お昼の時間帯に再放送されている昔の朝ドラ『ちゅらさん』を何となく見ていた時期があった。 故・平良とみさんが演じた「おばぁ」の朗らかで優しい沖縄ことばが大好きで、ほぼおばぁ見たさに見ていた。7月に鹿児島へ行ったこともあり、南国独特の尻上がりなイントネーションが恋しかったというのもある。 主人公のえりぃ(国仲涼子)が結婚して妊娠した辺りからやはりあまりの時代感覚の隔たりに違和感を感じて見なくなってしまった。 ああ、昔の朝ドラヒロインってこうだった。やたら明るくて元気でテ
私が子供の頃、毎年ある時期になると「中国残留孤児」と呼ばれた人達が中国から生みの親や血を分けたきょうだいを捜しに来ていた。 多くは幼い頃、終戦の混乱の中で親きょうだいとはぐれ、中国の地に取り残された人だった。 その季節になるとNHKでは「来日している中国残留孤児の方々です。ご親族の方、お心当たりの方は連絡して下さい」という主旨のテレビ放送があったような記憶もある。 白黒の古い写真が映し出され「◯ ◯◯さん(中国名)、◯才の時に旧満州国、現在の黒竜江省◯◯市で家族とは
子供の頃から地理が好きだった。 幼稚園に入るか入らないかくらいの頃から道路標識を見つけるのが好きで、行先表示の標識を見て漢字の読み方と地名を覚えた。 電車に乗る機会が多かった環境もあって電車、特に新幹線が好きだった。 東北・上越新幹線の上野駅が開業した記念に親が貰ってきたソノシートのレコードを毎日飽きもせず聴いていた。当時は駅ごとに到着メロディーが違っていて、レコードには駅名アナウンスと到着メロディーが収録されていた。それを毎日飽きもせず、ぐるぐるぐるぐる。ルーティーンだ。
今から2年ほど前。小学校入学を控えた姪がランドセルのカタログを持ってきて 「ねえ、鴎ちゃんはどの色がいい?」 と尋ねてきた。確か「ブラウンかな」と答えたような記憶がある。 へぇ〜すごいな〜今のランドセルは色は勿論デザインも色々選べるんだなぁ〜なんて思いながらカタログを眺めていたら、姪が再び質問してきた。 「ねえ、鴎ちゃんはランドセル何色だったの?」 私はこう答えた。 「赤だよ。鴎ちゃんが小学校の頃は男の子は黒、女の子は赤しかなかったから」 姪は不思議そうな顔をした
ヒトリエというバンドのファンになって5年が経つ。 「ファン」と言うよりは最早「オタク」と称する方が的確かもしれない。 彼らの音楽を好きになってから、5年以上行っていなかったライブハウスに再び足を運ぶようになった。 「人間の表現活動を脅やかす不気味なもの」だと思っていたボーカロイドとその文化を好きになった。初音ミクを、可愛いと思うようになった。 Twitterでヒトリエについて呟いていたら、いつのまにかファンの人達との繋がりができた。5年の月日が流れているので中には疎遠になっ
何から書いたらよいのでしょう。 あなたが遠いところへ行ってしまってから、5年が経ちます。 なんかこういうの、直したり推敲したりするの違うなと思うので、思い浮かぶことをつらつら書こうと思っています。 あなたがいなくなってからのこの5年で、世界は結構色々変わったなと思います。 コロナ禍、という実に異常な事態が何年も続きました。 その間ライブにも行けなかったし、行っても声出し禁止とか。ヒトリエも、無観客配信ライブをやったりとか。 「ニューノーマル」なんて言って、この
『結婚しない男』という阿部寛主演のドラマが一昔前にあった。 阿部寛演じる主人公は確か一級建築士で稼ぎも良いのだが、とんだ偏屈者。口癖は「結婚出来ないんじゃなくて、しないんです」。毎晩自宅で趣味のクラシック音楽を爆音で聴くのが楽しみ。 そんな彼が急な病気(←大したことはない)で受診した病院の女性医師(夏川結衣)と知り合い、ああだこうだ衝突しケンカしながらも交流を深めていく。そこに主人公の隣人女性(国仲涼子)と飼い犬・ケンちゃん(確かパグかフレンチブルドッグ)も絡んできて
「また今度にすればいいじゃない。」 「またの機会があるよ。」 「そういうのは、歳を取ってからでもできるから。」 私の母(70代前半)は、よくそんなことを言う。 確かに、呑気で楽天的な気質の人ではある。でもこの呑気さは、事あるごとに「また今度」「いつか」「そのうち」を口にするのは、性格的なものだけではない気がする。 昭和28年、戦後生まれ。高度経済成長の時代に青春を過ごし、バブルの時代に子育てをした。1995年に阪神・淡路大震災が起こるまでは、何千人、何万人とい
まる子の声を長年務めていたTARAKOさんが亡くなってしまった。 私は小学生の頃からちびまる子ちゃんが大好きで、今も原作単行本の殆どを持っている。原作を読む時も、まる子の台詞はTARAKOさんの声で脳内再生される。 前日に『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』の作者である鳥山明先生が亡くなったこともあり、夜7時からのテレビニュースを見ていた。 そこであることに気がついた。 「あれっ…そういえばテレビのニュースって、毎日必ずスポーツコーナーがあるのにカルチャー(文化
老化が進んでいる。 生え際や内側の方は白髪だらけだが、黒に近い青のカラーで誤魔化している。白髪染めはまだしたくない…。 一見若い頃と体型はあまり変わらないように見えるが、お腹はブヨブヨ。整体の先生に「体重落ちにくくなっているでしょう」と代謝の低下を見抜かれた。 歯医者通いが終わらない。上の歯2本の神経が死んだので、抜いた。右の前歯は死んでいて茶ばんでいるのだが、いい先生なのでどうにかこうにか差し歯にはせず残してくれている。 息をするようについついテレビをつけてし
「大体いい子って何よ?親に迷惑かけない子?携帯電話にロックかけない子?テレビの電源消す時は、主電源まで切る子?いい子って何よ?何なのよ!?」 10年前に大ヒットし、今年の4月から9月までBSで再放送された朝ドラ『あまちゃん』の中で主人公の母親・春子(小泉今日子)がまくし立てる台詞だ。 若き日の春子(有村架純)は地元・北三陸で有名なスケバン美少女だった。アイドルになりたいという夢を叶える為、高校を中退して上京した。1984(昭和59)年の話。 春子は「いい子」ではなか
私の母の出身地は秋田県内陸の阿仁地域だ。 かわいいローカル線・秋田内陸縦貫鉄道が南北に走り、「花の百名山」と呼ばれる森吉山が聳えている。鉄道ファンの方や、登山をする方はご存知の方も多いかと思う。内陸線に乗っていると清流・阿仁川でアユ釣りをしている人を車窓からよく見かける。電車の窓から手を振ると、多くの住民の方は手を振り返してくれる。 バター餅が人気を博して久しいが、あれはこの地域発祥のおやつだ。 旧阿仁町・森吉町・合川町・鷹巣町が平成の大合併で一緒になり、今は「北秋田
小学校4年生の頃の話だ。同じ社宅内に住んでいた同級生が、ジャニーズのファンクラブに入っていた。 その子は小4にしてジャニーズのファンクラブに入っていた他にも、色々とませていることで有名だった。大人のお姉さんが読むちょっとエッチなマンガを読んでいたり、芸能人や恋愛についてやたらと詳しかったり。 高校生のお姉ちゃんがいた影響があったのかも知れない。同級生は皆、今で言う「ちょっと引く…」という反応を見せていた。 児童数が少なく、全体的に仲のいい平和な学校だったこともあって特
2018年2月、私は平昌冬季オリンピックに熱狂していた。 丁度その頃は写真に関係する人間関係が全くと言っていい程上手く行っておらず、人間関係にばかり振り回され、写真に対する意欲を失いかけてしまっていた。現実逃避するかのように、テレビの中で繰り広げられる熱戦に夢中になった。 フィギュアスケート、カーリング、スノーボード…色々な競技を観たが、半年後実際に会場にまで足を運んで観ようと思ったのはスピードスケートの全日本選手権だった。 何故スピードスケートだったのかは、今とな
こんにちは。あなたに手紙を書くのは、二度目です。 一昨年の6月1日。あなたの追悼会に設けられたお手紙BOXに入れた手紙が、私が書いたあなたへの最初のファンレターでした。 思い返してみるとあの日、私はまだあなたが亡くなったということをよく理解出来ていなかったのだと思います。だから、あなたに宛てた手紙を書いた。新木場STUDIO COASTへ行けば、あなたに会えるような気がしていたのでしょう。 コーストで出会ったあなたは、ステージの上で穏やかな笑顔を見せた大きな写真でし
私にはASD(自閉スペクトラム症)という障害がある。所謂「発達障害」と呼ばれるものにカテゴライズされる障害である。 最初に説明しておくと、これは生まれつき脳みその作りが大多数の人とは違っている為に生じている障害である。親の育て方がなっていなかったからとか、食べ物がよくなかったとか、化学物質のせいとか、そういうことに起因するものではない。 私の人生の異様な上手く行かなさの原因がこの障害に起因していたとわかったのは、僅か10年足らず前の話である。要は大人になって、他の病気