蟷螂の斧
蟷螂の斧 (とうろうのおの)についてのコラムを書いた。
蟷螂とはカマキリのことだ。
コトバンクによると
カマキリが前あしを上げて、分もわきまえず巨大なものに立ち向かう無謀な姿ということ。
人間は工夫して、色々なものを理解し
いろいろな技術も開発してきた。
けれども、ドローンで人を飛ばしたり
回収可能なロケットをつくることもやっと可能になったところだ。
人間自身の細胞の仕組みを理解することにも難儀している。
人間の作った技術は、どれも巨大な自然法則前では
蟷螂の斧に過ぎない。
僕は、それしか持たない人類がけなげに相談して
支えあって生きていることに意味があると思っている。
振りかぶる蟷螂の斧影長し(優仁)
という俳句を詠んだことがある。
宇咲冬男師匠にみてもらって、添削なしで合格をもらった句だ。
秋の夕陽を逆光にして、手を振り上げる一匹のカマキリの孤独な影を詠んだ。
木陰の陰ではなく、輪郭のはっきりした小さな影だ。
真夏にたくさんいた仲間が死に絶えて、生き残ったものの最後の一人となってしまった寂寥を伝えたかった。
人間の技術は、赤々と上空に昇っていく夕陽に振り上げる
細々とした蟷螂の斧にすぎない。
その謙虚さを、いつも持っていれば道を見誤らないと僕は思う。
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