言い知れない不安とか、そういうのは夜の中に置いてきて、そしてまた拾って。
ジェットコースターみたいな日々を繰り返して、それでも朝と夜は巡って、腹に溜まった泥を蹴っ飛ばして幸福を腹一杯喰らって、「また明日」なんて笑顔で言い合えてたりする。
夜は明ける、いつだってそう。
つまんない嫉妬とか、凝り固まった固定観念とか、いつの間にかガチガチになって身動きが取れなくなっていたことなんてくだらなくて、酒を飲んで肩を組んで話したことが真実。
先は見えず不安だが歩み止めるにはまだ早いから。
街は少しずつ目を覚ます。白んだ空に人々は動き出す。
「また明日」

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