【ほめ7】それでも生きることを諦めない
自分の人生を褒めちぎって、恨みも呪いも褒めて浄化するこの企画『根暗のほめ道』第7回でございます。
サラッと前回までのあらすじ。
統合失調症になってしまった私。1年休学した後無事復学するも、美大進学も諦めて就職することになる。しかし、休学中にお迎えした三毛モルモットのぽぽさんとは心からの友達になる。ぽぽさんの活躍はこんなもんじゃ終わらないぜ!
流されて行った就職活動は上手くいくはずなく、私は地元のドラッグストアのバイトとしてフリーター生活を開始する。
職場ではそこそこ可愛がられていた自負がある。
何でも素直に吸収しようという姿勢が評価されたのかもしれない。
しかし、臨機応変に動ける身空から、結構無理なシフトを組まれていた。
深夜に仕事を終えて次の日は早朝から……などザラだった。
それを精神疾患を抱え1年もやってのけたのは若さの賜物だと思う。
バイトは実家から通っていたので、ぽぽさんの世話も滞りなく行うことが出来た。当時ぽぽさんは2歳。モルモットの寿命は大体4年から6年程度。長生きしてね、と撫でると「きゅいきゅい」と返事をする愛らしい子であった。
※初めて注意書きを書くが、ここからの展開はかなり性的にキツいので読みたくない人は今回はここまでで終わりにしてな。
そうして順調に1年間バイトを続けていたが、事件が起こってしまった。
当時はSNSがネット民の間で広まり始めた時期だった。私もブログ運営の傍ら、周囲と同じようにSNSをいくつかやっていた。
その中の一つで、ある人と仲良くなった。同年代の男性。
その人と話をしていると、自然とオフ会をしましょうという流れになった。
実際待ち合わせ場所に行くと、そこにいたのは同年代とはとても思えない「おじさん」と形容したほうがいい男性だった。背格好はそんなに悪くないが、しかし19歳の私からしてみれば間違いなく同年代とは言い難かった。
おじさんは私を見るなり嬉しそうに駆け寄ってきて、戸惑う私を車に乗せた。
車内でおじさんが雑談を振ってくるものの、私はどうしたら良いかわからず、戸惑い続けていた。
そして車はそのまま煌びやかにライトアップされた大きな建物へ。
おじさんは客室に入るなり、許可も得ずに私の身体を触りながら「かわいいね」「綺麗だね」と繰り返した。触られるのはとても気持ち悪かった。嫌だった。でも、異性に否定された記憶しかない私は「かわいい」「綺麗」と言われることに対する違和感がひどく、私を犯すための方便なのか、はたまたただ若いからそう言っているのか、色々考えて頭が混乱し、最終的によくわからなくなってしまった。
拒否したかったが、怖くてできなかった。
私はされるがまま、結局おじさんに初めてを刈り取られた。
車を運転しながら泣き叫び、帰宅すると、母親が思いもよらぬ方向から私の心をえぐった。
「遅かったじゃない。彼氏でもできたの?」
彼氏なら、どれだけ良かっただろうか。
警察に行くという発想も浮かばず、燃えカスのように寝て、起きて。
次の日出勤前に家でひどい過呼吸を起こして救急車騒ぎになり、そのまま仕事を休職することになった。
仕事を休んでいる間、なんとか気を散らそうと創作活動にいそしんだりしていたが、どうしてもあの時の気持ち悪いようなよくわからない心地が忘れられなかった。異性に「かわいい」などと言われたのはアレが初めてだった。
一歩踏み出してしまえば、簡単だった。
私は暇を見つけては男と約束して性交渉をするようになった。
男は大抵私を拒絶しなかったし、会えば優しくしてくれた。
その束の間の優しさが欲しくて、私はどんどん溺れていった。
今まで異性に虐げられて生きて来た私に、異性を怖がりながら生きて来た私に、異性から注がれる優しさは劇薬だった。これ以上のものはなかった。
脚を広げれば優しくしてくれる。お互いに満たしたいものを一瞬満たして日常に帰っていく。その気楽さもよかった。
心の根元では、いいはずなかったのだが。
最早自分の気持ちすらわからなくなった私は、復職しても元のように馴染むことが出来ず結局1年半でドラッグストアのバイトを辞めた。
そして翌年の四月、私はまさかの専門学校生になるのであった。
書いていて思うのだが、私のここまでの人生激動すぎない?
何をどうしたらこんなに波乱万丈になるのだろうか……。
いや、こんな感じでこうすると、波乱万丈になります……。
ちなみに私はまだ生きることを諦めません。しぶとくてかっこいい。
本当に、環境要因を取ってみても、出来事を取ってみても運が絶妙にない。
それでも私はこの先もなんとか必死にもがき続けます。
あの頃の私。もがいてくれてありがとう。
お陰で今も生きてこんな風に文章を書けているよ。
次回でひとまず最終回です。
では、また次回お会い出来たら嬉しいです。